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公演評:花組『邪馬台国の風』『Santé!!』

円熟期を迎える明日海りお、新トップ娘役に仙名彩世を迎え歴史ファンタジーに挑む

さかせがわ猫丸 フリーライター


拡大『邪馬台国の風』公演から、タケヒコ役の明日海りお=岸隆子撮影

 花組公演、古代ロマン『邪馬台国の風』が、6月2日、宝塚大劇場で初日を迎えました。花組のトップスターとして、人気・実力ともに円熟期を迎える明日海りおさんが、大劇場5作目で挑戦するのは、約1800年前の古代日本が舞台です。

 幼い頃に両親を失い、邪馬台国の兵士となって平和のために戦うタケヒコ。森の中で出会った不思議な少女マナは、やがて邪馬台国の女王となった。邪馬台国と狗奴国の争いが渦巻く中、2人の運命の行方は――。

 この公演から新娘役トップに、94期生の仙名彩世さんが就任します。歌・ダンス・芝居の三拍子がそろい、女王役にふさわしい品格を持つ、花組きっての実力派。すでに明日海さんとの息の合ったコンビネーションを見せています。新しい相手役を迎え、明日海さん率いる花組の第3章がはじまりました。

強さと優しさを持つ明日海タケヒコ

 およそ1800年前、「倭」と呼ばれた日本列島で、肥沃な土地をめぐってクニとクニとの争いが絶えなかった時代。連合の中心である邪馬台国と、それを力づくでわがものにしようと狙う狗奴国の争いは、日ごとに激化していました。

――弥生時代末期。狗奴国との争いで孤児になったタケヒコは、渡来人の李淵(高翔みず希)に救われ、戦術と生きる術を学びながらたくましく成長していた。ある日、タケヒコは森の中で、狗奴国のクコチヒコ(芹香斗亜)に襲われた少女マナ(仙名)を助ける。神の声を聞くというマナに心惹かれながらも、彼女の不思議な予言に、自らの進む道を模索するのだった。クコチヒコらに李淵を殺され、一人になったタケヒコは邪馬台国の兵士に志願。仲間とともに平和を目指しながら、やがてクコチヒコと交えるであろうことを予感する。

 幼いタケヒコを演じるのは、新人公演で初ヒロインを演じる華優希さん。意志の強そうなまなざしと聞き取りやすいセリフで、演技力もなかなかのもの。メイク映えする顔立ちも愛らしくて、期待の高まる娘役さんです。李淵から棒術などを習いながら、一瞬にして大人のタケヒコに切り替わる『ベルばら』でおなじみの演出から飛び出した明日海さんは、無造作なポニーテールに古代衣装が麗しい。長い棒を使った立ち回りも華麗にこなします。棒術は人を痛めつけるものではなく、相手を戦えなくするのだとか。強さとやさしさを兼ね備えたタケヒコにもふさわしい武術でしょう。

 李淵の教えに従い、素直に成長したことがあらゆるシーンで伝わりますし、マナに恋心を抱きつつ、彼女の使命を尊重するジェントルマンさも切なくて胸を締め付けます。繊細な少年のイメージがあった明日海さんも、このところめっきりたくましくなりました。歌声はさらに豊かになり、二枚目な花男たちを力強く率いて、頼もしいトップスターに成長しています。

◆公演情報◆
古代ロマン『邪馬台国の風』
レビュー・ファンタスティーク『Santé!!』 ~最高級ワインをあなたに~
2017年6月2日(金)~7月10日(月) 宝塚大劇場
2017年7月28日(金)~8月27日(日) 東京宝塚劇場
[スタッフ]
『邪馬台国の風』
作・演出:中村暁
『Santé!!』
作・演出:藤井大介
公式ホームページ

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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