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「冬のソナタ」ユン・ソクホ氏が語る初の映画作品

「最もロマンチックな面を表現したかったのは、瞳の演技でした」

西森路代 フリーライター

ユン・ソクホ監督ユン・ソクホ監督=撮影・筆者
 ペ・ヨンジュンが主演の「冬のソナタ」などの四季シリーズや、チャン・グンソク主演の「ラブレイン」など、日本でも愛される作品を次々と生み出してきたユン・ソクホ監督(60)が、北海道の富良野・美瑛を舞台に初の映画作品『心に吹く風』のメガホンを取った。

 このたび、来日したユン監督に映画のこと、そしてなぜ「初恋」や「自然」にこだわって作品を作るのか、などについて聞いた。

 物語は、ビデオアーティストのリョウスケ(眞島秀和)と、高校時代の初恋の相手・春香(真田麻垂美)が23年ぶりに偶然出会ったところから始まる。この初恋というのは、ユン・ソクホ監督が常に描いてきたテーマである。

(c)松竹ブロードキャスティング    『心に吹く風』 眞島秀和と真田麻垂美 (c)松竹ブロードキャスティング
ユン・ソクホ 「初恋というものは、自然に最も近い形の恋だと思うんです。初恋を経験してからの恋は、前の経験がインプットされているから、初恋のように自然に芽生える気持ちはどうしても少なくなってしまうものです。でも、初恋は自然だからこそ美しいと思うから、テーマにしてしまうんです」

 監督の初恋の話も聞いてみたいと伝えると、「今日は徹夜でも大丈夫ですか?」と冗談でなごませる。

ユン・ソクホ 「高校2年から2年間つきあった人がいました。でも、彼女は大学受験に受かったのに、私は失敗してしまい、環境の変化もあって別れてしまいました。その後、私が兵役に行ったことで連絡も途絶えたんですけど、放送局に勤めていたころ、電話で連絡をとったことはあったんですね。そのころ、私たちは40代半ばで、25年ぶりくらいだったから、お互いにそうなんですけど、声を聴いたときに、どこか別の人のような感覚があって、それ以上会うことはなかったんです」

 高校の頃の初恋の人と40代でふたたび連絡を取り合うというシチュエーションは、そのまま映画にも重なる。

ふたりの時間と現実のギャップ

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