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壮一帆が“男装の麗人”川島芳子を演じる/下

華やかさと闇を抱えた上海の光と影を映し出す音楽劇『魔都夜曲』

大原薫 演劇ライター


壮一帆が“男装の麗人”川島芳子を演じる/上

男役ではなく、川島芳子として表現する“男装”を目指したい

拡大音楽劇『魔都夜曲』に出演する壮一帆=宮川舞子撮影

――今回のような実在の人物を演じるときは、どういうアプローチをなさいますか。

 その人物について調べますね。演出の河原さんが「とにかくその人物のバックボーンを徹底的に調べ上げてそれを背負った上で舞台に立つのと、ただ台本上の台詞だけを追って立っているのとは全然違うから。まずは人物を知ってください」とおっしゃっていたんです。それは宝塚の下級生の頃から習っていたことですし、とても共感できるので、まず調べることから始めました。そこでどれだけ明確なイメージを掴めるかにかかっているんでしょうね。

拡大音楽劇『魔都夜曲』に出演する壮一帆=宮川舞子撮影
――その中で浮かび上がってきたのが、川島芳子の孤独感?

 そうですね。孤独感というのは自分のことを話す台詞に出てくるんですけれども、それ以外に劇中の役割としては、やはり裏の世界をみている人間で、「謎の女」として登場して、「結局どっちの味方なの?」と思わせるミステリアスな部分も出すことができたらと思いますね。

――男装の麗人の役ですが、宝塚雪組男役トップスターでいらした壮さんですから、こういう役はお手の物ですよね。

 よくそう言われるんですけど、それは絶対に違いますね(笑)。

――えっ、そうですか?

 タカラジェンヌが持っている独特の研ぎ澄まされた緊張感は、現役生だけのものなんです。もちろん今は別の緊張感がありますが、「男役をやっていたから、男装は完璧だよ」というものではないんですね。今回私が目指すのは、川島芳子として表現する男装なんです。宝塚の男役は男性を演じますが、芳子は中身は女性ですから。そこはまったく違うものとして、「他の女優さんにはない着こなしができる」くらいの感覚で臨めたらと思いますね。

 芝居も男役でやるというよりは、自分の中でリアリティを追求してみたいなという気持ちがあります。一方で、他のキャストの方から「気にしないで宝塚の男役でやってみたらどう?」というアドバイスをいただいたんですよ。今まではそれはやってはいけないと思って否定していたんですが、「それで腑に落ちる部分があるんなら、やってもいいんじゃない?」という提案をいただいて、「なるほど」と思いましたね。だから、役作りはまだまだ試行錯誤中です(笑)。

◆公演情報◆
cube 20th. presents 音楽劇『魔都夜曲』
2017年7月7日(金)~7月29日(土) 東京・Bunkamura シアターコクーン
2017年8月5日(土) ~8月6日(日) 愛知・刈谷市総合文化センター アイリス
2017年8月9日(水) ~8月13日(日) 大阪・サンケイホールブリーゼ
[スタッフ]
作:マキノノゾミ
演出:河原雅彦
音楽:本間昭光
[出演]
藤木直人、マイコ、小西遼生、壮 一帆、松下洸平、秋 夢乃、高嶋菜七、浜崎香帆、中谷優心、キッド咲麗花、村上貴亮、吉岡麻由子、前田悟、板倉チヒロ、田鍋謙一郎、奥田達士、コング桑田、春風ひとみ、山西惇、村井國夫、橋本さとし
[企画・製作]株式会社キューブ
公式サイト
〈壮一帆プロフィル〉
1996年宝塚歌劇団入団。2012年雪組トップスターに就任。洋物の美しさはさることながら和物でもその特質は際立ち、「和物の雪組」を継承。2014年『一夢庵風流記 前田慶次』で宝塚歌劇団を退団。退団後の主な出演作は、『エドウィン・ドルードの謎』『Honganji ~リターンズ~』『扉の向こう側』『細雪』など。9月に、MUSICAL『WILDe BEAUTY』、10月に『アダムス・ファミリー』への出演が決まっている。
壮一帆オフィシャルファンクラブ

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筆者

大原薫

大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター

演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。

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