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【公演評】星組『オーム・シャンティ・オーム』

紅ゆずるの華やかな明るさとキャラクターがインド映画にハマる!

さかせがわ猫丸 フリーライター


拡大『オーム・シャンティ・オーム』公演から、前列左からムケーシュ役の七海ひろき、オーム役の紅ゆずる、シャンティ役の綺咲愛里=岸隆子(Studio Elenish)撮影

 星組公演、マサラ・ミュージカル『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』が、梅田芸術劇場で上演されています(8月7日まで)。インド映画『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』は、2007年に大ヒットした名作で、今年1月、紅ゆずるさんの星組トップスタープレお披露目として、東京でのみ上演されました。極彩色の中、ふんだんに登場する大人数のダンスシーンとわかりやすいストーリー、勢いのあるインド映画はハリウッドをかけてボリウッドとも呼ばれ、世界中でブームを巻き起こしました。インドのスターは美男美女ぞろいなこともあり、宝塚での上演は自然な流れだったかもしれません。

 紅さんの明るく華やかなキャラクターがピタリとはまり、大好評を博しましたが、このたびブラッシュアップして関西へ。紅さんらしいアドリブが炸裂するのはもちろん、主要キャストも変わり、楽しいアンコールフィナーレも加わって、よりパワーアップした作品に仕上がりました。

紅のキャラクターを最大限に活かす役作り

拡大『オーム・シャンティ・オーム』公演から、オーム役の紅ゆずる(中央)=岸隆子(Studio Elenish)撮影

 美男美女が陽気に歌い踊るマサラ・ミュージカルは、紅さんと綺咲愛里さんのトップコンビにこそふさわしいと言えるでしょう。少し浅黒い肌に、黒やゴールド、赤や緑のはっきりとした色合いの衣装、ギラギラ輝くセット……そんなゴージャスな舞台でも決して負けない華やかさが、この2人の持ち味だからです。

――1970年代のインド映画界。エキストラ俳優のオーム・プラカーシュ・マキージャー(紅)は、人気女優シャンティプリヤ(綺咲)に憧れていた。母親で元女優のベラ(美稀千種)と親友で脚本家のパップー(麻央侑希)の応援を背に、いつか有名になって彼女を迎えに行くことを誓っている。そんなある日、オームは撮影現場で火災に巻き込まれたシャンティを救い出し、2人の仲が急接近。思わぬチャンスにオームの胸は高鳴るが、シャンティは敏腕プロデューサー、ムケーシュ(七海ひろき)と結婚していることを知り、ショックを受けてしまう。

 オープニングからにぎやかな群舞で始まり、インド映画ならではのワクワク感に胸が躍ります。両腕を高く上げて指をOKサインのようにして踊る独特のダンスも、宝塚では新鮮で、思わず一緒に首を左右に振ってしまいそう(!?)。金ピカの衣装を着て、みんなを従い、真ん中で踊るオームは、当然この作品の主役…のはずが、どうやら違うらしい? オームは勝手にスターの衣装を借りてセンターに立っていただけで、本当はただのエキストラでした。

 紅さんは髪をペッタリとなでつけ、さえない俳優をコミカルに演じていますが、スタイルの良さと華は隠しきれません。スターになるには家柄が必要なのかと落ち込むオームは、それでもいつか栄光をつかめる日を夢見て、授賞式の演説を妄想するのですが、その姿がまたいじらしくてたまらない。シャンティに恋する気持ちを歌うシーンなど、紅さんの素直な歌唱が心に残ります。

 もちろん得意のアドリブも飛ばしながら、可愛らしさ、カッコよさ、面白さを網羅し、紅さんのキャラクターが最大限に活かされた役だと言えるのではないでしょうか。

 ベラを演じるのは、副組長の美稀さん。男役ですが、マダムの役がこんなにも似合うなんてと驚かされます。オームを愛する母の気持ちが痛いほどに伝わり、演技の上手さもさすがでした。歌もしっかり聞かせますし、演技指導する場面では日替わりネタでおおいに客席を沸かせ、この作品の大きな見どころの一つになっています。

◆公演情報◆
宝塚歌劇 星組 梅田芸術劇場メインホール公演
マサラ・ミュージカル『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』
2017年7月22日(土)~ 8月7日(月) 梅田芸術劇場メインホール
[スタッフ]
脚本・演出:小柳 奈穂子
[キャスト]
宝塚歌劇団 星組 紅 ゆずる、綺咲 愛里 ほか
公式ホームページ

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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