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龍真咲インタビュー/上

ファーストアルバム『L.O.T.C 2017』発売、新たなスタート地点に

中本千晶 演劇ジャーナリスト


拡大ファーストアルバム『L.O.T.C 2017』を発売する龍真咲=宮川舞子撮影、衣装by Aula、アクセサリーby Yokokitagawa

 元・宝塚月組トップスター龍真咲が8月23日、ファーストアルバム『L.O.T.C 2017』を発売する。「LANDING on the CITY」の略で「渋谷の街に舞い降りた妖精」というコンセプトだ。8月26、27日には渋谷のオーチャードホールにて、同タイトルでのコンサートも予定されている。

 1年前の今ごろはまだ宝塚でのサヨナラ公演の真っ最中で、織田信長を演じていた。「人はここまで変われるのか」と目を見張る鮮やかな変身ぶり。在団中から個性的なキャラクターが際立ったトップスターだったが、今その本領を存分に発揮し始めているようだ。次々と新たな顔を見せてくれる龍に、今の心境やこれからの夢について語ってもらった。

躍動感を取り戻すために、時間が必要でした

――宝塚を卒業されてもうすぐ1年、去年の今頃はまだ信長でした(笑)。

 まだ、髭がついていましたね(笑)。

――逆にまだ1年しか経っていないのかというぐらい色々とご活躍をされていますが、この1年の心境の変化は如何でしょう?

 これからの流れはできつつある気がします。自分だけの力ではなくて、皆さまとのご縁で流れができていくのを実感しますね。辞めた当時は「これからどうしよう」ということばかり考えていて、でも現実に何が進むわけでもなかったのですが、最近は色々なことが進み始めて、新たなスタート地点に立てそうだと感じています。

――ということは、退団直後はやっぱり模索状態だったのですか?

 子どもの頃から憧れていた世界で一つのゴールを迎えるのは、自分にとってやはり大きなことだったので、それからもう一つ夢を見つけて叶えようと思う、そのための躍動感を取り戻すのに時間が必要でした。色々なお仕事をする中で「自分に何が求められているのか」を見つけることに時間をかけていましたね。

――スポーツ報知にも衝撃の記事が掲載されましたが(7月12日付)、その中の「再生と覚醒」と言う言葉が気になりました。そのココロは?

 宝塚での最後のご挨拶での「新たな夢を見つけてファンの皆様にお会いできる日を楽しみにしています」という言葉は本心で、だからこそ自分が夢を抱かなきゃ、そして応援してくださる方にもまた夢を見て欲しいという思いがありました。ようやく、その第一歩としての「再生」、新たな自分を見つけるための「覚醒」というボタンを押せた気がします。

――ということは、今回のアルバムとコンサートは龍さんにとっては、とても大きなターニングポイント?

 そうですね。「龍真咲という人が何をするのか」の出発点になればいいなと思います。

男役を引きずるつもりはもうないから

拡大ファーストアルバム『L.O.T.C 2017』を発売する龍真咲=宮川舞子撮影、衣装by Aula、アクセサリーby Yokokitagawa
――そのアルバムとコンサートですが、コンセプトは「渋谷に降り立った妖精」なんですね。

 まず何故「渋谷」なのかというと、宝塚を卒業して初めて立った劇場であり、コンサートもさせていただくオーチャードホールのあるこの渋谷は、これからの私にとっての聖地になるかもという思いからです。そして、渋谷って色々な日常が共存していますよね。若者が集まる街もあれば、ご年配の方も訪れるような高級百貨店もあり、バーもあれば、カフェもある。夜になると、昼間の賑やかな雰囲気とは真逆で、裏町のような寂しさやはかなさも感じる……それら「渋谷」に感じる印象が、新たに色々な表情をお見せしたいという私自身の想いと重なる、というのも理由のひとつです。

 楽曲も、今風のポップスというだけではなくて、ジャズ調になっていたりボサノバ風になっていたり、今風の面とちょっと懐かしい面が共存しているかも。レビューを体現してきた自分と重なる人生を、音楽で表現してみたい、そして、聴いた方が、「あれ?いったい誰が歌っているのかな」と思ってもらえるように作れたらいいなと思っています。

――コンセプトワークは龍さんが中心になってされたのですか?

 いえいえ。宝塚時代はそういうことも多かったのですが、今回は違います。宝塚時代はタカラジェンヌの総合力で勝負できましたが、今回はひとりの歌い手としてアプローチする最初の機会となるので、色々な方のお知恵をお借りして創り上げていきたいと思っています。アルバムも、アゲハスプリングス・チームのonetrap & asprプロデュースの皆様とディスカッションして、とても素敵なアルバムに仕上がりました。私ひとりでは無理だと思います。

――逆に周りの人から新たに引き出された部分はどんなところですか?

 アルバム曲全体が全てです。自分の中に男役を引きずるつもりはもうないので、たとえかっこいい曲であっても、歌い方もビジュアルもこれまでとは全然違う表現になると思うので、きっと新たな龍真咲を発見していただけると思います。どうぞ楽しみにしていて下さい。

●ファーストアルバム●
龍真咲 1st Album
『L.O.T.C 2017』全7曲収録
(ビクターエンタテインメント)
2017年8月23日(水)発売 *配信同時スタート
詳細はこちら
●龍真咲 出演情報●
◆Ryu Masaki Concert『L.O.T.C 2017』
2017年8月26日(土)~27日(日) 東京・Bunkamuraオーチャードホール
詳細はこちら
◆龍真咲『世界遺産コンサート』
2017年9月16日(土) 奈良・吉野山「金峯山寺」蔵王堂前 特設ステージ
詳細はこちら
◆ワールド・ミュージカル・コンサート
『ソング&ダンス・オブ・ブロードウェイ』
2017年10月7日(土)~9日(月・祝) 東京・東急シアターオーブ
詳細はこちら
〈龍真咲プロフィル〉
宝塚歌劇団、元男役トップスター。2001年、宝塚歌劇団に入団。『ベルサイユのばら2001』で初舞台。その後、月組に配属。2012年、『ロミオとジュリエット』で月組トップスターに就任。2016年、『NOBUNAGA〈信長〉-下天の夢-』/『Forever LOVE!!』で宝塚歌劇団を退団。退団後初の舞台出演は、『エリザベート TAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサート』。越路吹雪トリビュートアルバム『越路吹雪に捧ぐ』に参加し、『雪が降る』『愛の讃歌』をカバーしている。
Ryu Masaki Official Website

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筆者

中本千晶

中本千晶(なかもと・ちあき) 演劇ジャーナリスト

山口県出身。東京大学法学部卒業後、株式会社リクルート勤務を経て独立。ミュージカル・2.5次元から古典芸能まで広く目を向け、舞台芸術の「今」をウォッチ。とくに宝塚歌劇に深い関心を寄せ、独自の視点で分析し続けている。主著に『なぜ宝塚歌劇の男役はカッコイイのか』『タカラヅカ流世界史』『宝塚歌劇に誘(いざな)う7つの扉』(東京堂出版)、『鉄道会社がつくった「タカラヅカ」という奇跡』(ポプラ新書)など。早稲田大学非常勤講師、NHK文化センター講師。

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