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やなぎみわステージトレーラープロジェクト

中上健次原作『日輪の翼』、多彩な出演者たちが織りなす祝祭劇

東アジア文化都市2017京都実行委員会 提供


やなぎみわステージトレーラーが京都へ凱旋!

拡大『日輪の翼』チラシおもて面
 台湾で出会った移動舞台車(ステージトレーラー)に魅せられ、舞台車での演劇公演を企てたやなぎは、まず2014年の横浜トリエンナーレで、自らがデザインし輸入したステージトレーラーを発表。続いてPARASOPHIA:京都現代芸術祭2015のオープニングでは二条城をバックにポールダンス公演、京都市美術館前での『キャバレーナイト』『中上健次ナイト』を上演。そのステージトレーラーを用いて試行錯誤を重ね『日輪の翼』上演へ向け準備を進めてきました。昨年、横浜、新宮、高松、大阪と4都市公演を巡回、今年は城崎国際アートセンターでの滞在制作を経て、東アジア文化都市2017京都「アジア回廊 現代美術展」の出展作品として、満を持して京都公演を実施いたします。

〇『日輪の翼』京都公演は日韓の饗宴
 出演者は、俳優だけでなく、大地を踏み鳴らすタップダンサー、天空を舞うサーカスパフォーマー、その間を結ぶポールダンサーのほか、巻上公一によるオリジナル曲を奏でるギタリスト、新内などジャンルも出自も多彩な出演者たちがさまざまな趣向を凝らし、独創的な万物照応の世界を織りなす祝祭劇です。また、今回は韓国より伝統芸能「プンムル」の使い手、林承奐(イム・スンファン)と李性洙(イ・ソンス)を招聘し、更に京都・東九条マダンの皆さんとの共演が決定。中上健次が愛した漂泊芸能・朝鮮半島のナムサダンのリズムが鳴り響きます。

〇東アジア文化都市2017京都とは
 日中韓の3箇国から選ばれた3都市が、文化芸術イベントや、交流を行うことにより、東アジアの相互理解や連帯感の形成を促進するとともに、開催都市が文化による発展を目指す事業「東アジア文化都市」。京都市は、中国の長沙市、韓国の大邱広域市とともに、2017年2月から11月にかけて、相互交流や多彩な文化事業を市民と共に実施します。
東アジア文化都市2017京都ホームページ

〇「アジア回廊 現代美術展」とは
 東アジア文化都市2017京都のコア期間事業の一つとして、本公演に加えて、世界遺産元離宮二条城と京都芸術センターを会場に8月19日から10月15日にわたって国際的なアートシーンで活躍する日中韓のアーティスト25組による現代美術展を開催します。
「アジア回廊 現代美術展」ホームページ

トレーラーを日本に召喚せねばならないと決意させた物語

拡大『日輪の翼』チラシ中面

〜アジア回廊を旅する夏芙蓉〜 やなぎみわ

 我が舞台トレーラーは、2014年の夏に台湾の小さな工場で産み落とされ、盛大な爆竹音とともに高雄港から横浜に到着、日本に初上陸しました。「移動舞台車」というのはトレーラーの荷台が舞台になっているステージカーで、700〜800台が、台湾中を駆け巡っています。冠婚葬祭、寺の祭り、選挙運動などに「貸し舞台」として出向し、油圧の力で屋根ごと持ち上がって「御開帳」すれば、内装には、けばけばしい絵柄と電飾が光り輝きます。我がトレーラー花鳥虹には、「夏芙蓉」の花の絵が描かれています。中上健次の小説に頻繁に現れる架空の花です。このトレーラーを日本に召喚せねばならないと決意させた物語。それは、中上の小説『日輪の翼』でした。舞台トレーラーと中上健次は、必然のように出会いました。

 海と山の狭間にある熊野を舞台に多くのサーガを紡ぎ続けた中上健次は、1982年に長編『日輪の翼』を書きました。彼は大胆にも、この作品によって、自らが紡ぐ物語そのものを、愛憎渦巻く故郷〈路地〉から出奔させます。トレーラーに棲む7人の老婆は、生まれ暮らした地を懐かしんで語り、御詠歌を唱え、茶粥をすする生活をして、「オバら」が行く先々は束の間の〈路地〉となります。同郷の運転手の若者たちは、老婆たちの望むとおりに、伊勢へ、諏訪へ、恐山へ、そして皇居へとひた走ります。終局のない巡礼を描いた摩訶不思議なロードノベルの通り、南方から黒潮にのって日本に漂着した我がトレーラーも、終わりなき旅公演を続けることになりました。

 昨夏の新宮公演で、中上作品を生み出した熊野の地に別れのクラクションを鳴らしたトレーラーは、高速道路を天駆け、今年は京都の十条出口に荷を下ろします。東九条、十条は、昔から韓国はじめ多くの国の人達が共生してきた場所です。韓国併合と、幸徳秋水以下12名の死刑者を出した熊野の大逆事件は同じ1910年に起こりました。国家という共同体維持を掲げた日本近代化が落とした暗い影は今も消えることはありません。小説『日輪の翼』の終盤、天から舞い降りるように唐突に朝鮮半島の芸能者たちが現れ、老婆たちと束の間の狂舞を繰り広げます。

 2017年、平穏とはいえない東アジアで、京都から私たちが冷静に歴史を見つめ、未来に向けて思いを馳せる時、熊野の路地の老婆らと、半島の放浪芸能ナムサダンの若者たちの至福の歌垣に託した中上の願いは、韓国ミュージシャン、在日の方々が共に集う祝祭の中に体現できると思います。

 有翼日輪のトレーラーのもと、芸能の力で、過去と未来、聖俗、生死、男女、すべてが混合、交配する瞬間に立ち会ってください。

◆『日輪の翼』あらすじ
 住み慣れた熊野の〈路地〉から立ち退きを迫られた七人の老婆たちは、同じ〈路地〉出身の若者・ツヨシらが運転する冷凍トレーラーに乗って流浪の旅に出た。伊勢、諏訪、出羽、恐山、そして皇居へと至る道中で、御詠歌を唱え、神々との出会いに至福を分かち合う老婆と、女漁りに奔走し性の饗宴を繰り広げる若者たちは、珍妙無比な遍路行。滑稽と悲哀、解放と喪失、信仰とエロティシズム……。

 〈路地〉の先に広がる遥遠なる旅に、人間の原初の輝きを生き生きと描きだした中上健次の痛快傑作。本公演では、『日輪の翼』をベースに、『紀伊物語』の『聖餐』、『千年の愉楽』等からも路地の物語を盛り込み、一つの作品を創り上げていきます。

〇中上健次(なかがみけんじ・作家・1946~1992)
『十九歳の地図』で注目を集め、76年『岬』で戦後生まれとして初の芥川賞受賞作家となる。77年『枯木灘』で芸術選奨新人賞、毎日出版文化賞を受賞。「紀州サーガ」と呼ばれる濃密で重層的な作品群を創出した。代表作に上記のほか『日輪の翼』、『千年の愉楽』等。1992 年に46歳で他界。

〇やなぎみわ(演出家・現代美術家)
神戸市生まれ。1990年代後半より写真作品を発表。ドイツ・グッゲンハイム美術館、原美術館、国立国際美術館をはじめ国内外での個展多数。2009年、ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館代表。2011年から本格的に演劇活動を始め、美術館や劇場等で上演を重ねる。KAAT では、やなぎみわ演劇プロジェクトとして2011年に『1924 海戦』、2013年に『ゼロ・アワー東京ローズ最後のテープ』に取り組み、『ゼロ・アワー』は終戦70年を迎えた2015年に北米5都市を巡回した。2014年に今回の舞台として使用するステージトレーラーを横浜トリエンナーレで発表。昨年、日本4都市を巡回。京都造形芸術大学美術工芸科教授。

◆公演情報◆
『日輪の翼』
2017年9月14日(木)~17日(日)  京都・河原町十条:タイムズ鴨川西ランプ特設会場 (野外公演)
※本公演は台風などの荒天時は中止になります。公演当日正午に開催の有無を決定いたしますので、『日輪の翼』公式HPにてご確認ください。
[スタッフ]
原作:中上健次『日輪の翼』
演出・美術:やなぎみわ
脚本・作詞:山﨑なし
音楽監督:巻上公一
主催:東アジア文化都市2017京都実行委員会、京都市、一般社団法人 MIWA YANAGI OFFICE
企画・製作:一般社団法人 MIWA YANAGI OFFICE
公式ホームページ
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