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『円生と志ん生』に出演、大空ゆうひに聞く/上

自分の中の「強さ」と「女性らしさ」が融合してきた今だから、演じるのが面白い

中本千晶 演劇ジャーナリスト


拡大大空ゆうひ=岩村美佳撮影

 こまつ座『円生と志ん生』に出演する大空ゆうひに話を聞いた。井上ひさし作『円生と志ん生』は、「昭和の名人」とまで言われた噺家の大御所、円生と志ん生の2人が、戦時中に中国に渡ったときの体験を描く。戦後の2人の芸の肥やしにもなったといわれる珍道中から、落語という演芸の持つ価値も伝わってくる作品だ。時と場所を移しながらテンポよく進む物語の中で、大空は各場面で2人と関わる女性5役を演じる。

 こまつ座作品や落語への思い、演じることへのあくなき追求など、インタビューでは今の思いを率直に語ってくれた。宝塚を退団してちょうど5年。今年の2月に名前も「祐飛」から「ゆうひ」へと改名した大空は、まさに今、女優としての転機を迎えつつあるようだ。

こまつ座の作品、句読点も含めて美しい

拡大大空ゆうひ=岩村美佳撮影
――今回ご出演の『円生と志ん生』、台本を読んだときの印象は?

 こまつ座さんの作品にはずっと憧れていたので、 今回出演できるのが、まずとても嬉しかったです。落語にも興味があったので、大変な時代がおかしみを持って語られるという、この作品の世界観にも興味を感じました。今回、円生と志ん生に関わる5人の女性の役をさせていただきますが、女性たちの2人への色々なアプローチで場面ごとの状況を作っていくのが面白いですね。でも、演じるのは大変そうだなと(笑)、これはチャレンジだと思いました。

――こまつ座の作品では何をご覧になりましたか?

 最初は『太鼓たたいて笛ふいて』、最近では『國語元年』、『イヌの仇討』も観ました。

――「出たい」と思ったのは、何がきっかけだったのでしょう?

 言葉が、句読点を含めてとっても美しいなと思ったからです。言葉の力、とくに日本語の面白さが感じられて、舞台上でそれを発していくとき何かが起きる気がして、そこに自分の身を投じてみたいと思いました。

 それに私は、どちらかというと自分をシリアスな方向に持っていきがちな性格なのですが、落語のように、きつい状況を面白おかしく話してしまうのって、粋で洒落ているじゃないですか。そういう要素が自分にもっと欲しいなと思ったのです。

◆公演情報◆
こまつ座 第119回公演
『円生と志ん生』
2017年9月8日(金)〜9月24日(日) 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
2017年9月30日(日)~10月1日(日) 兵庫県立芸術文化センター
ほか、10月8日(日) 仙台公演、10月14日(土) 山形公演 予定
【スペシャルトークショー】
★9月11日(月) 1:30公演後 樋口陽一(比較憲法学者)― 井上ひさしにとっての笑い ―
★9月14日(木) 1:30公演後 大空ゆうひ・前田亜季・太田緑ロランス・池谷のぶえ
★9月17日(日) 1:30公演後 大森博史・ラサール石井
★9月21日(木) 1:30公演後 雲田はるこ(漫画家)―『昭和元禄落語心中』ができるまで ―
※アフタートークショーは、開催日以外の『円生と志ん生』のチケットをお持ちの方でもご入場いただけます。ただし、満席になり次第、ご入場を締め切らせていただくことがございます。
※出演者は都合により変更の可能性がございます。
[スタッフ]
作:井上ひさし
演出:鵜山仁
[出演]
大森博史、大空ゆうひ、前田亜季、太田緑ロランス、池谷のぶえ、ラサール石井/演奏・朴勝哲
〈大空ゆうひプロフィル〉
1992年、宝塚歌劇団に入団。月組、花組に所属後、2009年宙組トップスターに就任。『銀ちゃんの恋』『カサブランカ』『誰がために鐘は鳴る』『ヴァレンチノ』等、数々の話題作に主演し、2012年7月に宝塚歌劇団を退団。2013年、舞台『唐版 滝の白糸』にて本格的に女優としての活動を開始。以降、舞台を中心に活躍。12月から、ミュージカル『HEADS UP!』の再演を控えている。
大空ゆうひオフィシャルサイト

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筆者

中本千晶

中本千晶(なかもと・ちあき) 演劇ジャーナリスト

山口県出身。東京大学法学部卒業後、株式会社リクルート勤務を経て独立。ミュージカル・2.5次元から古典芸能まで広く目を向け、舞台芸術の「今」をウォッチ。とくに宝塚歌劇に深い関心を寄せ、独自の視点で分析し続けている。主著に『なぜ宝塚歌劇の男役はカッコイイのか』『タカラヅカ流世界史』『宝塚歌劇は「愛」をどう描いてきたか』『宝塚歌劇に誘(いざな)う7つの扉』(東京堂出版)など。早稲田大学非常勤講師、NHK文化センター講師。

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