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【公演評】スタジオライフ『卒塔婆小町』

美と醜、若さと老いをテーマにした三島文学を立体化

岩橋朝美 フリーエディター、フリーライター


拡大『卒塔婆小町』深縹チームから=スタジオライフ提供

 男優のみで構成される劇団スタジオライフが、三島由紀夫原作『卒塔婆小町』を新宿シアターモリエールで上演中だ。『卒塔婆小町』は、絶世の美女・小野小町と彼女に恋した深草少将の伝説をモチーフにした能の同名作品を、三島が現代に置き換えて翻案した物語。若い頃は美女と謳われた老婆(=小町)と若い詩人の会話を通して、美と醜、若さと老い、生と死といった普遍的なテーマを描き出す。

 また、『卒塔婆小町』の前には、深草少将が小町の愛を得るために百夜通いを行い、最後の百夜目に命を落としたという伝説を描くオリジナル作品『深草少将の恋』を同時上演。若手中心のキャストが歌と語りでエピソードを紡ぎ、『卒塔婆小町』の物語の理解を深める一助を担う。『卒塔婆小町』は「深縹(こきはなだ)」チーム、「蘇芳(すおう)」チーム、「水縹(みはなだ)」チームのトリプルキャストでの上演。本公演評では、「深縹」「蘇芳」両チームの初日の模様をお届けする。

驚きと発見に満ちた演劇体験を与えてくれる

拡大『卒塔婆小町』蘇芳チームから=スタジオライフ提供

 夜の公園で出会った、99歳の老婆(山本芳樹、倉本徹/Wキャスト)と若い詩人(関戸博一、仲原裕之、宇佐見輝/トリプルキャスト)。老婆は昔、自分は小町と呼ばれていたと言い、「私を美しいと云った男はみんな死んじまった。だから、今じゃ私はこう考える。私を美しいと云う男は、みんなきっと死ぬんだと」と話す。昔の話をしてくれと乞う詩人に、老婆はかつて自分に恋した深草少将との鹿鳴館での思い出の日々を語る。すると、詩人の目には次第に老婆が若々しい美女・小町に映り、彼女に「美しい」と告げたいという抗えない気持ちが湧き上がってくる。

 美しすぎるがゆえに自分に愛を傾ける人を死なせる運命を背負い、ひとり生き続ける老婆と、刹那的な愛の告白に命を賭する詩人。美と醜、若さと老い、生と死の対比を鮮やかに提示しながら、人間の深い業を炙り出す。多くのシーンが老婆と詩人の二人芝居で進む本作は、老婆と詩人のアプローチ次第で、趣がガラリと変わる。実際に「深縹」「蘇芳」両チームは、真逆と言えるほどの異なる役作りで、驚きと発見に満ちた演劇体験を与えてくれる。

◆公演情報◆
スタジオライフ公演『卒塔婆小町』
《同時上演『深草少将の恋』》
2017年8月17日(木)~9月3日(日) 新宿シアターモリエール
[スタッフ]
『卒塔婆小町』
作:三島由紀夫
演出:倉田淳
『深草少将の恋』
作・演出:倉田淳
[出演]
山本芳樹、関戸博一(「深縹」チームのみ)、仲原裕之、宇佐見輝、若林健吾、千葉健玖、江口翔平、吉成奨人、倉本徹(「蘇芳」チームのみ)、藤原啓児 ほか
公式ホームページ
★倉田淳×山本芳樹対談インタビューはこちら

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筆者

岩橋朝美

岩橋朝美(いわはし・あさみ) フリーエディター、フリーライター

映画関連のムック・書籍の編集に携わった後、女性向けWEBメディア・Eコマースサイトのディレクションを担当。現在はWEBを中心に、ファッション・美容・Eコマースなど多様なコンテンツの企画、編集、取材、執筆を行う。また、宝塚やミュージカルを中心とした舞台観劇歴を生かし、演劇関連の取材や執筆も行う。

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