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田代万里生インタビュー/上

こまつ座『きらめく星座』に出演、「自分の中にト書きがある状態に自然になれたら」

中本千晶 演劇ジャーナリスト


拡大田代万里生=岩村美佳撮影

 こまつ座『きらめく星座』に出演する田代万里生に話を聞いた。『きらめく星座』は、昭和15年秋、浅草でレコード店「オデオン堂」を営む音楽好き一家の物語だ。太平洋戦争開戦前夜までの1年間の、ごく普通の人々の喜びや悲しみに満ちた日々がユーモラスに描かれる。この中で田代が演じるのは、一家の長男で脱走兵として逃げ回っている正一だ。

 2014年に続いて2度目の出演となる田代。前回はストレートプレイ初挑戦ということで心して臨んだものの、開幕後ほどなく怪我で降板を余儀なくされた。インタビューでは、今回再び演じるチャンスを得られたことへの喜びと緊張感、そして最近の『エリザベート』や『グレート・ギャツビー』などの歴史的背景を持つ作品への出演経験から得られた役作りへのこだわりなどについてたっぷりと語ってくれた。

「万里生にやらせてあげたい」との期待に

拡大田代万里生=岩村美佳撮影
――前回(2014年)この作品に出演されたときは、まず初めてのストレートプレイで、途中怪我で降板なさったということで、色々な思いがある作品なのかなと思います。今回再演の話を聞いてどのように感じられましたか?

 まず、びっくりしましたね。びっくりしましたし、また同じような動きをして大丈夫かなという心配が頭をよぎりましたが、やはり前回皆さんにとてもご迷惑をおかけしたのに、その上で声をかけてくださったことがすごく嬉しかったです。そもそも演出の栗山(民也)さんが、僕の名前を挙げてくださったと聞いて、その期待には応えなきゃと思いましたね。

――正一という役は、どういうところが演じる面白さですか?

 やはり自分との共通点が多いところでしょうか。一家全員が音楽好きなところや、正一も音楽学校に行っていて絶対音感を持っているところ、「音楽は活力です」という台詞もありますが、音楽の力で生きていこうとしているところも共感します。年配の登場人物が多い中で正一は若くて、物語を引っ掻き回していく役どころなんです。正一が出てきてボーンと壊したものを皆が直して、それをまた正一が壊して……という役を、百戦錬磨な共演者の皆さんの中でストレートプレイ初挑戦の僕がやるというところにも共通する部分があったと思います。ストレートプレイも初めてでしたが、日本人の役も初めてだったんですよね。

――そうなんですか!

 いつも「ジョン」とか、そういう役ばかりやってきたから(笑)。自分が日本人だということも実感しました。栗山さんがおっしゃっていたのが、正一はとにかくすばしっこくて忍者みたいで、性格的には寅さんだということ。井上ひさしさんも寅さんを意識して戯曲を書かれたそうで、前回は井上麻矢さん(こまつ座代表・井上ひさし氏の三女)から寅さん関連本を5冊ぐらいプレゼントしていただいて、全部読みました。

――戯曲を読んでいて、「電蓄になれ!」というくだりに笑ってしまったのですが、蓄音機の中に入ってレコードがかかっているかのように歌うんですよね?

 ぎりぎりレコードを触っていた世代ですからね。小学校前半ぐらいの頃、家にあったクラシックのレコードや、「日本昔ばなし」のレコードなどを自分でかけていました。レコードの回転数がだんだん下がってほわわわわ〜〜ってなるのなんて、たぶん今の子どもたちは知らないと思うけど、ぎりぎり昭和の男だったので真似できたという(笑)。

◆公演情報◆
こまつ座第120回記念公演
『きらめく星座』
2017年11月5日(日)~23日(木・祝) 東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
2017年11月30日(木) 宮城・仙南えずこホール 大ホール
【スペシャルトークショー】
★11月7日(火) 1:00公演後 秋山菜津子・山西惇・田代万里生・木村靖司・深谷美歩
★11月12日(日) 1:00公演後 吉原毅(城南信用金庫 顧問)-戦争の足音が聞こえる時代に-
★11月16日(木) 1:00公演後【井上ひさし誕生日特別トークショー】辻萬長・木場勝己・久保酎吉・後藤浩明
★11月21日(火) 1:00公演後 いとうせいこう(作家・クリエーター)-「音楽」は「笑い」を連れてくる!-
※アフタートークショーは、開催日以外の『きらめく星座』のチケットをお持ちの方でもご入場いただけます。ただし、満席になり次第、ご入場を締め切らせていただくことがございます。
※出演者は都合により変更の可能性がございます。
◆同時開催◆
『こまつ座のキセキ』
第120回公演を記念して、こまつ座の33年間の軌跡を秘蔵の資料と共に展示いたします。他では見られない貴重な資料を一挙大公開!!『きらめく星座』公演期間中、劇場ロビーにて開催。
[スタッフ]
作:井上ひさし
演出:栗山民也
[出演]
秋山菜津子、山西惇、久保酎吉、田代万里生、木村靖司、後藤浩明、深谷美歩、阿岐之将一、岩男海史、木場勝巳
公式ホームページ
〈田代万里生プロフィル〉
東京芸術大学音楽部声楽科テノール専攻卒業。大学在学中、東京室内歌劇場公演オペラ『欲望という名の電車』日本初演で本格オペラデビュー。2009年『マルグリット』でミュージカルデビュー、12年『ボニー&クライド』で初のタイトルロールを務める。主な出演作は『グレート・ギャツビー』『エリザベート』『スリル・ミー』『ラブ・ネバー・ダイ』など。第39回菊田一夫演劇賞受賞。
田代万里生オフィシャルサイト

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筆者

中本千晶

中本千晶(なかもと・ちあき) 演劇ジャーナリスト

山口県出身。東京大学法学部卒業後、株式会社リクルート勤務を経て独立。ミュージカル・2.5次元から古典芸能まで広く目を向け、舞台芸術の「今」をウォッチ。とくに宝塚歌劇に深い関心を寄せ、独自の視点で分析し続けている。主著に『なぜ宝塚歌劇の男役はカッコイイのか』『タカラヅカ流世界史』『宝塚歌劇に誘(いざな)う7つの扉』(東京堂出版)、『鉄道会社がつくった「タカラヅカ」という奇跡』(ポプラ新書)など。早稲田大学非常勤講師、NHK文化センター講師。

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