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栗山千明インタビュー/上

舞台『ミッドナイト・イン・バリ』で新境地、膨大なセリフで出ずっぱり

平辻哲也 ジャーナリスト、コラムニスト


拡大栗山千明=冨田実布撮影

 ドラマ、映画で活躍する栗山千明が9月15日に東京・日比谷のシアタークリエで開幕する『ミッドナイト・イン・バリ〜史上最悪の結婚前夜〜』で5年ぶりに舞台出演する。NHK連続テレビ小説『ひよっこ』が好評を集める人気脚本家、岡田惠和さんが初戯曲『スタンド・バイ・ユー 〜家庭内再婚〜』以来、描き下ろした意欲作。演出は映画『60歳のラブレター』『いつまた、君と〜何日君再来〜』の深川栄洋さんが舞台に初めて挑む。

 バリでの結婚式を翌日に控えたカップル、その両親がコテージの一室で本音でぶつかりながら、驚きの結末を迎えるというシチュエーション・コメディだ。栗山にとって、舞台は故・蜷川幸雄さん演出の3作品に出演して以来。久々の舞台での苦労、映像作品との違い、結婚観について、話を聞いた。

5年ぶりの舞台なのでフレッシュな感覚で

拡大栗山千明=冨田実布撮影
――5年ぶりの舞台となりました。避けていた、というわけではないですよね?

 そこは事務所に聞いてください(笑)。回数の経験も少ないものですから、話を聞いた時はドキッとしましたね。過去の3回は、2年おきくらいでやっていたので、慣れる前に公演が終わっていたという感じです。そういうことを繰り返していたので、思い出すも何もみたいな……。ある意味、フレッシュな感覚。初めてのような感覚で、いま、稽古に臨んでいます。

――初舞台は『道元の冒険』。23歳の時でした。最初は、蜷川さんのことが怖かったそうですが、実際は違ったそうですね…。

 わー、23でしたか。じゃあ、10年くらい前ですね。実際に蜷川さんにお会いする前の取材で、「蜷川さん怖い、怖い、怖い」といっぱい言いすぎて、ご本人の耳にもそれが入っていたんだと思います(笑)。それが原因かは分からないですけども、イメージを覆すくらいやさしくしていただきました。もちろん私が舞台は初めてで、すごくびびっていたので、舞台を嫌いにならないように、「楽しんで楽しんで」ということを、いつもおっしゃっていただきました。ほかの方に厳しい言葉を聞くこともあったんですけども、少なくとも、私には楽しめる状況を作ってくださいましたね。

――思い出に残っていることはありますか?

 舞台での立ち振る舞いといいますが、大きなステージでどう動いていいかも分からない。そんなモヤモヤしていることを感じてくださった時は、私が休憩に入った瞬間に、こそっと隣に来て、小さな声で「動きたいタイミングで階段に行ってみな」みたいなことをサラリと言っていただきました。ほかの蜷川さんの舞台を踏まれている方には、大きい声で、「そこだよ」とかおっしゃっているんですけども。

 今だから言えますけども、私は“怖い蜷川さん”というものを、ご自身で演じていらっしゃったのではないでしょうか。そう思うくらい、やさしかったです。

――過去のインタビューでは、「舞台の楽しさを蜷川さんに教わった」と話されていますね。

 楽しめるまでが大変なんですけど。ドラマや映画だと、あそこまで共演者の方やスタッフさんと密な交流で本番を迎えることはなかなかないです。長い稽古を経て、チームワークみたいものができていく。そういうことがステージに上がった時に自分の心の支えになり、安心して立てるんです。少ない経験ながらも、そういうことをすごく感じました。

――「少ない」とは言いますが、1回の公演は稽古、東京公演、地方公演で3カ月くらいはありますよね。それは濃密な体験ではなかったですか?

 稽古も入れたら、キャストやスタッフのみなさんと過ごすことになりますね。

舞台は見てくださるお客さんの反応がうれしい

拡大栗山千明=冨田実布撮影

――栗山さんは、映画やドラマの映像作品への出演が多いわけですが、やはり、舞台は違いましたか?

 舞台をやる前は、「生なんて、できない」と思っていたんですけど、キャストやスタッフのみなさんと過ごす時間の中で、「最悪、私がなにか失敗してもみんな助けてくれるな」と思ったんです。ドラマの場合、最近はリハーサルをやらないことも多いので、現場に行って「初めまして」というような方といきなり、お芝居をする心細さのようなものがあるんです。そういうのはない。信頼関係があった上で、演じることができるので、そこも、楽しさのひとつです。

 あとは、見てくださるお客さんの反応がうれしいんですよ。例えば、ドラマだったら視聴率。映画でしたら興行が反応です。でも、数字で聞いてもピンとこないんです。見てくれているんだなぁーという、どこか遠い感じなんです。

 最初の舞台も、今回同様、コメディだったんですが、声を出して笑ってくださるのは、うれしいです。面白かったのは東京と大阪で公演があって、笑うポイントが違うんです。それはほかのキャストさんがおっしゃっていて、そうだと気づきました。舞台だと、こういう方たちが来てくださって、こういう感じのリアクションをしてくださるんだと、目の前で実感できる。

――舞台の上から、観客の顔は分かるものですか?

 過去の舞台は、すべて劇場が渋谷のシアターコクーンで、地方も大阪2カ所くらいしかなかったです。だから、ほかの劇場のことは分からないんですけど、前列の方は顔は分かりますよ。特に、前から3、4列目までは。「今日、だれだれが来ている」という話を聞くと、どこにいるのかな? と探してしまったりしますね(笑)。

◆公演情報◆
『ミッドナイト・イン・バリ ~史上最悪の結婚前夜』
2017年9月15日(金)~29日(金) 東京・シアタークリエ
ほか、全国ツアー公演あり
[スタッフ]
脚本:岡田惠和
演出:深川栄洋
[出演]
栗山千明、溝端淳平、浅田美代子、中村雅俊
ピアノ:荻野清子、ギター:阿部 寛、パーカッション:藤井珠緒
公式ホームページ
〈栗山千明プロフィル〉
幼少時から芸能活動を始め、映画『死国』で女優デビュー。その後、CMやテレビドラマ、映画、舞台などで幅広く活躍中。
栗山千明オフィシャルウェブサイト

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筆者

平辻哲也

平辻哲也(ひらつじ・てつや) ジャーナリスト、コラムニスト

1968年、東京生まれ千葉育ち。法政大学法学部卒業。92年に報知新聞社に入社。主に映画記者としてのキャリアを積み、カンヌ、ヴェネチア、ベルリンの世界三大映画祭などを取材。10年以上芸能デスクを務めた。2015年に退社し、フリーに。趣味はサッカー観戦、自転車。ジェフ千葉のサポーターとしてアウェー遠征の旅を楽しむ。

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