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眞子さまと小室さんへのイチャモンは余計なお世話

皇室は「そんなこと」は気にしない

青木るえか エッセイスト

婚約が内定し、記者会見する眞子さまと小室圭さん=3日午後3時7分、東京・元赤坂、代表撮影 20170903拡大婚約の記者会見をする眞子さまと小室圭さん=2017年9月3日、東京・元赤坂、代表撮影
  『徳川慶喜家の子ども部屋』という、徳川十五代将軍慶喜のお孫さん(榊原喜佐子)が書いた本がある。わりと話題になったから読んだことのある方もいらっしゃると思うが、内容はともかくとして、この本に描かれている人びとは、「徳川十五代将軍」「その後嗣」「後嗣の奥さんは有栖川宮家より輿入れ」「その長女は生まれた時から高松宮に輿入れの予定」「著者はその妹で、姉の嫁ぎ先である高松宮邸にはよく招かれ、結婚の前には大宮御所(皇太后の御所)にご挨拶に行く」……とまあ、日本の上流階級というものがあるならこういう人たちで、皇室にお近づきになるのもこういう人たち、上流のめんどくさいことはすべて任せた!という気持ちになれる、ありがたい方々である。

皇室って、わりとゆるい

 同じ頃に『女聞き書き 徳川慶喜残照』(遠藤幸威著)という本を見つけて読んだ。読んだら聞き捨てならないことが書いてあった。これは、徳川慶喜にゆかりのある女の人たちが慶喜公について語ったのを聞き書きした、という体裁の本で、いろんな人が出てきていろんな話をしている。

 その中で、本の最後に出てくる「差し障りがございますので仮名でお願いいたします」といって「松平幸子」という名前で登場した女性が、「徳川慶久公について」いろいろ語る。

 慶久公とはまさに『徳川慶喜家の子ども部屋』の著者の父、徳川慶喜の後嗣その人である。その慶久公は37歳の若死になんだけど、それは睡眠薬の飲み過ぎで、ほとんど自殺に近いようなもんだった、と。

 なぜそんな自殺に近いような死に方をしたのかというと――お話をザックリまとめてみますと――有栖川宮家から嫁いできた奥様がちょっと病気になって夜のお勤めがつらくなったので、どこかから側室を迎えるよりは顔見知りのほうがいいと自分の召使の女性を代わりに差し出したところ、慶久公はすっかりお気に入ってお子様も二人生まれた。奥様は承知の上のこととはいえやはり面白くなく、役者遊びを始め、なんと妊娠までしてしまい、それで慶久公が奥様の髪の毛を掴(つか)んで引きずるような諍いも行われたと。その果ての「自殺に近いような死に方」だったと。えーっ。いいのかそんなこと言っちゃって。

 この松平幸子(仮名)さんの話だと、『徳川慶喜家の子ども部屋』を書いた「慶久公の三女」は、有栖川宮家から来た奥様が母ではなく、いわゆる脇腹ということになる。ナゾなのは「奥様が役者遊びをして妊娠して、それはいったいどうしたのか」ということだが……なんてことより、こんなゴタゴタのあった家庭の娘が天皇の直宮へお輿入れをちゃんとしてるんだ。徳川喜久子が高松宮に入輿したのは父上が亡くなってから8年後であって、そういうことすべてコミでつつがなく結婚まで進んだということになる。この松平幸子(仮名)さんが嘘八百語りまくってるんでなければ。

 ……というのは別にこの高松宮の結婚に文句があって言っているのではない。親のやったことで結婚が潰れるとかバカバカしい。そんなことは間違っている。本人同士がよければいいのだ(といってもこの時代、結婚に本人の意志がどれだけ反映されてたかってのも問題だが、高松宮と喜久子妃って仲も良さそうだったし、結果として本人たちはよかったようだ)。

 でも皇室なんて日本でいちばんしきたりとかゲン担ぎとか重んじそうな家じゃないですか。それなのに、こういうことは問題にならなかったのか、という疑問だ。

 実は皇室って、わりとそういうとこはゆるいと思う。明治大正昭和の皇族華族の裏話みたいのを読んでると、香淳皇后の実家の久邇宮家でもいろいろあったりして(例の『宮中某大事件』のこととは別の話。香淳皇后の兄の婚約破棄問題とか、いったいなぜこんなことが……っていうようなことやってる)、おいおいいいのかよこれ、と思うことが地雷のように埋まっている。

ホメてるフリして、チクチクする人

 秋篠宮眞子さまと小室圭さんが婚約した。

 おめでとうございます。

 しかし皇族の結婚となると黙っていられない人はいっぱいいる。紀子さまの時も雅子さまの時も、「おめでとうございます」「お幸せに」「華麗なる才媛皇室外交も」「可憐なプリンセス美しい微笑み」とかの賛辞の裏でいろいろな話が噴出したものです。ほっとけよ。でもほっとけないんですねえみなさん。2ちゃんねるあたりでの罵詈讒謗(ばりざんぼう)はすごいものである。いまだにやってる。

 さて今回のご婚儀、そういうのとちょっとちがうのは、「皇族に嫁入ってくる女」ではなくて、「皇族を奥さんにする男」がクローズアップされるということ。いわゆる嫁いびりの図式じゃなくて、ムコいびり?ということで、女だろうが男だろうが、言われるんですねえ。男女平等でいいかもしれない。いやよくない。

 黒田清子さんが結婚した時とはちょっと感じがちがう。 ・・・続きを読む
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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

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