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小田急線沿線火災と車両への延焼、ここが疑問

乗務員より先に消防が運輸司令所に連絡したのは想定外?

岸田法眼 レイルウェイ・ライター

延焼した小田急線の車両。屋根に焼け跡が残っていた拡大延焼した小田急線の車両。屋根に焼け跡が残っていた
 2017年9月10日16時頃に小田急線(小田急電鉄小田原線)参宮橋―代々木八幡間で発生した沿線火災は、踏切付近で急停車した各駅停車新宿行きの7号車の屋根に燃え移る事態を招いてしまった。むろん、火災を発生させた側に問題があるのは明白だが、小田急電鉄、警察、消防の対応にも問題はなかったかを考えてみたい。

鉄道各事業者の対応

 沿線火災が発生した場合、鉄道事業者はどう対応するのだろうか。複数の鉄道事業者に「1.沿線火災が発生した場合の対応」、「2.現時点、マニュアルを見直す予定は」の2点を尋ねてみた。

○京王電鉄
1.具体的には、乗務員(運転士・車掌)は発見した場合、指令所へ連絡し、その後、駅掛員(かかりいん)や警察・消防と連携して対応する。そして、安全が確認できた時点で運転を再開する。
2.現時点ではマニュアルを見直す予定はない。
○京阪電気鉄道
1.運転士が線路付近で発見した場合は、その状況を指令所に報告したあと、状況により沿線火災の現場を注意して運転する。運転に支障があると判断した場合は、運転を一時中止するなど適宜の処置をとる。
2.ない。
○東京急行電鉄
1.状況によって対応方が変わるので、一概には申し上げられないが、基本的には火災発生現場から離れ、安全な運行が継続できないようであれば、その場で停止をする。
2.未定。
○東京メトロ
1.火災の規模や状況によって対処方法も変わってくるが、基本的な対処方法は以下のとおり。
・事故が発生したときは、状況を指令所まで報告し、可能な限り次駅まで運転を継続する。
・次駅まで走行不可と判断した場合は、運転を見合わせるとともに、関係各所への通報を行なう。
 なお、必要に応じて避難誘導なども行なう。
2.今のところ見直しの予定はない。
○東武鉄道
1.火災を発見した乗務員は、駅長や運転指令などに連絡のうえ、状況に応じて対応する。
2.現在のところ変更の予定はない。
○ひたちなか海浜鉄道
1.弊社の場合、ほぼ全線平面で、大きな橋梁、高架、トンネルなどがないため、沿線火災に関するマニュアルが明文化されていないが、火災を検知した場合、運行を停止する措置を取る。
2.今回のようなケース(非常ボタンで停止して、延焼)は、想定外なので、これを機に、対策を検討したいと思う。

 なお、小田急電鉄については後述する。

消防と運輸司令所の対応に疑問あり

 小田急線の沿線火災が発生した16時台は、上下線合わせて約40本の列車が運転されている。小田急電鉄ホームページの新宿駅、代々木上原駅の時刻表を見ると、火災発生時、少なくとも下り1本、上り2本が現場を通ったものと考えられる(上り2本のうち、1本は飛び火された列車)。

参宮橋と代々木八幡間の線路に停車した小田急線の車両。火災現場から白煙が上がる=2017年9月10日16時49分、東京都渋谷区拡大参宮橋と代々木八幡間の線路に停車した小田急線の車両。火災現場から白煙が上がる=2017年9月10日16時49分、東京都渋谷区
 火災は線路脇のビル3階で発生したとみられるが、その時刻に現場を通過した列車の乗務員、乗客はまったく気づかなかったのだろうか。それが不思議でならない。

 当該列車の運転士は、 ・・・続きを読む
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筆者

岸田法眼

岸田法眼(きしだ・ほうがん) レイルウェイ・ライター

2007年1月にライターデビュー。旅、鉄道、小説、時事問題、プロ野球、大相撲、平和などをテーマに執筆。『TRAIN MODELING MANUAL』(ホビージャパン)、『鉄道のテクノロジー』(三栄書房)、『鉄道ファン』(交友社)、『ハフポスト日本版』などに寄稿している。