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【公演評】雪組『CAPTAIN NEMO』

彩風咲奈、寡黙なカリスマ船長で初のドラマシティ主演、ソロダンスでも魅せた

さかせがわ猫丸 フリーライター


拡大『CAPTAIN NEMO』公演から、ネモ船長役の彩風咲奈=岸隆子(Studio Elenish)撮影

 雪組公演、『CAPTAIN NEMO』…ネモ船長と神秘の島…が、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演されました。雪組期待の男役、彩風咲奈さんがドラマシティと東京・日本青年館で、東西初主演をつとめます。

 ジュール・ヴェルヌの海洋SF小説『海底二万里』をヒントに、ネモ船長が潜水艦ノーチラス号の指揮を執り、植民地支配をもくろむ国々と闘うファンタジックミュージカルですが、主人公の寡黙なカリスマキャラクターが新鮮で、いつもとは一味違うところ。地上の楽園を自らの手で作り上げ、人々に強く愛されながら平和を守り抜く孤高の美学を、彩風さんが美しく、かつ男くさく演じています。

トート閣下にも似た妖艶な彩風

拡大『CAPTAIN NEMO』公演から、ネモ船長役の彩風咲奈=岸隆子(Studio Elenish)撮影
 オープニングは真っ赤な衣装に身を包んだ男女の激しいダンスから。苦しさや憤りが伝わるダンスは、ネモ船長のふるさとポーランドがロシアに侵攻された様子をイメージしているようです。その中へ颯爽と登場した彩風さんは、金色のストレートロングヘアを一つにしばり、真っ白な衣装で踊る姿がまぶしいほどに美しく、『エリザベート』のトートにも似た妖艶さで目を奪われます。この公演では彩風さんのダンスが随所にちりばめられ、ダンサーとしての魅力をたっぷり味わえるのが大きな見どころとなりました。

――19世紀後半。南極付近では捕鯨船が沈没する事故が相次いでいた。イギリス海軍将校ラヴロック少佐(朝美絢)はその謎を調査するため、海洋気象学者のレティシア(彩みちる)、海洋生物学者のジョイス博士(華形ひかる)、新聞記者のシリル(永久輝せあ)を拉致するが、南極に向かう途中、彼らを乗せた装甲艦も沈没してしまう。ラヴロックと3人は花が咲き乱れる不思議な島にたどり着いていた。南極に近いにもかかわらず温暖な気候と、世界各国の人々が暮らすこの島の名前はマトカ……地図にも載っていない、科学の粋が集められた島だった。

 舞台が明るくなると、レティシア、ジョイス、シリルの3人が縄で縛られていました。いきなり捕らわれて状況がわからない中でも、レティシアは海の様子などからおおよその位置をすばやく分析し、聡明かつ強い意志を持つ女性学者であることがわかります。演じる彩みちるさんは、『ドン・ジュアン』に引き続き、これがドラマシティ作品2度目のヒロイン。愛らしい容姿ながら、芯の強いレティシアを力強く演じています。

 もう一人の学者ジョイスを演じる華形さんは常に冷静で、落ち着いた演技に深みがあります。専科さんらしい重厚な存在感で物語を引き締めていました。

◆公演情報◆
MUSICAL FANTASY
『CAPTAIN NEMO』…ネモ船長と神秘の島…
~ジュール・ヴェルヌ「海底二万里」より~
2017年8月29日(火)~9月4日(月) 東京・日本青年館ホール
2017年9月16日(土)~24日(日) 大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
[スタッフ]
脚本・演出:谷正純
公式ホームページ

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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