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玉木宏、4年ぶりの舞台出演『危険な関係』

稀代のプレイボーイ、ヴァルモン子爵役

真名子陽子 ライター、エディター


拡大玉木宏=岸隆子撮影

 プレイボーイの子爵と策略家の侯爵夫人が仕掛ける背徳の恋愛ゲーム――10月8日から東京・シアターコクーンで上演される舞台『危険な関係』(11月に大阪公演あり)は、フランスの作家、ピエール・ショデルロ・ド・ラクロ原作の恋愛心理小説で、設定を変えて何度も映画化された作品。それを、劇作家のクリストファー・ハンプトンが戯曲化し、1985年にロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)が初演。その後、ウエストエンドやブロードウェイでも上演されている人気作だ。日本では1988年に初演され、1997年には宝塚歌劇団が『仮面のロマネスク』としてミュージカル化している。

 今作の演出は、RSC出身で日本初演出となるリチャード・トワイマン。稀代のプレイボーイ、ヴァルモン子爵役は4年ぶりの舞台出演となる玉木宏、妖艶な貴婦人、メルトゥイユ侯爵夫人役は鈴木京香が演じ、その二人が仕掛ける恋愛ゲームに翻弄される貞淑なトゥルヴェル法院長夫人役は野々すみ花があたる。ヴァルモン子爵役を演じる玉木宏の取材会が大阪で行われ、4年ぶりとなる本作への意気込みを語ってくれた。

ヴァルモンを操れたら気持ちよく演じられる

玉木:舞台出演は4年ぶりですが、前回とは毛色が違う作品ですので、また違ったものをお見せできると思います。すでに稽古に入っていますが、通常より稽古期間が長いんですね。とても繊細な会話劇で、心理戦もあり複雑です。ですから登場人物の解釈が違わないように、皆ですり合わせをしています。いろんな形で映画化や舞台化されてきた作品ですが、今作は元の戯曲に近い作品になっていると思います。

記者:原作に近い作品とのことですが、舞台ならではの魅力を教えてください。

玉木:映画だと少し誇張してお見せしないと伝わりにくかったりしますが、舞台だとお客様自身が好んで見てくださるので、わかりやすさはそんなに必要ないかなと思います。原作のニュアンスをできるだけ残して翻訳をされていますので、一言一言が丁寧に書かれています。演じるヴァルモンも言葉巧みな人物で、まだ、僕自身がヴァルモンをコントロールできていないのですが、自由に操れるようになると、気持ちよく演じている自分がいるように思います。

記者:ヴァルモンのキーワードなどありますか?

玉木:まだ、探っているところですが、彼はとても頭の回転が速いので、対する人によって変化できる人だと思います。そういう多面性が危険な人物感を表していますし、何を考えているかわからない、敵に回したら怖い、そういったところも踏まえながら作っていきたいなと思っています。

一つの言葉の持つ意味が、一つではない

拡大玉木宏=岸隆子撮影

記者:演出のリチャード・トワイマンさんとは同じ年齢だそうですね。作品についてどんなお話をされているのでしょうか?

玉木:とてもご活躍されている方で、日本では初めての演出作品になります。作品への愛情を持っている方で、この作品の解釈を統一するために時間を費やしているように、とても繊細な作品であると最初から言っていましたし、彼自身がとても繊細な方です。セリフを発する僕らにあいまいなところがあっても、どういう意味で言ったのか、日本語そのものは分かっていないけれど、ちゃんと心で伝わっているんです。彼が初めて日本で演出する公演を共に成功させたいなと思います。もちろん、お客様に見ていただくためなのですが、彼自身にも喜んでもらえる時間になると良いなと思っています。

記者:この作品を通して伝えたいことは?

玉木:人にいじわるをしたり、誰かを愛する気持ちだったり……作品の内容はすごい世界ですが、人の根底にある気持ちを理解できるから、時代を経てこれだけたくさん作品化されているんだと思います。そういうところを伝えたいし、僕たちもそこを理解してやるべきだと思っています。

記者:解釈を統一するのに時間をかけているということですが、新たに気づかされたことはありますか?

玉木:一つの言葉の持つ意味が、一つではないということ。二つだったり三つだったり、そういう意味も含めて言っていたんだとか、ちょっとした単語が相手をいじめる卑猥な単語だったり、そこまで解釈していなかった、という言葉がたくさんありました。一つの言葉にいろんな意味が含まれているんだと。1行1行すべて、これはどういう意味かということを確認しましたね。

記者:お客様は一つの言葉の意味をストレートに捉えたらいけないですね。

玉木:ストレートに捉えて理解できることも、もちろんあるんですけど、何回も見ていただけるお客様は、新たな発見ができる作品だと思います。この作品を知っている方は、あのセリフをどういう風に発するんだろうと楽しみに見る方もいらっしゃるだろうし。それぐらい奥が深い作品だと思います。

変化をしないように変化を楽しむ

拡大玉木宏=岸隆子撮影

記者:4年前に初めて舞台に立たれて得たものは? また、どのような経験をされましたか?

玉木:ずっと舞台をやりたいと思っていた理由はシンプルで、生でお客様に芝居をお見せできるからです。稽古期間を経て本公演が始まると、自分達でゴールまでもっていかなければいけない。舞台はメンタルが鍛えられるなと感じています。

 前回は東京・名古屋・大阪でさせてもらったのですが、場所によってお客様の反応も違います。その中で毎回、同じものを提供しなければいけない難しさを経験しました。お客様の反応は芝居をしながら耳に入ってくるので、流されない事が重要だなと思いました。映像だとセリフは一回言えば終わりますが、舞台は違いますよね。相手役の反応も変わりますから、毎公演を新鮮に演じる難しさがありました。

記者:今回、それらの経験は楽しみになりますか?

玉木:今回の作品はいろんな解釈ができる作品ですから、やりながら新たな発見があるかもしれないですし、変化をしないように変化を楽しむ、というか……(笑)。難しいところではありますが、楽しめたらいいですね。

舞台はパリだけど、和のテイストが入る

拡大玉木宏=岸隆子撮影

記者:18世紀末の話ですが、チラシを見ると衣装は現代風です。

玉木:設定は18世紀ですが、リチャードやイギリス人の衣裳担当の方が日本で上演する意味を考え、セットも含めて少し和のテイストが入ってきています。18世紀の衣装ではなく、現代的な感じになっています。

記者:場所はパリなんですか?

玉木:はい、パリです。でも、リチャードがよく言うのは、「2017年、ここは東京です」と。それが、非常に難しい。セリフではパリで…とか、馬車が…と言っていますし、台本のト書きに手の甲にキスをすると書いてあるのですが、それをやめて日本風なお辞儀を取り入れたいと言われたり。まだまだお稽古期間はありますので、探りながら形にしていかないといけないです。

 セットもシンプルで余計なものは置きたくないという方ですので、何もない空間のシーンもありそうです。日本へ来ていろんなものを見たようで、畳や障子、ふすまなどを取り入れて、引き戸のように横にスライドする扉をイメージしているようです。まだ、話でしか聞いていないので想像でしかないですけど。

記者:予想を超えた舞台になりそうですね。

玉木:そうですね。作品そのものは戯曲に近いのですが、空間に関しては想像をはるかに超えるものになるんだろうなと思います。

上品さも下品さもある愛憎劇

拡大玉木宏=岸隆子撮影

記者:共演者の方の印象を聞かせてください。

玉木:鈴木京香さんも野々すみ花さんも穏やかな方なので、稽古場にもものすごく穏やかな時間が流れています(笑)。そして、稽古場が暑いんです。今回、女性キャストが多くて、体感温度が違うんでしょうね。冷房がすぐに切られていて……何もしていないのに汗が…(笑)

記者:千葉雄大さんなど若手の方の印象は?

玉木:千葉君とは三度目の共演になるんですけど、言葉数も少なくふわ~っといるタイプなので、男性陣も含めて穏やかな人が多いなという印象ですね。

記者:見て欲しいところ、見どころをお願いします。

玉木:これまでの作品を見ていない方は、多少の知識を入れてからご覧になった方が、もっと楽しめる作品になると思いますし、この作品を知っている方は、状況ごとに発せられる言葉を楽しんでいただけると思います。上品なところは上品に、ある部分では下品さもある愛憎劇です。背徳の恋愛ゲームを作品の中で楽しんでいただけると思います。

◆公演情報◆
シアターコクーン・オンレパートリー2017
DISCOVER WORLD THEATRE vol.2
『危険な関係』
2017年10月8日(日)~31日(火) 東京・Bunkamuraシアターコクーン
2017年11月9日(木)~14日(火) 大阪・森ノ宮ピロティホール
[スタッフ]
作:クリストファー・ハンプトン
翻訳:広田敦郎
演出:リチャード・トワイマン
美術・衣裳:ジョン・ボウサー
[出演]
玉木宏、鈴木京香、野々すみ花、千葉雄大、青山美郷、佐藤永典、土井ケイト、新橋耐子、高橋惠子 ほか
公式ホームページ

筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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