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『ひよっこ』は珍しく「ちゃんと朝ドラ」してた

そのへんにいるお姉ちゃんみたいになった有村架純も素晴らしい

青木るえか エッセイスト

有村架純(右)は「ひよっこ」に登場するポークカツサンドを、葵わかなは「わろてんか」拡大朝ドラは、有村架純(右)の「ひよっこ」から、葵わかなの「わろてんか」へ
 HKT48に、冨吉明日香(とみよし・あすか)というメンバーがいる。世間的にどれぐらいの知名度があるのかわからないが、今年の選抜総選挙では38位、……もっと世間の知名度がよくわからなくなる順位だ。

 AKBグループにいる子ですから充分可愛い子で、でもAKBはブスばかりということも言われているから、そういう自虐ネタをあえて引き受ける子もいるわけで、冨吉明日香はそのタイプです。なので自分のことを「ムッシュかまやつ(どことなく似ている)」「(やきそばの)ペヤング(顔が四角い)」などと自称していて、そういうのの中に「有村架純」というネタもある。それは「有村架純てお前がどの顔で言うとんじゃー!」というツッコミ待ちのネタなわけですよ。いやー、冨吉はじゅーぶん可愛いと思うし私は冨吉の顔のほうが有村架純より好きだけど、世間(AKBファンという狭い世間)では「冨吉明日香は残念有村架純」ということになっている。

 『ひよっこ』を見続けていましたら、有村架純がどんどん冨吉明日香みたいになっていったので驚いているのだ。でも「有村架純、冨吉みたいになっとる!」と叫んでもほとんど通じない。有村架純の冨吉化を多くの人に知ってもらいたい。ネットで冨吉の顔でも検索してみてください。

朝の空気のような時間

 有村架純が冨吉みたいになったというのは『ひよっこ』というドラマとして正しい。

 なんか久しぶりに「ちゃんと朝ドラ」な朝ドラだったから。『ひよっこ』は。

 って、ここしばらく朝ドラといえば「金持ちの恵まれた女子が多少苦労して有名になり金もさらに儲ける」という話ばっか……いや、冷静に考えるとそうでもないんだけど、とにかく『あさが来た』と『べっぴんさん』にはホント、腹が立ってたんだ。朝の忙しい時間に、金持ちのイイ気な成功話なんか見たくねーんだよ!

 金持ち成功話じゃないというと、『あまちゃん』や『ごちそうさん』だけど、これにもちょっと問題があった。面白かったからいいんだけど、気を抜くところがなかったというか、完成度が高すぎたというか。完成度が高いことは、NHKの朝ドラには不要だと思っている。もっとぼんやりした、抜けたところが必要だ。

 だからといって『ウェルかめ』だの『純と愛』みたいな「純粋につまらない、見てられない」のも論外であって、「無名のちょっと可愛い女の子が苦労したりうれしがったりしながら時がすぎていく、それをぼんやり見続けてしまう、朝の空気のような時間」こそが朝ドラではないかと思う。

 その点で、『ひよっこ』は完璧であった。

 最初のうち、有村架純はまだ「タレントの有村架純」の顔をしていて、ドラマの中で無意味に垢抜けていたが、話が進むに従って、どんどん垢抜け……の逆の、垢がついたような風貌になっていった。 ・・・続きを読む
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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

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