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水原希子さんヘイト被害と識者の「セカンド差別」

本名至上主義は差別思想の裏返し

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

「ザ・プレミアム・モルツ<香る>エール」のCM=サントリーの公式サイトより
 2017年9月中旬、女優・モデルの水原希子さんを起用しているサントリー「ザ・プレミアム・モルツ」の公式TwitterアカウントでCMが紹介されたことに対して、たくさんの差別・ヘイト投稿(返信)が寄せられ、大きな話題となりました。

 水原さんはアメリカ・テキサス州ダラスの生まれで、父親=アメリカ人、母親=在日韓国人とのことですが、レイシストにはそのようなバックグラウンドが気に食わなかったようで、「エセ日本人」「日本人を起用しろ」等の差別・ヘイトの投稿を飛ばす人が後を絶ちませんでした。中にはサントリーに対して不買運動を宣言する人まで出たほどです。

 私もすぐエキサイトニュースで批判する記事を書きましたし、ジャーナリストの津田大介氏やタレントの小島慶子氏等、ネットでも著名な方々が批判を展開したことで、「ネット右翼のヘイトは本当にどうしようもない」で終わる案件かと思っていました。

著名人やタレントがネトウヨに加担

 ところがそれでは終わらず、あろうことか一部のTVタレントや著名人が、差別する側に加担するような動きを始めました。たとえば、タレントのフィフィ氏はTwitterで以下のように述べています。

 「偏見がなくなって欲しいと願うなら、彼女の場合は分からないけど、例えば生まれ持った名前で活動する方が素敵だと思う。それを躊躇することこそ偏見って思われちゃうからね」

 これは間違った推断です。水原さんは生まれ持った名前で活動することを“躊躇”しているのでしょうか? 水原さんは生まれも国籍もアメリカで、本名は「キコ・オードリー・ダニエル」です。しかし、2歳から日本に渡り、「水原希子」という通名で育ったとのことで、その日本式の名前に対して強いアイデンティティーがあるのは当然でしょう。憶測でしかありませんが、もしかしたら本名よりもアイデンティティーを感じているかもしれません。そこに、あかの他人が「躊躇」などと勝手に判断するのは間違った推断です。

リリー・フランキー氏は日本人なのに

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