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石丸幹二、『スカーレット・ピンパーネル』再演

昨年に続く上演に「新鮮さがマヒする感覚は一切ない」

真名子陽子 ライター、エディター


拡大石丸幹二=岸隆子撮影

 昨年、大好評のうちに幕を下ろしたミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』が、早くも11月13日から大阪・梅田芸術劇場メインホールで再演される(11月20日から東京・赤坂ACTシアター)。

 1997年にブロードウェイで初演された『スカーレット・ピンパーネル』は、2008年に日本で初めて宝塚歌劇団で上演された。そして昨年、主人公パーシー役に石丸幹二を迎え、ブロードウェイ版を基に新たな『スカーレット・ピンパーネル』が誕生。作曲家・フランク・ワイルドホーンの楽曲を石丸の温かくも説得力のある歌声で聞かせ、観客を魅了した。その石丸の取材会が大阪で開かれ、初演時の感想や共演者とのエピソード、そして再演へかける意気込みなどを語ってくれた。

安蘭さんは頼もしい存在

拡大石丸幹二=岸隆子撮影

記者:昨年の初演を終えた感想、そして今回の再演を迎える気持ちをお聞かせください。

石丸:『スカーレット・ピンパーネル』は最初、宝塚歌劇団で上演されました。私たちが手掛ける本作はブロードウェイバージョンで、宝塚のバージョンと少し違うところがあるんですね。だから、お客さまに受け入れてもらえるんだろうか、という思いの中で幕を開けました。すると、こういうアプローチがあるんだと受け入れてくださったり、宝塚ではパーシーを演じていた安蘭さんがマルグリットを演じることで見えてくるおもしろさを堪能してくれたり、とても客席の反応が良かったんです。今回もその勢いをもって演じたいと思います。

記者:宝塚バージョンでパーシー役を演じた安蘭さんには相談されたりしたのでしょうか?

石丸:作品のことをよく知っていらっしゃいますので、とても頼もしい存在でしたね。パーシーとしての所作やマルグリットの受け入れ方などを伺ってみました。安蘭さんは、パーシーはマルグリットのことをあまり見ていなかったとおっしゃったんですね。それがとても新鮮でした。私の役作りは、いつもマルグリットを見ながら、果たして彼女は本当に敵と通じているのか、と疑っているんです。どちらの役作りもアリだと思うんですよね。私たちのバージョンはコメディシーンもたくさんあるんですけど、大人の男女の駆け引き……愛しているんだけど疑ってしまう苦しさなどをより出していけば、自分らしいパーシーになるのではという思いに結びつきました。

記者:新婚早々、パーシーはマルグリットを疑いますよね。

石丸:自分の腹心の友である貴族が殺されてしまう。そのきっかけがマルグリットだったことを結婚式の夜に知るんですよね。でもそのことをパーシーは問いただせなくて、彼女に冷たく当たる。彼女はなぜ冷たくされるのか、思い当たらない…そのまま物語が進んでいきます。悩み苦しんでいることを早くぶつければいいのにというじれったさ。愛しているのに信じきれないという人間の悲しい部分も描かれています。そこは演じるにあたって、とても難しかったです。

大胆なキーチェンジ、大変だけど楽しい

拡大石丸幹二=岸隆子撮影
記者:パーシーの魅力はどこにあると思いますか?

石丸:イギリスの貴族たちは大概そうかもしれませんが、女性に対しての顔と男性に対しての顔を使い分けているんですね。ピンパーネル団は男性同士の友情の表れ。少年の“何とかごっこ”の延長に見えてしまいがちですが、本気でこぶしを振り上げて正義の味方になっていくところがおもしろいなと思います。パーシーがグラパンというキャラクターになってスパイ活動をするという大胆さもおもしろいですよね。

記者:楽曲の魅力についてお聞かせください。

石丸:多彩な楽曲がちりばれられています。心の内を吐露している曲や、ピンパーネル団が一丸となった時の勇ましい曲、コメディ要素が入った曲など、違う色が出ていますし、それぞれのキャラクターを生かした曲になっています。また、私が歌う心情を吐露する歌などは、大胆なキーチェンジが途中に入っています。ワイルドホーンの手法なんですね。滝が一気に流れ落ちるような大胆なキーチェンジで、お客さまも満足度が高いんじゃないかと思います。歌う方は大変なんですが(笑)、ワイルドホーンスタイルの曲を歌うのはとても楽しいです。

記者:とてもキャッチ―で、耳に残る楽曲が多いですね。

石丸:そうですね。口ずさみながらお帰りになるお客さまが多いのではないでしょうか。いろんな曲を口ずさんで帰られるんじゃないかなと思います。

記者:演じるパーシーが歌う歌で大切にされている楽曲は?

記者:このバージョンのために書き下ろしていただいた楽曲があるんです。暗礁に乗り上げ士気が落ちそうになったピンパーネル団をもう一度束ねるために歌います。ピンパーネル団のみんなの目の色が変わるほど、歌い上げながら表現せねばならない。役者として技を問われる歌なんです。やりがいもありますし、歌いがいもあります。

記者:今回は演出に石丸さちこさんが入られます。

石丸:前回、演出補で入っていらっしゃいまして、演出家の手法を見ながら、日本人キャスト用にかみ砕いてくださいました。今回は、新しいキャストも多いですから、その方々にあった新たな部分を作ってくれるのかなと期待しています。新しいメンバーの方々と、どのように作り上げていくのか楽しみですね。

記者:衣装などの変更点はあるんでしょうか?

石丸:前回、相当手の込んだ衣装を作ってくださったので、変える必要はないと私は思っています。パーシーとしての衣装だけで7~8枚あって早替えもしていました。スタッフが一気に集まって着替えさせてくれるのが新鮮でしたね(笑)。鬘や装飾品などもあっという間に替えてくださるので、マジックみたいでおもしろかったです。そのため、衣装が着崩れていないかどうかを舞台上でいつも気にしていました。マント裁きも難しくて、これは安蘭さんに伺いました。宝塚の方はマント裁きが上手ですからね。ちょっとしたコツがあって、力任せではできないんです。

毎朝、コーヒーを飲みながら語り合った

拡大石丸幹二=岸隆子撮影

記者:短期間での再演。演じるうえで新鮮さが失われることはないのでしょうか?

石丸:いえ、逆に新鮮になります。また、まったく忘れてしまうほど空いていないので、前回の課題が記憶に残っています。そこを積み上げていける面白さがあるんじゃないかと思っています。新しいメンバーも入りますし、その意味では、0からのスタートになりますので、新鮮さがマヒする感覚は一切ないですね。

記者:前回の課題というのは?

石丸:あれだけの回数をやりましたけれど、やればやるほどお互いの芝居が見えてくるんです。セリフの投げ方や受け取り方が違ったり、いつまでやっても終わりはないんです。もっとおもしろくできないか、もっと深くセリフのやりとりができるんじゃないか……新しいアプローチができるかもしれない、今はそんな気持ちでいます。

前回、石井(一孝)君と安蘭さんと毎朝、私の楽屋でコーヒーを飲みながら語り合っていたんです。昨日の公演を振り返ったり、今日の公演のことなどを。激しいフェンシングのシーンなどもありますから、いたわり合ったり。そういったコミュニケーションを毎日とっていましたから、課題を投げっぱなしにせずにきちんと回収して、次の公演に向けていました。そういったことも再演につながった秘訣なのかなと思います。

記者:それは自然と集まるようになったのですか?

石丸:最初はコーヒー飲まない?と私が声をかけました。そういう場を設けたいという思いがありましたので。おかげで、一つ一つ確認ができましたから、とても意義のある時間でしたね。

記者:意外にも、石丸さんは石井さん、安蘭さんのお二人とは初共演だったんですね。

石丸:そうなんです。初めてだったんです。石井くんと安蘭さんは共演されていましたが、この作品に入って、お互いに改めて気づいた点があるようでした。人ってワンチャンスだけではわからない部分があるんだなと思いましたね。3人は同志のような仲になりましたので、今回はよりお互いのことがわかって、役の関係性も深められるんじゃないかなと思います。

記者:3人は似た者同士? それとも…。

石丸:まったく違う個性の3人です(笑)。それぞれマイペースで完結している人間なので、いい方向で意見交換ができたり気遣えたりできる大人の関係が築けました。

キャラクターをいろんな角度から見ることができる

拡大石丸幹二=岸隆子撮影

記者:この作品が人気の秘密は?

石丸:気分爽快ですよね。不安を残さないで物語が進み、最後に夫婦が心を通わせるハッピーさ、これが宝塚バージョンにもブロードウェイバージョンにも共通している良さで人気の秘密だと思います。宝塚バージョンとは演出や登場人物が違いますが、『スカーレット・ピンパーネル』という作品としての幹がしっかりしていますので、両方を観劇することで、ひとりのキャラクターをいろんな角度から見ることができます。音楽面でもいろんな心情の楽曲が織り込まれていますから、そこも人気の理由なのかなと思います。

――最後にメッセージをお願いいたします。

石丸:あっという間に再演がやってまいりました。前回見逃してしまった方、興味を持ってくださった方、ぜひ、劇場へ足を運んでいただけるとうれしいです。ご期待に沿えるものをお見せいたします。宝塚バージョンがお好きな方も、シチュエーションが変わることで見え方も変わってきますので、その違いを楽しんでいただければと思っています。劇場でお待ちしております。

◆公演情報◆
ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』
2017年11月13日(月)~15日(水) 大阪・梅田芸術劇場メインホール
2017年11月20日(月)~12月5日(火) 東京・TBS赤坂ACTシアター
[スタッフ]
原作:バロネス・オルツィ
脚本・作詞:ナン・ナイトン
作曲:フランク・ワイルドホーン
訳詞・翻訳・潤色:木内宏昌
潤色・演出:ガブリエル・バリー
演出:石丸さち子
[出演]
石丸幹二/安蘭けい/石井一孝/上原理生、泉見洋平、松下洸平、久保貫太郎、久保田秀敏、多和田秀弥、東啓介、藤田玲、則松亜海 ほか
公式ホームページ

筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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