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中川晃教インタビュー(上)

大河ファンタジー『精霊の守り人~最終章~』ラダール役で出演、今年を振り返って

岩村美佳 フリーランスフォトグラファー、ライター


拡大『精霊の守り人~最終章~』ラダール役の中川晃教=岩村美佳撮影

 シンガー・ソングライターの中川晃教が、11月25日(土)からNHK総合テレビで放送される、大河ファンタジー『精霊の守り人~最終章~』にラダール役で出演する。ミュージカルを中心に舞台を主戦場とする中川が、8年ぶりに映像作品に出演。撮影を終えて思うことを聞いた。

 『精霊の守り人』は、上橋菜穂子原作の小説『精霊の守り人』シリーズが原作のドラマ作品。2016年3〜4月に第Ⅰシーズン、2017年1〜3月に第Ⅱシーズンが放送された。最終章では、原作の『闇の守り人』『天と地の守り人〜第二部 カンバル王国編〜』『天と地の守り人〜第三部 新ヨゴ皇国編〜』を元に描かれる。

 さらに、今年は第24回読売演劇大賞最優秀男優賞、第42回菊田一夫演劇賞を受賞し、大きな成果を残している中川。今年の活動を振り返リ、来年への展望を語ってもらった。

映像世界と舞台経験とのクロスオーバー

――撮影現場も少し拝見させて頂きましたが、超巨大セットで、さらに砂埃がすごくて、想像以上のスケールでした。

 洞窟のシーンの砂に関して言うと、なかなか過酷な場所でした。自然を舞台にしている撮影なので、舞台とは真逆の環境ですね。役作りも含めて、スタジオにいるときに感じることは、舞台のそれとは大きく違うなと実感しています。新鮮な発見があって楽しいですね。洞窟では4日間撮影させて頂き、他にはカンバル王国の王宮の場面もあります。

――『精霊の守り人』はCGを駆使して現代技術が詰め込まれている印象でしたが、リアルなセットやワイヤーアクションなどアナログなことも多いですね。

 ファンタジーなので、あり得ないことが起きる奇怪な部分にはCG技術を使っていますが、森も大きなセットを実際に作っていますし、海は本当の海で撮影しています。役者たちは肉体を酷使してリアルにやっているので、映像世界の面白い部分と舞台で経験してきたものがクロスオーバーしている作品だと思いますし、それを求められていると思います。

――今回出演することになったのは?

 原作の『精霊の守り人』シリーズは児童文学のジャンルですが、大人が読んでもとても面白くて、僕自身よく知っていて、いつかやりたいと思っていた作品のひとつでした。スケジュール的なことも含めて、やらせて頂ける可能性が出てきて、プロデューサーからラダール役がいいんじゃないかと言って頂きました。最終章の出演者は中村獅童さんをはじめとして、それぞれの分野で主役として、ソロとして活躍している方々。一方でそれぞれの個性を持っているけれど、決して殺しあうことなく、大河ファンタジーの世界に相乗効果をもたらすのではないかというキャスティング意図もあり、そのひとりとしてお話を頂きました。

舞台で学んできたことが生きてくる

拡大『精霊の守り人~最終章~』ラダール役の中川晃教=岩村美佳撮影
――8年ぶりの映像作品ですが、いかがでしたか?

 とても楽しかったです。僕が演じたラダールは、作品に登場するいくつかの国のひとつカンバル王国の王子です。主人公の綾瀬はるかさん演じるバルサが育った国であり、バルサが旅をしてきた物語のなかで、最終章で登場するのがラダールです。ラダールにとって、父・ログサム(中村獅童)はとても偉大な存在で、さらにこの国の民が飢えに苦しむことなく、豊かに暮らせる国を作っていきたいと思っているんです。そのためには山の神から許しを得て頂く“ルイシャ”という光り輝く石が必要不可欠なのですが、それが得られなくなったことが、物語の核のひとつになっています。また、ログサムがなぜこんなにも勇ましく、荒々しく、自国のためにならどんなことも行動してしまう王になっていったのかも描かれます。

 僕がラダールを掘り下げていくうえで、シーズンⅠで描かれた、ジグロ(吉川晃司)が、バルサの父・カルナ(上地雄輔)からバルサを託されて、カルナ亡き後にふたりが親子のように生きて来たことに興味を持って台本を読みはじめました。ラダールはログサムを尊敬して愛していますが、偉大すぎて萎縮してしまい、父の影に隠れながら自分は父のようにはなれないと思っています。父は私のことをとても愛してくれていて、親子関係に揺るぎはないのですが、父の行動ひとつひとつに、なぜそういうことばかりするのかという疑問をずっと持っています。最終章に描かれている部分だけでは、その父子関係は語れないと思って台本を読みはじめたんです。

 そう考えると、ジグロとログサムの関係性がすごく面白いんです。ログサムにとってジグロは絶対に必要な人間でしたが、ふたりの間に決定的な確執がおきます。実は、ログサムがこんなに風になった動機がそこにあったということを心に止めてラダールを演じるか、止めずに演じるかによって、芝居の深いところまで表現出来るか、表面的になってしまうかというぐらいに変わってくると思いました。ジグロとログサムは大恋愛だと思っているんですよ。

――『フランケンシュタイン』みたいですね。

 お前がいてさえいてくれれば、この国の民はこんなに飢えに苦しむことはなかった、なのにお前は、なぜ私とともにこの国のために戦ってくれなかったのだ……というログサムの思い。そこにジグロはバルサとの間での乗り越えられなかった色んな壁があって、それもルイシャ送りの儀式ですべてと向き合うことになるんです。そこが最終章のハイライトですが、そこに関わるラダールをどう表現しようかと、すごく難しい役どころだなと思いました。

 芝居のしどころがたくさんある役で、映像も久しぶりだったこともあり、それをどういう風に落とし込んでいくか…。今回は、自分が舞台で学んできたことが全部出せた気がしています。先輩方のような自然な芝居が出来るか、自分の中で心の動機を掴めるか、これまで自分が試したいと思ってきたことや、前回出演した大河ドラマ『天地人』では出来なかったことを、全てこの役に生かして挑みました。それらが相まってラダールをどう表現するか、中川晃教の新たなチャレンジが出来たと思っています。

――具体的にはどんなことを考えたのでしょうか?

 主人公のバルサの視点で見たら? ログサムの視点で見たら? ラダールがどうあったらいいのか? ジグロも含めて彼らの関係を自分の中で組み立てたんです。作品の中にすべてが描かれているわけではないので、自分の中で埋めて挑みました。実際にやってみたら、色んなことがぴたっとハマっていったのですが、舞台ではなく映像で出来ていることがすごく面白くて楽しかったです。ラダールを演じたことは、この先の仕事に良い影響を与えてくれるでしょうし、あの役を演じたからこそ次に繋がるものがあると実感しています。そして、本当に素晴らしい作品だと思いますので、ぜひご覧頂きたいと思います。

◆中川晃教 出演情報◆
★NHK大河ファンタジー『精霊の守り人~最終章~』
2017年11月25日(土)スタート
NHK総合 毎週土曜 午後9時00分から9時58分 <連続9回>
公式ホームページ
★ミュージカル『HEADS UP!』
2017年12月14日(木)~17日(日) 神奈川・KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉
2018年1月20日(土) 富山・オーバード・ホール
2018年1月26日(金)~27日(土) 長野・サントミューゼ
2018年2月2日(金)~4日(日) 大阪・新歌舞伎座
2018年2月15日(木)~16日(金) 名古屋・刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール
2018年3月2日(金)~12日(月) 東京・TBS赤坂ACTシアター
公式ホームページ
公式twitter
★『銀河鉄道999 GALAXY OPERA』
2018年6月23日(土)~30日(土) 東京・明治座
2018年7月21日(土)~22日(日) 北九州・北九州芸術劇場大ホール
2018年7月25日(水)~29日(日) 大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
公式ホームページ
★ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』
2018年9月に東京・シアタークリエにて上演
10月に全国ツアー
公式ホームページ
〈中川晃教プロフィル〉
俳優、シンガー・ソングライター。2001年デビュー。その後、ミュージカル『モーツァルト!』の主演に抜擢され、第57回文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞、読売演劇大賞優秀男優賞、杉村春子賞を受賞。主な舞台出演作に『ビューティフル』『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』『フランケンシュタイン』『マーダー・バラッド』『ジャージー・ボーイズ』『グランドホテル』『DNA―SHARAKU』『HEADS UP!』など。『SONG WRITERS』『あかい壁の家』『星めぐりのうた』『銀河英雄伝説 撃墜王篇』『女信長』『ピトレスク』など、舞台出演と同時に楽曲提供もしている。
中川晃教official web site

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筆者

岩村美佳

岩村美佳(いわむら・みか) フリーランスフォトグラファー、ライター

ウェディング小物のディレクターをしていたときに、多くのデザイナーや職人たちの仕事に触れ、「自分も手に職をつけたい」と以前から好きだったカメラの勉強をはじめたことがきっかけで、フォトグラファーに。現在、演劇分野をメインにライターとしても活動している。

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