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[16]「72時間ホンネテレビ」とネット的自由

“テレビの申し子”稲垣・草彅・香取によるテレビとネットの共存

太田省一 社会学者

左から稲垣吾郎さん、香取慎吾さん、草〓剛さん=72時間ホンネテレビより 〓AbemaTV拡大「72時間ホンネテレビ」。左から稲垣吾郎さん、香取慎吾さん、草彅剛さん=AbemaTV提供
 2017年11月2日から5日まで3日間にわたって放送された『稲垣・草彅・香取 3人でインターネットはじめます『72時間ホンネテレビ』』(AbemaTV)(以下、『72時間ホンネテレビ』と表記)。さまざまな話題を残して終了したが、「ホンネロス」なる表現も生まれていまだに興奮冷めやらずといった感じである(※リンク先の動画は、見どころを抜粋したもの)。

 実際、数字面で見てもその反響の大きさは一目瞭然だ。番組フィナーレ時に発表されたところによると、番組中の総関連ツイート数が約508万回以上、ツイッターのトレンド入りが107以上、そして番組の視聴回数は3日間で7200万回以上に及んだ。おそらくこれまで類例のない歴史的記録であるに違いない。

 その理由のひとつが、豪華ゲストを迎えた数々の企画もさることながら、昨年2016年末で解散したSMAPのメンバーである稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の3人が出演したからであることは言うまでもない。

 ジャニーズ事務所を退所した3人は、2017年9月に公式ファンサイト「新しい地図」を開設。その後3人そろっての共演は、今回の『72時間ホンネテレビ』が初めてだった。いわば、彼らにとってSMAP解散後の本格的再始動がこの番組ということになる。それもあって、生放送のなかで彼らがどのような発言をするのかという点にも事前から大きな関心が集まっていた。

 ただ、ここで注目したいのはそうした芸能マスコミ的な側面よりはむしろ、メディア論的な側面である。確かに元SMAP3人の出演なしに、今回の番組がここまでの反響を呼ぶことはなかっただろう。だがそれは、彼ら3人が長年の経験を通じてテレビというメディアを骨の髄まで知り尽くした人たちでもあったからだ。

 その彼らが今回の番組では、ツイッター、ブログ、YouTube、インスタグラムといったSNSを初心者として学び、手探りで使いながら、ネット上でトレンドを生み出すことを目指して番組を進めた。番組自体は「インターネットテレビ」と称し、テレビと一見変わらないがネットからの配信である。

 「テレビとネットはどこが違うのか?」と問われても、おそらくそう簡単にすらすらと答えられるものではないだろう。ところが今回、“テレビの申し子”である彼ら3人がネットのなかで見せてくれるものを通じて、テレビとネットの違い、そしてだからこそ生まれる面白さが端的に体感できたように私には思えた。以下、そのことを少し書いていきたい。

“忖度”する空気を打破する振る舞い ・・・続きを読む
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筆者

太田省一

太田省一(おおた・しょういち) 社会学者

1960年、富山県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビ、アイドル、歌謡曲、お笑いなどメディア、ポピュラー文化の諸分野をテーマにしながら、戦後日本社会とメディアの関係に新たな光を当てるべく執筆活動を行っている。著書に『紅白歌合戦と日本人』、『アイドル進化論――南沙織から初音ミク、AKB48まで』(いずれも筑摩書房)、『社会は笑う・増補版――ボケとツッコミの人間関係』、『中居正広という生き方』(いずれも青弓社)。最新刊は『SMAPと平成ニッポン――不安の時代のエンターテインメント 』(光文社新書)、『ジャニーズの正体――エンターテインメントの戦後史』(双葉社)。

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