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【公演評】雪組『ひかりふる路』

望海風斗、トップお披露目公演を圧巻の歌唱力でドラマチックに飾る

さかせがわ猫丸 フリーライター


拡大『ひかりふる路』公演から、ロベスピエール役の望海風斗=岸隆子撮影

 雪組公演、ミュージカル『ひかりふる路(みち)〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』とレヴュー・スペクタキュラー『SUPER VOYAGER!』-希望の海へ-が、11月10日、宝塚大劇場で初日を迎えました。フランス革命の中心人物・ロベスピエールを主人公に描いた作品で、望海風斗さんが雪組の新トップスターとして、大劇場でお披露目を飾ります。

 2003年に初舞台を踏んだ望海さんは、花組で育ち、2014年に雪組へ組替え。持ち前の歌唱力を活かしながら着実に成長を続け、満を持してのトップ就任となりました。相手役となる新トップ娘役の真彩希帆さんも歌唱力には定評があり、“聴かせる”トップコンビ誕生に期待が高まっています。

 今回のお披露目作品では、そんな2人の実力を輝かせるかのように、『スカーレット ピンパーネル』でおなじみの作曲家、フランク・ワイルドホーン氏が全楽曲を提供したことも大きな話題となりました。

劇場を支配する望海の歌声

拡大『ひかりふる路』公演から、ロベスピエール役の望海風斗=岸隆子撮影
 『ベルサイユのばら』『スカーレット ピンパーネル』『1789-バスティーユの恋人たち-』をはじめ、宝塚ではたびたび題材となるフランス革命。ロベスピエールはどの作品でも必ず登場しますが、作品によって悪役だったり善人だったりするため、本当はどんな人物なのか、気になっていた方も多いのではないでしょうか。

 幼くして母を亡くし、失踪した弁護士の父を追って自らも弁護士になったロベスピエールは、人々の平穏な暮らしを守るために政治家へと転身。やがてパリの街で革命に身を投じることとなりました。この時点ではまだ平和を目指していたはずですが……。

 舞台の背景を斜めに貫く白い光はなんだろうと思えば、革命の象徴ともいえる残酷な演出で、この先の恐怖を予感させます。

 『オーシャンズ11』のテリー・ベネディクトや、アル・カポネ、ドン・ジュアンと、黒い役がハマり続けてきた望海さん。今回は“白”から“黒”への変化が見どころとなるもしれません。

――1793年、フランス国王ルイ16世が処刑され、フランス革命にわく市民は、指導者ロベスピエール(望海)に熱狂していた。司法大臣ダントン(彩風咲奈)、ジャーナリストのデムーラン(沙央くらま)らと力を合わせ、ますます意気あがるロベスピエールだったが、ジャコバン派のサン=ジュスト(朝美絢)がひそかに「ダントンは偽物、あなたが頂点に立つ」とささやく。そんな中、ロベスピエールはマリー=アンヌ(真彩)と出会い、彼女の瞳に光る強さに、何かが心に芽生えるのを感じていた。

 センターにせり上がり、歌いだした望海さんは、一瞬で劇場を支配しました。豊かな声量と響きある美しい歌声がワイルドホーン氏の名曲をドラマチックに彩り、プロローグから客席を圧倒。重厚なバックコーラスとともに自由を叫ぶ大ナンバーが、本格的ミュージカルを予感させ、思わず姿勢を正しそうになるほどです。

 国を導く気概にあふれ、若きリーダーとして勢いのあるロベスピエールは、これから雪組を引っ張っていく頼もしさにも重なるようでした。

 憎しみの連鎖を断ち切りたい――ロベスピエールが革命に賭けた思いは間違っていなかったはず。そんな彼が時代の流れに翻弄され、暗黒の世界へと引きずり込まれてしまう演技は、望海さんの真骨頂でしょうか。恐怖政治にとりつかれた姿には狂気を感じさせ、権力をほしいままに操る眼差しには色気さえ感じさせました。

 お披露目とは思えない抜群の安定感は、確かな実力に支えられた証。雪組生たちも安心してその背中を追えるに違いありません。

◆公演情報◆
ミュージカル『ひかりふる路(みち) 〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』
レヴュー・スペクタキュラー『SUPER VOYAGER!』-希望の海へ-
2017年11月10日(金)~12月15日(金) 宝塚大劇場
2018年1月2日(火)~2月11日(日) 東京宝塚劇場
[スタッフ]
『ひかりふる路』
作・演出/生田大和
『SUPER VOYAGER!』
作・演出/野口 幸作
公式ホームページ

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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