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バウ単独初主演 南海投手父に自ら重ね/暁千星

【宝塚~朗らかに~】「Arkadia-アルカディア-」公演

日刊スポーツ新聞社・村上久美子


【日刊スポーツ・11月23日紙面(東京本社発行版)より】

拡大インタビュー後、ポーズを決める暁千星(撮影・前田充)
 新生月組主力の1人に成長した6年目の若きスター、暁千星(あかつき・ちせい)が、宝塚バウホール公演「Arkadia-アルカディア-」で単独初主演する。はつらつとした暁自身とは正反対で、心に闇を抱えたナイトクラブのダンサー役。苦しみつつ、またひとつ壁を破っていく。公演は12月1~12日まで。

 快活そのもの。「屈託ない少年」が大人になった。まだ新人公演学年6年目だが、若きトップ珠城りょう率いる月組主力の1人に成長した暁が、バウ公演で単独初センターに立つ。

 「今回のメンバーは下級生が多いので、言葉じゃなくて、姿勢、背中で引っ張って行けたら、と」

 幼い頃、家庭に恵まれず、人間不信の青年が、ナイトクラブでダンサーとして頭角を現し、人生を取り戻していく物語だ。闇を抱えた青年役。人を信じ「だまされるタイプ」と笑う自身とはまったく違う。

 「休みの日に1人、公園のベンチに座って考え、部屋を真っ暗にして窓の光だけを感じて、役柄の過去を思ってみたりして、だいぶつかめました。今度、夜に何も持たずにさまよってみようって思っています」

 朗らかに笑う。「危ないよ」とつっこむと「ですかね!」と手をたたいた。

 役柄の息吹を感じるため、近い環境を求めることを覚えた。正月から本公演で主要キャストに入り、フル回転した1年だった。

 「今年は役へのアプローチに時間がかかったので、来年はもっと早く、的確に役柄を判断して、役を理解し、深めていく時間を長く持てるようにしたい」

 今回の役柄は、自身を解放する手段がダンス。98期首席入団の暁も、ダンスは得意だが、最近はその武器に悩んでいた。

 「1年前と比べて、ここができるようになった、とか、自分の中で成長している感じがしなくて…。でも、今回、振付の先生方に丁寧に教えていただき、足を上げて回るだけじゃない。ダンスのつなぎとか、力を抜いたり、入れたり。ちょっとした寝技もあります」

 新人公演に初主演、または、やっとセリフのある役を得る同期もいる。先頭を走るがゆえの悩み。次の壁は「リーダーシップ」だ。

 「月組の下級生は個々があって、芯がある。私も(今作を機にリーダーシップを)学べたらいいな」

 抜てき続きで先輩とのからみが多く、同期や下級生との場面は少なかった。

 「プライベートはそんな変わらなくて、本能のまま(笑い)。でも、前は漫画が好きでしたけど、今は(見識を広めるため)本を読み、映画を見るように」

 先日、あこがれの元星組トップ柚希礼音が出演した「ビリー・エリオット」も観劇した。父は元南海最多勝投手の山内和宏氏。184センチだった父譲りの長身(172センチ)、広い肩幅は男役として天賦の才でもある。

 「最近、生で(現役時代の父を)見たかったと思うようになりました。どんな後ろ姿(を野手に)見せていたんだろう、と。男役の後ろ姿が好きで、宝塚に入りたくなったので、自分もかっこよく見せられたら」

 今作では客に背を向け始めるダンスもある。“次世代エース”候補としての自覚も備わっている。

 「食生活ではお肉を控え、お魚を中心に、発酵食品と。ご飯は玄米にして、おみそ汁と納豆。変えてみたら、気持ち的にも肌もすごく調子が良くて、お魚の方が好きになりました」

 今年3月ごろに食生活を変えた。体もすぐに順応した。心身とも、素直な健やかさが暁の長所。その歩みは、まっすぐに頂へ向かっている。

 ◆Arkadia-アルカディア-(作・演出=樫畑亜依子氏) 幼い頃に家を出たまま、居場所を求めてさまよっていたミネット(暁)が人を信じ愛することに目覚める姿を、ナイトクラブを舞台に描く。雨の中、行き倒れていたミネットは、ナイトクラブの花形ダンサー・ダリア(美園)に声を掛けられ、店で雇われる。まっすぐな心を持つダリアへの思いに葛藤しながらミネットはダンスを踊り、人を魅了。トップダンサーへ成長する。

 ☆暁千星(あかつき・ちせい)9月14日、広島県福山市生まれ。12年入団。14年「明日への指針」で新人公演初主演に抜てき。15年バウ・ワークショップで3年先輩の朝美絢とダブル主演。既に新人は3度主演。今年はトップ珠城りょう本拠地お披露目の本公演で女役ラファエラ、主要キャストを朝美と役がわり。今夏の「All for One」では三銃士の1人、ポルトスを好演。身長172センチ。愛称「ARI」。

「宝塚~朗らかに~」はニッカンスポーツ・コムに連載中です。

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