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大流行のインスタグラム、その喜びと心の疲弊と

インスタ映えの追求が、「自分を盛る」「見栄を張る」ことにならないか

石川結貴  ジャーナリスト

写真投稿SNS「インスタグラム」見た目がきれいな食べ物は、まさに「インスタ映え」

「インスタ消費」に熱い視線

 昨年(2017年)の新語・流行語年間大賞に、「インスタ映え」が選ばれた。写真や動画共有のSNS、Instagram=インスタグラムで画像の見栄えがいいことを言う。

 風景、人物、食べ物、ファッション、インテリア、動物など素材になるものは多種多様だが、インスタ映えには共通項がある。みんなに好印象を与え、注目されそうな写真を投稿すること。おしゃれだったり、かわいかったり、驚き、感動といったインパクトが必要だ。

 国内利用者数が2000万人を超えたInstagramは、若い世代を中心に支持されている。アライドアーキテクツ株式会社が実施した調査(2017年11月) によると、10代~20代女性の7割以上が利用。30代女性の約2割は、投稿頻度を「毎日」と回答した。

 Instagramを駆使する女性は「インスタ女子」、特に発信力の高いユーザーは「インスタグラマー」と称される。おしゃれな写真を撮影できる場所は「インスタスポット」として注目され、商品の売り上げや観光地の集客に結びつく「インスタ消費」には熱い視線が注がれている。

工場夜景クルーズで、顔出プレートを手に、SNS用の写真撮影を楽しむ参加者たち=23日午後7時48分、北九州市「工場夜景クルーズ」で、インスタ用の写真撮影を楽しむ参加者たち=北九州市
 大手旅行会社のエイチ・アイ・エスが実施するのは、Instagram用の写真撮影を目的とした海外旅行プラン。「インスタで有名なスポットを効率よく回るツアー」、「絶景寺院を巡るフォトジェニックツアー」など、インスタ映えを前面に打ち出してPRする。

 明治製菓が販売する「THE Chocolate」は、一般的なチョコレートの約2倍という価格設定ながら大ヒット商品となった。ヒット要因のひとつがパッケージのデザイン性。クラフト用紙風の茶色いケースにシンプルなロゴとカカオのマークが、「インスタ映えする」と評判だ。

感度の評価が発信への原動力に

 単なるSNSにとどまらず、さまざまな話題と波及効果を呼ぶInstagramだが、人気を集める背景には何があるのだろうか。

 そもそも若い世代は、子どものときからネット環境の中で育ってきた。10年ほど前には、自己紹介文やプリクラ写真を投稿する「前略プロフィール」(2016年終了)、国内SNSの元祖とも言える「mixi」が大流行。インターネットを通じてみずから発信し、誰かと交流することが、自然な感性として定着した世代だ。

 さらに、

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