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平原綾香、『メリー・ポピンズ』に出演

歌うことと演じることはまったく違っていた

真名子陽子 ライター、エディター


拡大平原綾香=安田新之助撮影

 この春、日本初上陸するミュージカル『メリー・ポピンズ』(3月25日(日)~5月7日(月)東急シアターオーブ/5月19日(土)~6月5日(火)梅田芸術劇場メインホール)。パメラ・トラバースの小説を基に、ウォルト・ディズニーによって製作され、アカデミー賞5部門を受賞した大ヒット映画『メリー・ポピンズ』(1964年公開)のミュージカル版で、主役のメリー・ポピンズ役を濱田めぐみと平原綾香がWキャストで演じる。大阪で平原の取材会が行われ、ミュージカル3作目になる今作への思いや歌うことと演じることなどについて、平原が持つ感性の言葉で語ってくれた。

メリーは宇宙人だと思って演じていこう

平原:ミュージカルへの出演は、『ラブ・ネバー・ダイ』『ビューティフル』に続いて3作品目です。今日、こんなにたくさんの方々に集まっていただいて、『メリー・ポピンズ』という作品はとても愛されているんだなと感じています。まだまだミュージカルは不慣れなのですが、これからお稽古が始まりますのでしっかり頑張っていきたいと思います。

記者:映画を見たそうですが、いつ頃見られたんでしょうか?

平原:子どもの頃から見ていて、今回の出演が決まってからも見ました。

記者:子どもの頃というのは何歳くらいですか? また、その時の感想を聞かせてください。

平原:物心がついた時には見ていたと思います。子どもの頃はメリー・ポピンズ(以下メリー)が空からやってきて空に帰っていくということを不思議に思わなかったのですが、大人になって見た時に、「ん? 何かおかしいぞ、変だな」と感じるようになって、メリーのことを何もわかっていなかったんだなと思いました。子どもの頃は何も疑うことなく見ていましたし、傘を持って高いところから飛んだりして遊んでいましたね。

 でも、メリーの職業がわからなくて、空へ帰っていく人ってどんな人なんだろう、メリーは何者なんだろうとは思っていました。大人になってから見ると、さらに不思議がいっぱいで……。

記者:その不思議さは、自分の中でどう解釈されたんですか?

平原:それが……わかってしまったんです。オーディションの時にプロデューサーの方が「メリー・ポピンズは宇宙人のような存在なんだよ」っておっしゃったんです。最初はあまり納得できなかったんですけど、オーディションの中でプロデューサーがいろんなお話をしてくださって腑に落ちていきました。今は、メリーは宇宙人みたいな存在だと思って演じていこうと思っていて、そう思うことで少し気が楽になりました。

楽曲が素晴らしいところが魅力

拡大平原綾香=安田新之助撮影

記者:大人になって映画を見た時は、どんなところに魅力を感じましたか?

平原:楽曲が素晴らしいところが魅力だと思います。どの曲も聞いたことがありますし、ジュリー・アンドリュースが素晴らしいです。ご縁があって、『サウンド・オブ・ミュージック』の50周年記念版でマリア役(ジュリー・アンドリュース)の吹き替えをさせてもらったんです。アンドリュースさんの歌い方や息遣いを研究しましたし、歌声を聞きながら口に合わせて一緒に歌うという経験をさせていただきました。もう、彼女の虜になりましたね。

記者:お気に入りの楽曲はありますか?

平原:そうですね、「チム・チム・チェリー」は、子どもっぽい歌と思っていたんですけど、改めて歌うと意外と大人っぽい歌だなと感じたり、「お砂糖一さじで」という曲もとてもかわいい歌です。「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」なんて世の中にない曲ですよね。今まで、地球上にない言葉を作るなんて発想がなかったですから。とてもかっこよくて良い曲がたくさんあります。

記者:どんなメリーを演じたいですか?

平原:ジュリー・アンドリュースのイメージが強くて、そのイメージで演じようと思っていたのですが、プロデューサーから、綾香のメリーでいいんだよ、誰かをなぞることなく演じていいんだよと言っていただきました。映画とミュージカルとでは少しイメージが違い、映画のメリーはきびきびしていて何をやっても完璧というメリーなんですけど、ミュージカルでのメリーは、少し笑いが入っているというか……「何かが間違っていてもそれはメリーのせいじゃない。たとえメリーが間違っていたとしても、メリーは間違ったと思っていなくて周りのせいだと思っている。そういう気持ちで演じてください」と言われたんです。「メリーがいるだけで周りがハッピーになる、メリーのやることがルールになる、それくらいの自信を持って演じてください」と言うことだと。私はそういうタイプではないので大変だなと思ったんですけど、先ほどの宇宙人というキーワードがとても助けになっているんです。

 以前、友人たちと前世を見てもらった時に、「あなたはまだ、地球に慣れていないからがんばって」って言われたんです。その時はちょっとショックだったんですけど、今になってみると腑に落ちるところがあって。『Jupiter』でデビューしましたし、宇宙関係のお仕事も多いですし、星も好きですし。まだ地球に慣れていないということがメリーを演じるにあたって助けになるんじゃないかなと思っています。なんとなくですけど、宇宙人だったころを思い出しながら演じてみようと思っています(笑)。

ミュージカルに出て歌が歌いやすくなった

拡大平原綾香=安田新之助撮影

記者:ミュージカルへの出演は平原さんにとってどういう意味があるんでしょう?

平原:実は歌を始めるきっかけが高校の文化祭でミュージカルに出演したことなんです。高校、大学とサックスを吹いていて歌は習っていなかったんですけど、高校が音楽科で、文化祭はみんなでミュージカルをするのが決まりだったんです。そこで歌ったことがきっかけでデビューすることになったんですね。まさかプロとしてミュージカルへ出演するとは思っていなかったですし、最初はとても不安でした。けれど、ミュージカルに出るようになってから、自分の歌が歌いやすくなったんです。すごく鍛えられた気がしますし、楽曲の伝え方が変わったと言われました。あとは、共演者の方々との距離がとても近いんです。舞台上だけでなく、普段からお話をする時などお顔が近いので、最初はドキドキしていました。歌手としてデュエットする時もありますが、そんなに近くないんですよね。ミュージカルは距離感が近くて家族みたいな気分になれるのがすごく幸せです。

記者:鍛えられたというのはどういうこと?

平原:首の周りの筋肉が鍛えられると声が出やすくなるんですね。ミュージカルは毎日歌いますので、筋肉量が増えたんだと思います。お稽古場ではマイクを使わずに歌いますし、泣きながら歌ったり、怒りながら歌ったり、アーティストとして歌うよりも過酷な状況で歌いますので、私にとって修行になっているんだと思います。

記者:今作の楽曲を歌うことについて、平原さんなりのこだわりはありますか?

平原:日本語と英語でニュアンスが違うんですね。海外作品の歌を日本語で歌った時の違和感を解消することが、まず私がする作業だと思っています。『ビューティフル』でキャロル・キングを演じた時も、日本語で歌う違和感をどうやって解消するかが最初の課題でしたので、今回も課題になると思いますし、違和感のない歌い方を習得したいと思います。映画のメリーよりも音域の広い曲が多いので、そういう意味では、『ラブ・ネバー・ダイ』に出ていて良かったなと思いました、オペラ歌手の役でしたので。その時の音域よりも広く出す楽曲もありテクニックも必要になってきますので、しっかり練習していきたいと思います。

演じている時の方が素に近くて恥ずかしい

記者:歌手として歌うのと、ミュージカルで歌うのは違いますか?

平原:違いますね。歌手の時はお客さまに向かって歌いますが、ミュージカルは向けないですし、役として歌うことの難しさを感じています。歌うことと演じることは似ていると思っていたんですけど、まったく違っていました。歌手で歌う時は、平原綾香を通して歌が母体となり、いろんなところへ飛んで行けるイメージがあるんですけど、ミュージカルは役が母体になるので、平原綾香が前へ出やすくなるんです。演じている時の方が素に近くてプライベート感があって恥ずかしいんです、普段の自分を見られているような気がして。ミュージカルでも母体が平原綾香になれたらどんな役でもできるような気がしますが、まだまだ不慣れなので役が母体になってしまって、役から抜け出せなくなったこともありました。

記者:ダンスシーンもありますが、自信はありますか?

平原:動かないイメージがあると言われて15年経ちますが(笑)、実はクラシックバレエを小学1年生から高校2年生まで11年間やっていたんです。踊ることは大好きなんですけど、『Jupiter』でデビューしたものですから踊る機会がなかったんですね。急に踊り出してもイメージがありますし自粛していたんですが、15年目にしてようやく人前で踊ることができます!タップダンスもあるんですが、かくし芸としてコンサートツアーでやっていたんです。昔の習い事とかくし芸が役にたつ日がきました(笑)。

記者:ミュージカルで大阪の舞台にたつのは初めてですよね。

平原:大阪は私にとって故郷で、すごくホッとします。両親が関西出身ですから親戚もたくさんいて、今回観てもらえるのはすごくうれしいですね。ただ不安なのは、実家で話していると関西弁が出る時があるんですね。大阪に長く滞在しますから舞台で出ないようにしたいと思います。メリーは関西弁で話さないと思うので(笑)。大阪のお客さまはすごくパワーがあります。そのパワーを感じながら演じたいと思います。

◆公演情報◆
ミュージカル『メリー・ポピンズ』
2018年3月25日(日)~5月7日(月) 東京・東急シアターオーブ
※3月18日(日)~24日(土)プレビュー公演
2018年5月19日(土)~6月5日(火) 大阪・梅田芸術劇場メインホール
[クリエイティブスタッフ]
原作:パメラ・トラバース
オリジナル音楽:リチャード・M・シャーマン、ロバート・B・シャーマン
追加音楽/音楽:ジョージ・スタイルズ、アンソニー・ドリュー
訳詞:高橋亜子
脚本:ジュリアン・フェローズ
翻訳:常田景子
オリジナル演出:リチャード・エア
共同演出/オリジナル振付:マシュー・ボーン
[出演]
濱田めぐみ/平原綾香、大貫勇輔/柿澤勇人、駒田一/山路和弘、木村花代/三森千愛、島田歌穂/鈴木ほのか、コング桑田/パパイヤ鈴木、浦嶋りんこ/久保田磨希、小野田龍之介/もう中学生 (以上ダブルキャスト) ほか
公式ホームページ

筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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