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348歳キザ男熱演で新生宙組支える/愛月ひかる

【宝塚~朗らかに~】「不滅の棘」で外部劇場初主演

日刊スポーツ新聞社・村上久美子


【日刊スポーツ1月25日紙面(東京本社発行版)より】

拡大「不滅の棘(とげ)」に意欲を見せる愛月ひかる(撮影・田崎高広)
 宙組誕生20周年の今年、生え抜きスター愛月ひかるが、外部劇場初主演作「不滅の棘(とげ)」で永遠の命を与えられた348歳の“キザ男”を熱演中だ。新トップ真風涼帆を迎えた新生宙組を支える思いを強めた今、身上の全力投球から一変。「力を出し惜しむ難役」を得て、また1段高みへ上がり殻を破ろうとしている。既に大阪公演を終え、29日まで東京・日本青年館ホールで上演中。

 色紙へのメッセージ。「宙組のために…」と書き込んだ。104周年の劇団にあって宙組は20周年。生え抜きスターの「宙組愛」は強い。

 「(前トップ)朝夏(まなと)さんが、自分のためには頑張れなくても組のためには頑張れた、と。私も宙組をいい組にするために今、精いっぱいやることが、今後の自分につながるかなって」

 宙組は8代目トップを迎えたが、いまだ生え抜きのトップは生まれていない。

 「生粋の宙組っ子ですし、20周年は感慨深い。組替えできた方はみんな、なじみやすいとおっしゃっていただきます。宙組生はまっすぐで順応性があって、ひたむき」

 愛月にとって今作は、新たな引き出しを増やすきっかけになりそう。14年9月のバウ初主演作「SANCTUARY」以来のセンター。外部、東京では初主演。「いつか絶対…ひとつの目標だった」。父から永遠の命を与えられ、348年生きる青年役だ。

 「最初は純粋で性格のいい青年。でも長く生きすぎると、何もかもばからしくなって、心もすさみますよね。力を出し惜しみするような『引き算』の演技、かっこよさを出そうと苦戦しました」

 全力を身上としてきた愛月にとって難題だった。さらにキザで超絶なナルシシストのキャラクターでもある。

 「相手との会話を笑い飛ばして、小バカにしたり。女の子をひっかけるために『かわいい小鳥さん』と言ったり。ひたすらキザです(笑い)」

 自身とは「だいぶ離れている。キザじゃない」と笑った。新たな役へのアプローチは次へのステップになる。

 「私、昔は稽古場で恥をかくことができなかった。ルキーニで、みんなの前でコテンパンにされまして(笑い)。学年が上がってから厳しい指導を受けることはそうないので。今はもう、何も恥ずかしいことはない。役を作っていく背中も見せたい」

 16年夏の大作「エリザベート」では、主要キャストのルキーニを演じ、演出の小池修一郎氏から厳しい指導を受けた。そこでむけた「ひと皮」。苦しみの先に光がある。

 「それが(前回本拠地作の)ラスプーチン(怪僧の好演)につながりました。普通にやったら恥ずかしくてできない形相も、汚さも(笑い)。振り切ってできました」

 そんな愛月だが、私生活での変化は無いという。

 「家はきれいなまま。お掃除好きなので。朝も掃除機をかけ、夜中に突然、台所の掃除始めることも。ストレス発散になり、心も浄化される。稽古期間中も『この汚れを落とす』って集中すると、ちょっと気分転換になるんです」

 心が乱れないように、部屋はきれいに保つ。自転車にも乗らず、タカラジェンヌの品性を普段から意識している。

 「品性が大事-と言っておいて、家の中がゴチャゴチャでは、だめじゃないですか。まじめ…ですかね。それが今回(作)は要らない。適当でいいと。だから、部屋をゴチャゴチャにした方がいいのかとも思いましたけど、やっぱり落ち着かないので」

 そう言った顔には、晴れやかな笑み。不滅-。いや、不変の姿勢で新生宙組を支えていく。

 ◆ロマンス「不滅の棘(とげ)」(脚本・演出=木村信司氏) チェコの代表的な作家、カレル・チャペックの戯曲「マクロプロス事件」をもとにしたミュージカル。新たな脚本で03年、春野寿美礼(当時花組トップ)主演で宝塚初演。白で統一された衣装や舞台装置、ドラマチックな展開で注目された。父から永遠の命を与えられてしまった青年が、虚無感に支配されつつ波乱を巻き起こしながら生きる様を描く。

 ☆愛月(あいづき)ひかる 8月23日、千葉県市川市生まれ。07年3月初舞台。宙組に配属され、10年「誰がために鐘は鳴る」で新人公演初主演。14年「SANCTUARY」で宝塚バウホール初主演。16年「エリザベート~愛と死の輪舞~」で大役の暗殺者ルキーニを演じた。昨年は2月「王妃の館」でコミカルな中年男性、8月「神々の土地」で怪僧ラスプーチン役。身長173センチ。愛称「あい」「ちゃんさん」。

「宝塚~朗らかに~」はニッカンスポーツ・コムに連載中です。

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