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松下優也、ミュージカル『Romale』に出演

僕がやることで新たなものをお見せできれば

真名子陽子 ライター、エディター


拡大松下優也=安田新之助撮影

 ミュージカル『Romale(ロマーレ)~ロマを生き抜いた女 カルメン~』が、3月から4月にかけて東京と大阪で上演される。19世紀に書かれたメリノ原作『カルメン』をベースに、カルメンがロマ族としてどのように生き抜いたのか、演出・振付を担う謝珠栄が新たな視点で描く本作。カルメン役は『激情-ホセとカルメン-』(1999年・宝塚歌劇団)でカルメンを演じた花總まり、カルメンへの愛の深さゆえに罪を犯してしまったホセ役を松下優也が演じる。松下の取材会が大阪で行われ、『Romale』に出演する意気込みを語った。

ホセ役、なぜ僕なのかなと思った

記者:これまでもミュージカルに出ていらっしゃいますが、今回は少し異色な作品ではと思います。出演が決まったときの気持ちを聞かせてください。

松下:素直にうれしかったです。けれど、なぜ僕なのかなと思いました。謝先生にはまだ聞いていないんですけど、稽古が始まったら聞こうかなと思っています。僕が出ている作品を観て下さって、ホセにつながる何かがあったのかな……。

記者:なぜ僕なのかな、というのはどういう意味でしょう?

松下:ミュージカルに出演されている俳優さんがたくさんいる中で、なぜ僕なのかな、という意味です。台本を読んでいる段階ですが、僕にホセ役が合っていないとはあまり思わないですしイメージもつきます。自分にないものをやるという感じではないんです。ただ、今までやってきた作品とは全然違うので、なんでなんだろうと思いました。僕が今まで出演してきたミュージカルはマンガ原作が多かったので。そういう意味でも今回はすごく楽しみです。

記者:演じるホセという人物についての感想を聞かせてください。

松下:翻弄されながらも男らしい部分もあって、弱い部分もあって……。演じがいのある役だなと思います。

記者:ホセ役と自身の共通点はありますか。また、演じるにあたって難しいなと思っている部分があれば教えてください。

松下:ホセはすごく男らしいけれど、カルメンに翻弄される様がとても人間らしいなと思っています。そこが自分に似ている、ということではないんですけど。完璧ではないところは共感できる部分かなと思います。難しいのは、人との接し方や距離感が日本人とは違うと思うんですね。その感覚をつかむのは難しいかなと思っています。稽古がまだこれからなので、未知数ですね。あと、重要になってくるのは人種のことだと思います。日本人が共感するのは難しいかもしれないですけど、何かを感じとってもらえるように、大切に演じないといけないなと思っています。

カルメンは男からみてもカッコいい

拡大松下優也=安田新之助撮影

記者:謝先生の作品を観たことは?

松下:昨年の12月に上演された『Pukul』を拝見しました。演者の皆さんが、すごく熱かったです。少しお話を聞いたら「何回も踊らされる」みたいなことをおっしゃっていたので……。楽しみと、すこし不安もありますね(笑)。

記者:カルメンを演じる花總さんの印象や、楽しみにされていることは?

松下:『レディ・ベス』を観に行かせていただいて、すごく透明感のある方だなと。お芝居をしているときは完璧な印象を持っていたんですけど、カーテンコールで挨拶をされたときにすごくギャップを感じました。素顔の花總さんをまだ知らなかったので、ちょっとふわっとされているところが意外でした。カルメンはベスとはまた違った役ですので、そのギャップも楽しみですね。

記者:カルメンを女性としてどう思いますか。

松下:強い女性だなと思います。自分の運命を受け入れて生きていく姿は、男からみてもカッコいいなと思います。

記者:ホセを演じる中で、ご自身のどういう持ち味が出せたらいいと思いますか?

松下:ミュージカルに精通している訳ではないですし、花總さん主演の作品に、今回のような役で出させていただくのは恐れ多いんですけど、だからこそできることを……。今回の『Romale』はカルメンの新たな真実という切り口なので、自分がやることによって、「こういうのもあるんだ」という新しい何かを見つけ出せたらいいなと思います。僕より歌がステキな人、お芝居がステキな人はたくさんいます。その中で、僕がやることで何か新たなものをお見せできればと思います。「日本のミュージカルではあまり観たことないよね」って思っていただけるような芝居や歌を、稽古をやりながら見つけ出せたらいいなと思います。

音楽面で新たに成長できるんじゃないか

拡大松下優也=安田新之助撮影

記者:歌、芝居、ダンス。松下さんが一番魅力的なのはどれでしょう?

松下:うーーん。全部って言っておきたいところですけど。なんでしょう……今回はすごく歌が重要になってくると思うので、歌と言っておきます。ダンスはジャンルによっても得意不得意があるので。難しいですね……3つともOK、なはずです!(笑)

記者:ホセの心情を歌い上げるソロ曲があると聞いています。

松下:歌稽古が始まりますので、すごく楽しみです。ただ、稽古に入る時の僕のスタンスなんですが、基本的にイメージを決めていかないんです。予想していっても予想通りにいかないので。思っていたのと違うお芝居がきた時に対応できるようにするには、自分をゼロにして稽古をやりながら作っていくというのが、自分に向いているやり方かなと思っています。今までもそういう風にやってきました。本読みでは、ただ読むだけにしています。だから、歌も未知な部分は大きいです。ミュージカルで心情や感情の流れを歌う曲は、声の出し方などのテクニックで持っていく部分と、そうじゃない部分があると思います。そこが、歌手活動とは違うところ。普段はポップスを歌うことが多いですけど全然違うので、そこがまた楽しみなんですよね。この『Romale』を通して、音楽面で新たに成長できるんじゃないかと思っています。

記者:謝先生も現場で作られていく方だと聞いています。合っているかもしれないですね。

松下:そうですね。基本的に、僕は演出家の言うことがすべてだと思っています。演出家の言うことを理解し、共有できているか言葉で伝えて……でも、違っていたり、差があったりするので、できるだけ演出家が心で描いているものを理解するようにしています。稽古場は、何をやってもいい場所だと思っているんです。怒られても大失敗しても、幕が開いていなくてお客さまが見ていなければ、何をやってもいいと思っています。台詞の言い方や動きを変えてみたり。台本に描かれてない部分もあるかもしれないですしね。稽古場でいろいろやる中から「あれが良かった」「これが良くなかった」を決めてもらえるのがいいのかなと。そういう意味では謝先生のやり方が合っているのかもしれないですね。始めから答えを出されて、「こういう風に言って」「ここに居て」と言われると、見つけ出していく面白みがない。初日に間に合えばいいと思っています。

記者:無茶ぶりとかもドンとこい、って感じですか?

松下:どのレベルの無茶ぶりかによりますけど(笑)。でも、楽しいんじゃないかな……それを楽しんでやりたいですね。

より言葉を大切にするようになった

拡大松下優也=安田新之助撮影

記者:ミュージカルをやることによって、歌手活動に活かされた部分はありますか?

松下:ミュージカルは、芝居があってそこに歌が乗っかっています。ライブは、当たり前ですけど歌だけですよね。ミュージカルの曲は、そこに一瞬が詰まっているのか、永遠が詰まっているのかわからない。例えば3分間の曲があったとして、何十年という時間を3分間で表しているのかもしれないし、ハッ!とした瞬間を3分間で表しているのかもしれない。それぞれに深みがありますし、表現方法を考えることが多くなります。普通に歌手活動だけをやっていたら、そこまで考えていなかったことだと思いますし、より言葉を大切にするようになりましたね。歌手として歌うときは、演じるように歌う時もあれば、ストーリーテラー的に歌う時もあります。その感覚もミュージカルをやっていないとなかったかもしれないです。

――では最後に、メッセージをお願いします。

 僕以外の方はみなさん完璧だと思いますので、僕もその完璧に近づきたいと思います。お客さまの中には、作品のことを知っている方やすごく好きな方がたくさんいらっしゃると思います。今回は新たな発見があると思いますので、スムーズにストーリーを楽しんでもらえるように、ホセとして見てもらえるように、がんばりたいと思います。共演者も素晴らしい方々ばかりですので、良い作品になるに決まってます! ぜひ劇場に足をお運びください。お待ちしています。

◆公演情報◆
ミュージカル『Romale(ロマーレ)』~ロマを生き抜いた女 カルメン~
2018年3月23日(金)~4月8日(日) 東京・東京芸術劇場 プレイハウス
2018年4月11日(水)~21日(土) 大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
[スタッフ]
演出・振付:謝珠栄
原作:小手伸也
台本・作詞:高橋知伽江
音楽監督・作曲:玉麻尚一
作曲:斉藤恒芳 小澤時史
[出演]
花總まり/松下優也/伊礼彼方 KENTARO 太田基裕/福井晶一/団時朗 ほか
公式ホームページ 

筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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