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ウエンツ瑛士、ラブコメディ・ミュージカルに

ミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』出演

真名子陽子 ライター、エディター


拡大ウエンツ瑛士=安田新之助撮影/〈衣装〉ジャケット・パンツ= J.FERRY、ネクタイ=FAIRFAX、シャツ・靴=スタイリスト私物〈スタイリスト〉伊達めぐみ(UM)〈ヘアメイク〉Aico

 愛は無様で、素晴らしい。――スティーヴン・ソンドハイムの傑作ミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』が4月から東京・大阪・静岡・富山で上演される。『ウエスト・サイド・ストーリー』『ジプシー』『カンパニー』などを生み出したソンドハイムが、ウディ・アレンやスピルバーグが愛したイングマール・ベルイマン監督の映画『夏の夜は三度微笑む』に着想を得たラブコメディ・ミュージカル。

 20世紀初頭のスウェーデン。18歳のアン(蓮佛美沙子)と再婚した中年弁護士のフレデリック(風間杜夫)は11カ月たってもアンに手が出せず、フレデリックと前妻の息子のヘンリック(ウエンツ瑛士)は密かに義母であるアンに恋心を抱いている。ふとしたきっかけで、アンはフレデリックと女優デジレ(大竹しのぶ)の関係を疑い、デジレの恋人カールマグナス伯爵(栗原英雄)もデジレとフレデリックの仲を怪しみ、妻のシャーロット(安蘭けい)にフレデリックのことを調べさせる。アンを訪ねたシャーロットはすべてを暴露し、共に夫をデジレに取られたことを慰め合う。そして、デジレの一計でついに3組の家族が顔を合わせることになり……。

 大阪でウエンツ瑛士の取材会が行われ、作品や役の印象、ソンドハイムの歌について、共演者のことなど、冗談を交えながらも丁寧に語ってくれた。

30分でも読める本であり、3時間でも読める本

拡大ウエンツ瑛士=安田新之助撮影/〈衣装〉ジャケット・パンツ= J.FERRY、ネクタイ=FAIRFAX、シャツ・靴=スタイリスト私物〈スタイリスト〉伊達めぐみ(UM)〈ヘアメイク〉Aico

記者:台本を読まれた時の感想をお願いします。

ウエンツ瑛士:台本上では淡々と進んでいく印象なんですが、この作品の魅力である、言葉の裏をどう読み取るか、というおもしろさが全編に溢れています。愛情が絡み意識していなかった本性が出てきたり、いらないプライドが出てしまったり。必要なウソや不必要なウソ、若者の真っすぐさに憧れたり……いろんな感情が複雑に絡まっているので、30分でも読める本であり、3時間でも読める本だなと思いました。

記者:演じるヘンリック役についてはいかがでしょう?

ウエンツ瑛士:まだ稽古前の段階のため、今後変わるかも知れないのですが、その時代の状況や、お手伝いさんがいる家でその年齢に至るまでどう過ごしてきたのか、また宗教を学んでいる学生なので、何を信仰しているのか、そんな彼が恋愛をしたときに何に囚われるのか、そういったことを大事にしながら演じたいなと思っています。まだまだ、セリフのひと言めが言えていない状況なんですけどね。

記者:ソンドハイムの歌は難しいと聞きますが、歌稽古に入っていかがですか?

ウエンツ瑛士:やはり難しいです。ピアノの音階に入っていない音を歌うことも多いですし、三重奏や何人かの言葉が重なって歌う曲もあります。ただ、歌稽古をしながら、歌を歌うことで芝居がしやすくなるなと感じています。セリフは明るいのに音階が暗かったりするんです。本当の気持ちはこの音階の暗さなんだろうなと導いてくれるのですごく助かっています。でもセリフではそのガイドがなくなるので、歌うよりセリフを言う方が難しくなるなと思っています。

記者:なるほど。セリフと音楽の方向が違ったりするんですね。

ウエンツ瑛士:そうですね。明るく話しているけれど本当は言いたくないんだなと、感情が向かう方向を歌が示してくれているんです。言葉と気持ちの向かう方向が必ずしも一致しないことで、それぞれの不協和音を表現するのかな。ただ、難しいことに変わりはないので、指揮の方には僕だけちょっと多めに合図を出してもらえるように優しく接しようと思っています(笑)。昨日も指揮の方のお茶がなかったのでそっとお渡ししたりしました!(笑)

(一同笑)

“芝居で歌うこと”を好むだろうと思ってる

拡大ウエンツ瑛士=安田新之助撮影/〈衣装〉ジャケット・パンツ= J.FERRY、ネクタイ=FAIRFAX、シャツ・靴=スタイリスト私物〈スタイリスト〉伊達めぐみ(UM)〈ヘアメイク〉Aico

記者:クラシックの曲が多いと聞いています。

ウエンツ瑛士:確かに多いですね。まだ、しっかりと話せていないんですけど、演出のマリアはそういった楽曲でも“芝居で歌うこと”を好むだろうと思っているんです。クラシックの歌い方をするよりも……。特に演じるヘンリックは言葉で伝えることは得意ではない人物だと思っているんですが、それでも言葉で伝えようとするヘンリックの気持ちを大事にしながら歌えたらと思っています。今は歌い方よりそういうところに時間を割いていますね。

記者:ボイストレーニングなどはされているんですか?

ウエンツ瑛士:はい、3~4年前からしています。この作品の初演でヘンリック役を演じたのは市村正親さんですが、市村さんと言えば歌ももちろん素晴らしいですが、声が大きいじゃないですか!? これだけボイストレーニングをやってもまったく追いつかないんですよね(笑)。歌の技法を大切にしながらも、お客さまにしっかりと伝えられるように丁寧にやっていきたいなと思っています。

記者:市村さんから何かアドバイスはありましたか?

ウエンツ瑛士:アドバイスはないです! そういうことをされる方ではないですね(笑)。でも、連絡をくださって楽しみにしてるよと仰ってくださったり、いろんな方が市村さんがこんなこと言ってたよ、って教えてくれるので、どれだけ僕がこの役をやることについて話してくださっているんだろうと(笑)。そういったがんばれよという思いがアドバイスなんだと思いますね。もちろん聞いたら答えてくれると思うんですが、きっと忘れたよって仰るると思います。どの作品も奥様と一緒に必ず見に来て下さるので、しっかりやりたいなと思います。

お芝居をされる方が歌う魅力が満載

拡大ウエンツ瑛士=安田新之助撮影/〈衣装〉ジャケット・パンツ= J.FERRY、ネクタイ=FAIRFAX、シャツ・靴=スタイリスト私物〈スタイリスト〉伊達めぐみ(UM)〈ヘアメイク〉Aico

記者:父親役の風間さんは初ミュージカルです。ウエンツさんから何かアドバイスすることがあるとしたら?

ウエンツ瑛士:そんなアドバイスするようなことなんてないですが……。ソンドハイムの曲は、同じ楽曲でもそれぞれがまったく別の音階を歌わないといけなかったりするんですね。そういう時に大事なのは、自分の声をいかに聞くかなんです。自分の声を聞かずに誰かに合わせたら全く違うリズムになってしまうんです。卑怯な手ですけど、指揮の方は僕がイニシアティブをとったので、音響さんに賄賂を渡して自分の声だけ大きくしてもらうといいですよと、皆さんから伝えてもらえますか(笑)。

(一同笑)

記者:義理の母親に恋心を抱く役ですが、その母親役は蓮佛さんです。

ウエンツ瑛士:本当に珍しいことなんですけど、稽古が始まる前に番組でご一緒したときにすでに連絡先を交換して作品についていろいろ話しているんですよ。だいたい稽古が終わって本番が始まるくらいに連絡先を交換することが多いんですけど、年齢が近いというのもあってすぐに意気投合しました。蓮佛さんは舞台もミュージカルも初めてで、僕、先輩って呼ばれていますから。とてもまじめに取り組まれていて、このシーンはこういうことですかと質問をされたり、練習しすぎと思うくらいです(笑)。

 先日の歌稽古で少しだけ合わせたんですが、本当に素敵な歌声で、お芝居をされる方が歌う魅力が満載でした。その方が義理の母であるということをまだ受け入れられていないんですが(笑)。でも、役の関係性がみえる歌を合わせた時にすっと入っていけたのは、うれしい瞬間でしたし心強いなと思いました。義理の母に対して抱く感情的なことを含め、宗教の観点からヘンリックがどういう立場にいるのかということは、もう少し勉強が必要だなと思っています。

みんなが同じシーンで爆笑することはないんじゃないかな

拡大ウエンツ瑛士=安田新之助撮影/〈衣装〉ジャケット・パンツ= J.FERRY、ネクタイ=FAIRFAX、シャツ・靴=スタイリスト私物〈スタイリスト〉伊達めぐみ(UM)〈ヘアメイク〉Aico

記者:コメディの楽しさと難しさは何でしょう?

ウエンツ瑛士:コメディは役からはみ出ないようにすることが難しいところだと思います。そのお国柄ならではのジョークが多かったりするので、演じる自分たちもそうですが翻訳の方も大変だと思いますし、言葉の意味を全員が同じように認識するまでが難しいですね。でも今回は、言葉に裏と表があって、それが共通認識にならないところがおもしろいんじゃないかなと思っています。錚々たる方々が揃っていますので、いろいろ勉強させていただこうと思います。

――最後にメッセージをお願いします。

ウエンツ瑛士:コメディといっても日常を切り取っている物語ですので、人によっては面白かったり、人によってはぞっとして笑えなかったり、それがこの作品のおもしろさだと思います。みんなが同じシーンで爆笑することはないんじゃないかな。となりの人は爆笑してるけど私は笑えないな、というのが当たり前の作品になると思います。一人ひとりが正解・不正解を探しながらもがいているので、同じような気持ちで見てもらえたらうれしいです。

◆公演情報◆
ミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』
2018年4月8日(日)~30日(月・祝) 東京・日生劇場
2018年5月4日(金・祝)~5日(土・祝) 大阪・梅田芸術劇場メインホール
2018年5月12日(土)~13日(日) 静岡・静岡市清水文化会館マリナート 大ホール
2018年5月19日(土)~20日(日) 富山・オーバード・ホール
[スタッフ]
作詞・作曲:スティーヴン・ソンドハイム
脚本:ヒュー・ホィーラー
演出:マリア・フリードマン
[出演]大竹しのぶ/蓮佛美沙子/安蘭けい/栗原英雄/安崎 求、トミタ栞、瀬戸たかの/木野 花/ウエンツ瑛士/風間杜夫 ほか
公式ホームページ

筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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