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女性専用車両への嫌がらせをする気持ち悪い人たち

差別の3要件から考える「男性差別」の虚構

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

女性専用車両の扉が開くと、女性客が一斉に乗り込む=10月22日、大阪市北区の阪急梅田駅女性専用車両は「男性差別」なのか?=大阪市の阪急梅田駅

 都市部で痴漢対策として実施されている女性専用車両に、抗議や嫌がらせの目的で乗り込む男性の集団が、乗客や駅員とたびたびトラブルを起こしています。これが、近年大きな問題となっていることはご存知でしょうか?

 2018年2月16日には、彼らが東京メトロ千代田線内で起こしたトラブルの影響によって、遅延が起こる事態にまで発展したことがニュースで大きく取り上げられ、これをきっかけにこの問題を知った人もいると思います。2018年2月27日放送の『モーニングショー』(テレビ朝日系)でも、この団体は「1000回以上乗った」と証言しており、近年常態化している問題です。

女性専用車両の是非に議論の余地無し

 このように女性専用車両に1000回以上も執拗に乗り続けるような気持ち悪い行動を繰り返す人たちに、社会がかく乱され続けており、早急に何とかして欲しいと思うのですが、彼らがあえて女性専用車両に乗り込むという迷惑行為をするのはなぜでしょうか? それは「女性専用車両は男性差別だ」「女性専用車両を男性が利用することは違法ではないはずなのに、鉄道会社が男性を排除しようとすることは問題だ」と訴えたいからのようです。

 もちろん彼らの主張が正しいか否かに議論の余地は一切ありません。実際、2008年に「女性専用車両に反対する会」という任意団体がつくばエクスプレスの女性専用車両に乗車を強行し、警備員等から降車するよう言われたことが名誉毀損に当たるとして損害賠償を求めた裁判がありました。ですが、当然原告の主張は退けられ、女性専用車両に違法性は無いとの判決が出ています。

 ただし、困ったことに、女性専用車両へ意図的に乗車した者に対して、女湯等に侵入した際に適用される住居侵入等罪が適用できる可能性は低いと考えられます。逆に、鉄道会社側が女性専用車両への乗車を強行した男性を強引に降ろそうとすれば、自分たちのほうが暴行罪等に問われてしまう可能性もゼロではないため、鉄道会社側が手をこまねいているのが現状です。

 自分たちが法的な罰に遭うことは無く、鉄道会社も弱腰で、自分よりも強そうな「イカつい若者」や「怖いおじさん」に怒られることも無いという状況につけ込み、彼らはこのような嫌がらせ行為を繰り返しているわけです。

女性への迷惑行為に甘過ぎる鉄道会社

 でも遅延が発生すれば「余罪」が増えるので、状況は変わります。

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