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『秋川雅史コンサート ザ・ベスト』を開催/上

もっともっと伸びていく、究極の歌声を追い求めたい

米満ゆうこ フリーライター


拡大秋川雅史=岸隆子撮影

 朗々と響き渡る美しい歌声で、クラシックをはじめ、多くのファンを惹きつけるテノール歌手の秋川雅史。2015年に美空ひばりの楽曲を集めた『Sings~美空ひばりを歌う~』や、映画音楽、歌謡曲などをちりばめた『GOLDEN VOICE』のアルバムを発表。秋川の活躍でクラシック音楽に目覚めた人も多いことだろう。7月28日(土)には、NHK大阪ホールで『秋川雅史コンサート ザ・ベスト』を開く。コンサートや秋川流の歌い方、大ヒット曲『千の風になって』、50代の今だから出せる声などについて、たっぷりと話を聞いた。

どんなジャンルの曲も秋川流のクラシックのスタイルで

――今回のコンサートについて聞かせてください。

 NHK大阪ホールで開かれるコンサートは、毎年恒例なんです。これまで10年かけて10種類ぐらいの多彩なコンサートをしてきました。その10年間やってきた中で、一番お客さんに評判が良かった曲を集めて、アルバムに例えるとベスト盤みたいなコンサートにしようと思っています。

――評判が良かったというのは、コンサートで肌で感じられたのですか。

 お客さんの反応を見て、自分で感じたことですね。今回は『Be My Love』『空に星があるように』『恋人よ』『悲しき天使』『千の風になって』のほか、松山千春さんの『大空と大地の中で』、カンツォーネ『君に告げてよ』、美空ひばりさんの『ひばりの佐渡情話』などを歌う予定です。

――今の曲目からも分かる通り、歌われるジャンルはクラシックはもちろん、フォーク、カンツォーネ、演歌、歌謡曲と幅広いですね。クラシックではないほかのジャンルの曲を歌うときは、どういうことを心がけていらっしゃるのですか。

 どんなジャンルの歌でも秋川流のクラシックのスタイルで作り上げるということです。僕が一番伝えたいのは、クラシックの魅力なんです。クラシックは声の音色が魅力だと思っています。誰も知らないクラシックの名曲を歌うより、皆が聴きなじんだ曲を歌ったほうが、その魅力がより伝わるんではないかと。だから、クラシックの歌声の魅力を多彩な楽曲を通して届けたいんです。

――秋川流というのは、どの曲を聴いても感じますが、演歌やフォークだからといって、歌い方を変えたりはしないのですね。

 変えたりしません。クラシックの発声法を生かせる歌い方をしています。

拡大秋川雅史=岸隆子撮影

――2015年に美空ひばりさんの楽曲を集めた『Sings~美空ひばりを歌う~』を発表されましたが、あの作品でもそうなのですか。

 同じですね。美空ひばりさんの印象が強い歌は、どうしても歌い方がひばりさんの真似になりがちなんですよ。そこからいかに抜け出すかが苦労するところなんです。印象が強い曲ほど難しい。僕は小学校5年生のときに、初めて歌謡曲にはまったんです。沢田研二さんの『勝手にしやがれ』、世良公則さんの『あんたのバラード』などにものすごく憧れて、毎日聴いていたんですよ。自分の中で、『勝手にしやがれ』は沢田さんのあの声じゃないとダメなんです(笑)。だからコンサートではずっと歌えなかった。テノールの声で歌ってもダメ。『あんたのバラード』も世良さんのあのハスキーな声じゃないといけないんです(笑)。でも、昨年、初めてディナーショーでこれらの曲に挑戦したんですが、意外といいかもしれないと思いました(笑)。

――ヒット曲を歌われるのは機が熟すときでもあるのですね。

 そうですね。この2曲は一生歌えないと思っていましたが、自分も成長して変化していくわけです。

――秋川さんの声に合うというのも大切にされているのですよね。

 そこは一番重要なポイントです。どんな名曲で、どれだけ人を感動させる曲でも自分の歌声に合わないとどうやっても歌えないですね。それが選曲の対象です。

――実際、ご自身の声に合うと思って歌われて、全く合わなかったこともあるのですか。

 あります、あります(笑)。仕方なく諦める場合もあるし、そうでなければ何か方向を探っていきますね。コンサートツアーが始まったのはいいけど、「いまいち、お客さんの受けがよくないな」と思うときは、楽曲が自分の声に合っていないんだなと気が付くんですよ。そういう時は、一年くらいかけて、もっと自分らしく歌える歌い方はないかと探ります。

――今回、バックの演奏はどのようなスタイルですか。

 ピアノ一台です。ピアノ一台というのは、最もオーケストラに近いんです。10本の指でたくさんの音を響かせることができる。ここに、例えばバイオリンやチェロなどを入れると、ピアノの音を削っていかなくてはならないんです。ピアノ一台が一番盛り上げられるんですね。オーケストラではないなら、ピアノ一台が一番いいと思っていますし、色んな表現ができますね。

◆公演情報◆
○秋川雅史コンサート ザ・ベスト
2018年7月28日(土) 大阪・NHK大阪ホール
○秋川雅史コンサート ~聴いてよく分かるクラシック 2 ~2018年
2018年8月17日(金) 東京・サントリーホール
公式ホームページ
〈秋川雅史プロフィル〉
1967年愛媛県西条市生まれ。4歳よりバイオリンとピアノを始める。のちに父の指導のもと声楽の道へと転向。国立音楽大学・同大学院にて中村健氏の指導を受けたあと、4年間イタリアのパルマにてデリオ・ポレンギ氏に師事。帰国後ソリストとして数々のコンサートに出演。2007年、シングル「千の風になって」でクラシックの歌手として史上初のオリコンシングルチャート1位を獲得。2014年新国立劇場オペラパレスにてオペラ「カルメン」ドン・ホセ役で出演。実力、人気を供えたテノール歌手として活躍している。
秋川雅史オフィシャルサイト

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筆者

米満ゆうこ

米満ゆうこ(よねみつ・ゆうこ) フリーライター

「三度の飯よりアートが好き」で、国内外の舞台を中心に、アートをテーマに取材・執筆。ブロードウェイの観劇歴は20年以上にわたり、ブロードウェイの劇作家トニー・クシュナーや、演出家マイケル・メイヤー、スーザン・ストローマンらを追っかけて、現地で取材をしている。

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