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石井竜也コンサートツアー「-陣 JIN-」

「日本人でいることって、すげえカッコいいよ」

真名子陽子 ライター、エディター


拡大石井竜也=岸隆子撮影

 4月の明治座を皮切りにコンサートツアー2018「-陣 JIN-」を行っている石井竜也。今回のコンサートは、エンターテインメントパフォーマンスステージ「将軍たちの午後」とプレミアムコンサート「天龍降臨」の2部構成。「将軍たちの午後」は、「日本の歴史がもう一つあったとしたら」という“イフ”の世界を、「天龍降臨」は、米米CLUBのヒット曲を和テイストにアレンジし和楽器とともにおくる。ツアーの最終地は大阪・新歌舞伎座。石井竜也の取材会が大阪で開かれ、コンサートツアー2018「-陣 JIN-」の魅力を余すところなく語ってくれた。

ちょっと過激な落語と思ってくれたら

記者:東京公演と地方公演をほぼ終えられましたが、手ごたえはいかがでしょうか?

石井:東京公演では明治座という劇場の持っている力がありました。いつも僕が公演しているホールとは違って花道があったりしましたので、今までと違う経験をしているという楽しさや緊張感がありましたね。大阪公演の新歌舞伎座は、明治座よりもっと日本ぽい雰囲気になっていますので、この演目の雰囲気にぴったり合っているんじゃないかなと思っています。

記者:公演内容について聞かせて下さい。

石井:2部構成になっていて、1部はみなさんが見たことのないような世界を創ってみたいなと思いまして、未来の話なんですが、「もし日本が戦国時代で、鎖国をしていたら」というお話です。そこで止まってしまっている日本。武士の立ち居振る舞いや士農工商などの構造自体は戦国時代とまるっきり変わってないんです。7人の将軍が陣取り合戦をやっていて、中には自分の娘を差し出して同盟を結んだり、いろんな人間関係がうずまいています。ところが、外国の侵略を受けて、将軍たちがいまひとつにならないといけない……。

 「ニッポン」という言葉は出てこないんです。「日ノ本」「龍の国」と呼んでいます。龍と呼ぶのは、北海道から沖縄までを繋げると龍の形をしているから。各地に7人の将軍がいて、その将軍の出どころはそれぞれで、選挙で選ばれた人だったり、下克上でどんどんのし上がってきた人だったり。7人の将軍にはものすごく分かりやすい人間模様があって、そんな将軍たちがひとつになって国を守り通せるのか?という話になっています。

 なかなかひとつにならないんだけど、ただひとつになるのは猥談なんです。「あの女の子はいいよー」みたいな話になるとひとつになる。これはおそらく3万年くらい変わってないんじゃないかっていうね(笑)。男のバカさ加減や人間としての性分が出てきてしまうんですね。将軍だけがそろった時に何が起こるかというと、やっぱり赤裸々な人間模様が出てくるんです。そこが面白いです。落語的な面白さというか、ちょっと過激な落語だと思ってもらえたらいいかもしれないですね。

衣装はオペラグラスで見て欲しい

拡大石井竜也=岸隆子撮影

記者:衣装もとても個性的ですね。

石井:7人の将軍をそれぞれの雰囲気にあわせて、なおかつ未来的な雰囲気になっていないといけないので相当苦労して作りました。オペラグラスで見たほうが良いですよ! ホントに細かいところまで作り込んでいますから。ある将軍の服は、化学を重視している場所にいるので、全体的にスチームパンクみたいな雰囲気を出しています。だけど、将軍の甲冑のイメージは決して忘れていないんです。

記者:7人の甲冑は石井さん自身がデザインをされたんですか?

石井:そうです。作り手と一緒に本物を作っていらっしゃる方に意見を聞いたりして、細かいところまでこだわって作りました。この衣装は、最初の1時間で倒れそうになります。面皰もすべて着けてますから。将軍が集まるということは、敵同士が集まるから顔を見せない。だから面皰を着けて顔を見せないんですよね。着けたまま7人が集まって、乱闘騒ぎを1時間やるんです。これは相当、体にきますね。

記者:石井さんはどの国の将軍を演じられるんですか?

石井:僕は「龍頭の国」の将軍で、龍頭は今の北海道になります。「龍神」という名前で、一応、大殿(おおとの)と言われています。今は関東が政治の中心になっているけれど、この時代は頭を制している者が一番なんですね。またそれがひとつの美学にもなっているんですよね。

自分で聞きながら毎回「天才だな」って(笑)

拡大石井竜也=岸隆子撮影

記者:2部のコンサートは「和テイスト」となっています。

石井:僕の和の曲というのは、ポップスの範疇からは出ていないんです。演歌にもなってないし、民謡にもなってない。あくまでもポピュラリティのある楽曲を、どれだけ日本=和に寄せられるか。そんな楽曲が続くので、日本人の耳には耳障りが良いと思います。いろんな曲を聞きなれている人にとっても、新しい和の切り込み方になっている曲だと思います。その辺を楽しんでいただけたらと思いますね。

記者:アルバム「龍」の楽曲ですね。

石井:ポップロックな雰囲気の中で、和を感じてもらいたいと思って創りました。そういう楽曲は意外とないんですよね。You tubeなどで聴いてもらえたら、こういうことがやりたいのかと一聴瞭然でわかっていただけるかと思います。

 「和テイストでまとめられませんか」とレコード会社へ3年くらい言い続けました。米米CLUBの曲も入っていますから、30年越しの曲も入れて39曲入っています。僕は多産型なので、曲はぽんぽんと創るほうなんですけど、和テイストのポップスとなると、なかなか難しかった……自分で聞きながら毎回「天才だな」って(笑)。誰もいってくれないので。

日本人の深さを表現したい

拡大石井竜也=岸隆子撮影
記者:「-陣 JIN-」を創るきっかけは?

石井:どの国へ行っても「自分の国は好きだ」ってみんな言うんです。けれど、それを真っすぐに言えない日本人はちょっと寂しいですよね。でも東日本大震災のあと、「この国を愛さないといけないんだ」と、自然になってきたような気が僕はするんです。2020年の東京オリンピックも僕はすごくうれしいんです。このタイミングで開催されることが。

記者:日本人の良さを伝えたい?

石井:たとえば、障子はお百姓さんが作ったんです。お百姓さんは、常に水との闘いなんですよね。水が多くても少なくても稲は枯れてしまう。だから「水の音」を聞かないといけない。それにはぴったりと貼られた障子に音を反響させて、常に音を聞きながら彼らは寝ていたんです。昔の日本の枕は高さのある枕でしたよね。マゲを守るためでもあるんですが、耳がつぶれないようにしていたとも言われています。そうやって日本人というのは、音や空気、要するに自然界の振動を感じながら生きていたんです。そして、そういった技術は神からもらったものと考えていた。日本はそういう国なんだと。そういうところは、この公演をやる前から日本人の一番好きなところで、日本人が日本人として誇るべきところであるし、そこを誇らない日本人も好きだし、そういうところがすごいなと思います。

 そして、いろんな国の文化を日本風にしてしまう。文化を取り入れはするんだけど、決してそのままは取り入れない。カレーがいい例ですよね。日本人の口に合うものに、日本のものにしてしまうというところは、やっぱり日本人はすごいと思う。第二部では、その日本人の深さみたいなものを表現したいなと思っています。人間は何かを作るために生まれてきて、作るために壊したり、工夫したり、より良いものにするためにそれを構築するやり方を変えてみたり……いろんなことを試行錯誤しながら生きています。そういう日本の執拗に物事を深く考えるところを表現したいです。

 また、大伽藍の屋根のカーブなんて、300年後にこういうカーブになると計算しないかぎり、あのカーブはでないそうです。でもどう撓(しな)るかなんて計算できないですよね。当時、5、60年生きればいいほうなのに、それを300年後にはこうなるからと作り上げる。それってものすごい愛じゃありませんか? 300年後に生きる子供たちが美しいって思えるものを作るって。この宮大工の凄味! 日本人にしかできないですよ。「日本てカッコいい国だよ、日本人でいることって、すげえカッコいいよ」と、右とか左とか関係なく僕は言いたいんですよね。

◆公演情報◆
石井竜也コンサートツアー2018「-陣 JIN-」
・1部:エンターテイメントパフォーマンスステージ「将軍たちの午後」
・2部:プレミアムコンサート「天龍降臨」
2018年7月19日(木)~7月22日(日) 愛知・刈谷市総合文化センター
2018年8月4日(土)~8月19日(日) 大阪・大阪新歌舞伎座
※8月9日(木)・8月15日(水)は休演日
公式ホームページ

筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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