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【公演評】月組『愛聖女』

歌って踊ってみんなをリード、バウホールの真ん中で光り輝く愛希れいかが半端ない!

さかせがわ猫丸 フリーライター


拡大『愛聖女(サントダムール)』公演から、ジャンヌ・ダルク役の愛希れいか(右)=岸隆子撮影

 月組公演、キューティーステージ『愛聖女(サントダムール)-Sainte♡d’Amour-』が、宝塚バウホールで上演されました。すでに次の大劇場公演『エリザベート』での退団を発表している月組の娘役トップスター愛希れいかさんが、バウホールで主演をつとめます。

 愛希さんが演じるのは、中世フランスの英雄ジャンヌ・ダルク。なんてピッタリなんだと想像していたら、そのジャンヌ・ダルクがタイムマシンに乗って21世紀の現代へと迷い込んだというから、これは一筋縄ではいかなさそう?

 キューティーステージの名の通り、演出の齋藤吉正先生らしさが冴えわたる、笑いあり涙あり、現代女子の愛らしさも満点な冒険劇は、愛希さんの等身大の魅力にもピッタリでした。

 歌でもダンスでもメンバーをリードして、舞台の中央で光り輝く姿は、やっぱりただの娘役じゃない。愛希さん……半端ないって!(以下、ネタバレがあります)

何を着て踊ってもカッコいい愛希

 スターがひしめく95期生の愛希さんは、2009年に初舞台を踏みました。男役で入団しましたが、2011年、娘役へ転向。翌2012年に月組のトップ娘役に就任しています。キュートなルックスと突出したダンステクニックを武器に、歌と演技の実力も備え、男役に寄り添いながら、自らもセンターをつとめられる稀有な娘役として、ぐんぐん成長してきました。これまでも男前と言われる娘役はいましたが、愛希さんはさらに進化した、新しいスタイルの娘役を確立したと言えるのではないでしょうか。

 男役至上主義の宝塚で、娘役が主人公をつとめるのは極めて珍しく、バウホール主演は2001年の元雪組娘役トップ月影瞳さん以来とのこと。BADDY風味な開演アナウンスも行われ、ワクワクドキドキ、胸が高鳴ります。

――時は21世紀。オルレアン工科大学では、ドクター・ジャンヌ(白雪さち花)が、学生たちとともにタイムマシンの開発を行っていた。ある日、失恋したドクターが衝動的にマシンに乗り込むと、同時に起こった太陽フレアの衝撃とともに姿を消し、代わりにあの歴史上の英雄ジャンヌ・ダルクが現れた。15世紀で火あぶりの刑に処せられていた最中にタイムスリップしてきたジャンヌは戸惑うばかりだが、ジャンヌ・ダルクを崇拝していた女子学生パメラ(天紫珠李)は、喜び勇んで彼女を自分のアパートに連れて行くのだった。

 現代に突然現れてしまったジャンヌ・ダルクの戸惑いをよそに、来ちゃったものはしょうがないとばかりに、パメラはジャンヌを現代仕様に変身させますが、そもそもジャンヌは意志の強い戦士。マイペースを崩すはずもなく、あちこちで騒動を起こしていきます。

拡大『愛聖女(サントダムール)』公演から、ジャンヌ・ダルク役の愛希れいか(中央)=岸隆子撮影
 楽だからとジャージを着こなし、男の子のような乱暴な口調で暴れまわる、トップ娘役にはなかなか来ないキャラクターですが、それでも品を崩さず、お茶目に演じてしまうのが愛希さんでしょうか。戦場スタイルでも、ジャージでも、若い女子ルックでも、みんなを率いてキレッキレに踊る姿がとにかくカッコいい。娘役らしい優雅なダンスも素敵なのですが、愛希さんの武器はまさにこの切れ味で、全組よりすぐりの男役ダンサーの中に入ってもメインを張れること間違いなし。今回はお芝居の1本ものでしたが、2幕はまるごとショーでも良かったのにと、もどかしくなるほどでした。

◆公演情報◆
キューティーステージ『愛聖女(サントダムール)-Sainte♡d’Amour-』
2018年7月1日(日)~ 7月7日(土) 宝塚バウホール
公式ホームページ
[スタッフ]
作・演出:齋藤吉正

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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