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舞台『銀河鉄道999』公演レポート

不朽の名作の40周年記念作品が新たな宇宙の旅へ

岩村美佳 フリーランスフォトグラファー、ライター


拡大舞台『銀河鉄道999』公演から=源かつみ撮影/(C)松本零士・東映アニメーション・(C)舞台『銀河鉄道999』実行委員会2018

 松本零士が生み出した不朽の名作『銀河鉄道999』が40周年を迎えた今年、舞台『銀河鉄道999』〜GARAXY OPERA〜となって新たな宇宙の旅を生み出している。主演の星野鉄郎役は中川晃教。中川は主題歌の作曲も手がけた。シンプルなセットのなかに、様々な手法で映像を折り込んで光と闇を描き出し、スタイリッシュな作品に仕上がっている。東京公演は終了したが、北九州公演(7月21日~22日/北九州芸術劇場大ホール)、大阪公演(7月25日~29日/梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)へと続く。

 松本零士を想起させる“男”(入野自由/大山トチロー)が、夢を求めキャラクターを描き出すところから物語がはじまる。この男と、鉄郎の旅が平行して進んでいき、ふたりの物語が融合していく。少年(中川/星野鉄郎)、女(ハルカ/メーテル)、キャプテン・ハーロック(平方元基)、クィーン・エメラルダス(凰稀かなめ)、4人のキャラクターが立ち上がり、壮大な物語が動き出した。どんな物語がはじまるんだろうとワクワクしていると、鉄郎を中心とした若者たちによるラップナンバーが! 「そうくるか!」となかなかの衝撃。裕福な人々が機械化人となり、永遠の命を謳歌する未来の地球において、機械を手に入れられない鉄郎などの貧しい人々が、その熱を燃やして反抗心を表すラップは、現代ならではの表現だと納得する。その様子を見ていたメーテルと出会い、鉄郎の人生が動いていく。

 そしていよいよ999号に乗り込む旅立ちの時。この旅立ちの曲が、中川が作曲した主題歌だ。はるかに広がる大きな宇宙に初めて足を踏み出す鉄郎の期待と、物語が始まる高揚感があわさり、胸が高まった。

 舞台『銀河鉄道999』はどんな作品に仕上がったのか。その全体像、キャラクターを演じた役者たち、舞台化による効果、この3点に絞って考察する。

自分自身が宇宙にいるような感覚に

拡大舞台『銀河鉄道999』公演から=源かつみ撮影/(C)松本零士・東映アニメーション・(C)舞台『銀河鉄道999』実行委員会2018

 まずは全体像について。物語はアンドロメダ編と呼ばれる物語をベースに、松本零士を想起させる“男”が、その物語を描く姿と並行して展開していく。これが、脚本の坪田文が今回の舞台化の際に考えた新たな視点であろう。松本自身の人生や夢そのものが『銀河鉄道999』の物語に反映されていることは、これまでさまざまな取材などで見聞きしたが、そのことを舞台に描き出した結果、2層構造となり、オリジナリティが生まれている。「生きるとは何か」「どう生きるべきか」といった哲学的な内容が描かれる原作世界だからこその不朽の名作だが、その哲学的セリフが多少多すぎて、理解がおいつかないところもあるのだが、外せない要素であることは間違いない。

 舞台演出は、演出の児玉明子と、映像演出のムーチョ村松。映像とひとくくりに言っても、いわゆる一般的に想像する映像だけでなく、投射する技術や、レーザーポインター、スモークなどさまざまな要素を使って、光と闇を表現している。そして役者や音楽、その他の多くの要素全体を取りまとめているのが、児玉といったところか。あの壮大な宇宙空間をどうやって舞台に表現するのか、楽しみにしていたことのひとつだ。

拡大舞台『銀河鉄道999』公演から=源かつみ撮影/(C)松本零士・東映アニメーション・(C)舞台『銀河鉄道999』実行委員会2018

 基本的にはシンプルな空間の奥にブリッジを配し、2階部分を作り出し、可動式の階段で様々な空間を作り出していた。そして、大きなスクリーンに映像を映し出すことはもちろんだが、そのスクリーンを2層にしてふたつの映像を重ね、さらに照明が加わると本当に美しい宇宙が広がる。客席にまで広がった照明を感じると、自分自身が宇宙にいるような感覚になったりもする。ただし、これはどの座席で見るかによっても変わってくるので、その見え方は様々で、今後上演される劇場によっても変わるかもしれない。

 音楽面について。作詞の石丸さち子(主題歌以外の楽曲)、音楽監督の久保田修によって、美しい様々な種類の音楽が作られている。とにかく歌唱力のあるキャストが揃っているので、1曲1曲に思いが深く込められていて、気持ちを物語へとスムーズに誘ってくれる。中川とハルカが共に旅する思いを歌う曲は、柔らかさの中に煌めきがちりばめられた美しいメロディが印象的だ。そして、中川と入野が歌う曲も記憶に残る。トチローから鉄郎に託される思いに震え、「男たちの螺旋が繋がっていく」「お前は俺の意思を継ぐもの」という歌詞が説得力を持って伝わってくる。今回は録音音源による上演だが、ぜひ生のフルオケで聴いてみたいと思う交響曲的な広がりのある曲も多い。

◆公演情報◆
銀河鉄道999 40周年記念作品
舞台『銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~
2018年6月23日(土)~30日(土) 東京・明治座
2018年7月21日(土)~22日(日) 北九州・北九州芸術劇場大ホール
2018年7月25日(水)~29日(日) 大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
公式ホームページ
公式ツイッター
[スタッフ]
原作・総監修:松本零士
脚本:坪田文
演出:児玉明子
映像演出:ムーチョ村松
銀河鉄道999テーマ曲・中川晃教
音楽:久保田修
[出演]
中川晃教、ハルカ、染谷俊之、矢沢洋子、雅原慶、美山加恋/入野自由/お宮の松、小野妃香里、塚原大助/凰稀かなめ(特別出演)/平方元基 ほか
中川晃教インタビュー
凰稀かなめインタビュー

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筆者

岩村美佳

岩村美佳(いわむら・みか) フリーランスフォトグラファー、ライター

ウェディング小物のディレクターをしていたときに、多くのデザイナーや職人たちの仕事に触れ、「自分も手に職をつけたい」と以前から好きだったカメラの勉強をはじめたことがきっかけで、フォトグラファーに。現在、演劇分野をメインにライターとしても活動している。

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