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公演評/宙組『WEST SIDE STORY』

高度なダンスと名曲の連続!生演奏で蘇る不朽の名作に真風涼帆と宙組が体当たりで挑む

さかせがわ猫丸 フリーライター


 宙組公演MUSICAL『WEST SIDE STORY』が、梅田芸術劇場メインホールで上演されました(7月24日~8月9日)。この作品は1957年、ブロードウェイで初上演され、1961年には映画化。アカデミー賞を総なめし、世界的大ヒットとなりました。ジョージ・チャキリスを中心に3人の若者が両手と片足を高く上げるポーズは、あまりにも有名です。若者たちがエネルギーをぶつけあう激しいダンスシーン、そして「トゥナイト」「アメリカ」「マンボ」「クール」「マリア」など、レナード・バーンスタインによる名曲の数々は、誰もが耳にしたことがあるのではないでしょうか。

 宝塚では1968年の初演以来、1998年月組、1999年星組と再演され、今回は初演以来50年、バーンスタイン氏生誕100周年、宙組誕生20周年と、記念尽くしの公演となりました。今年の1月、東京国際フォーラムで上演され、大好評を博しましたが、地元関西での再演では、主要キャストが変更されたことも大きな話題となっています。

真風トニー、史上最高のピュア

拡大『WEST SIDE STORY』公演から、トニー役の真風涼帆=岸隆子(Studio Elenish)撮影
 『WEST SIDE STORY』は、『ロミオとジュリエット』を元にしたと言われています。シチュエーションも物語もほぼなぞらえているため、トップの真風涼帆さんが演じるトニーはロミオ、星風まどかさんが演じるマリアはジュリエット、そしてジェッツはモンタギュー家、シャークスはキャピュレット家に相当するなど、照らし合わせながら見る面白さも見逃せません。

 開演前のオーバーチュアでは、馴染みある名曲たちが次々と生演奏され、作品への期待がふくらんでいきます。幕が上がるとさっそく、『WEST SIDE STORY』を象徴するダンスシーンから。ヨーロッパ系移民の白人グループ・ジェッツと、プエルト・リコ人グループのシャークスが、指をならしながら互いに挑発するように踊り出します。

――1950年代、ニューヨーク。ウエストサイドでは、2つのギャング、ジェッツとシャークスが日々、抗争を繰り返していた。この縄張り争いに決着をつけるため、ジェッツのリフ(澄輝さやと)はシャークスのベルナルド(愛月ひかる)に決闘を申し込むことを決意。親友のトニー(真風)にも、今夜のダンスパーティーで表明するから一緒に来てほしいと頼む。トニーはジェッツのリーダーだったが、今は仲間から離れて、ドク(英真なおき)の経営するドラッグストアで働いていた。断りきれずに承諾しながらも、トニーは何か特別なことが起こる予感に胸が高鳴るのだった。

 真風さん演じるトニーは、さわやかな好青年です。かつてはリフとともに喧嘩に明け暮れていましたが、今はそんな面影もなく、まさしくロミオのように母性本能をくすぐります。本当は誰よりも強く、仲間から信頼されるトニーは、おっとりしながら頼りになる真風さん自身の魅力にも重なるよう。シンプルなシャツとデニムがスタイルの良さに映えて、自然な男らしさも抜群です。マリアと出会って、その喜びをドクに報告するシーンのピュアさと可愛さは、真風さん史上最高かも!?

 少年のように純粋なトニーは、若さゆえの制御がきかず、やがて悲劇をもたらせてしまいます。自らを哀しい運命へと導いていく不器用さもまた、トニーの魅力になっているのが切なくてやりきれません。

◆公演情報◆
『WEST SIDE STORY』
2018年7月24日(火)~ 8月9日(木) 梅田芸術劇場メインホール
公式ホームページ
[スタッフ]
原案:ジェローム・ロビンス
脚本:アーサー・ロレンツ
音楽:レナード・バーンスタイン
作詞:スティーブン・ソンドハイム
オリジナルプロダクション
演出・振付:ジェローム・ロビンス
演出・振付:ジョシュア・ベルガッセ
演出補・訳詞:稲葉太地

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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