メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

読書感想文の虎の巻

夏休みも終盤。小中学生の宿題に役立つ「読書感想文の書き方」指南本の読書感想文

大山くまお ライター

2学期が始まり、夏休みの宿題を見せ合う小学生たち=2017年8月25日、大阪市北区の豊仁小学校

 小中学生の夏休みの宿題といえば、読書感想文を思い出す人も多いと思う。筆者の娘は今年から小学校に入ったが、来年あたりから読書感想文の宿題が出されることになるはずだ。聞いたところによると、小学校3年生あたりから1200字も書くことになるのだという。これは「青少年読書感想文コンクール」の規定の文字数に準拠しているものと思われる。

 筆者もライターの仕事をしているが、子供の頃は読書感想文が苦手だったので、どうやって指導すればいいのか見当もつかず、今から大変気が重い。同じように考える親が多いのか、書店には「読書感想文の書き方」を指南する本が並んでおり、なかにはベストセラーになっているものもある。

 そこで今回は「読書感想文の書き方」指南本をまとめて読んでレビューしてみたい。それぞれの本には性質や方向性があり、一長一短がある。自分の子どもに合った本を選ぶ参考になれば幸いである。なお、読書感想文の宿題が高度化する小学3・4年生を対象にした本を中心に選んでみた。

●『スイスイ!ラクラク!! 読書感想文 小学3・4年生』(成美堂出版)

成美堂出版編集部 編

 子ども向け学習ドリルを数多く出版している成美堂出版から2009年に刊行された本。「小学1・2年」「小学3・4年」「小学5・6年」に分かれている。

 まず、「ふせんメモ」を使うことが推奨されている。「読みながら思いついたことをどんどんふせんに書く!」「書いたふせんをページにはる」ことを繰り返し、あとから「ふせんメモ」をもとに再構成していくとされているが、これは小学3年生にはなかなか難易度が高いのではないだろうか。

 本書の最大の特徴は、読書感想文の実例が20作品も掲載されていること。ファンタジー作品『デルトラ・クエスト1 沈黙の森』や人気小説『若おかみは小学生!』などのそれぞれ1200字のお手本の感想文がまるごと掲載されている。読書感想文の実例と付随するブックガイドが全体の8割以上を占める。

 ただし、水泳選手の北島康介やアルピニスト・野口健の大人向けの本が選ばれていたりするなど、選書に少々疑問が残る。刊行時期的に、選ばれた本が少し古いのも気になる。

●『読書感想文がスラスラ書ける本 小学3・4年』(成美堂出版)

監修 松下義一(神奈川県藤沢市立小学校元教諭) 

 上記の『スイスイ!ラクラク!!~』をブラッシュアップしたものが本書。「ドラゼミ作文コンクール」審査員も務めていた松下氏が監修に入っている。初版は2015年。

 「ふせんメモ」のくだりがなくなり、読書感想文は「はじめ」「なか」「おわり」の3つで組み立てるものとしている。「はじめ」は本との出会いと中身の紹介、「なか」は感想(考え・意見)、「おわり」は自分の目標や考え方が変わったことを書く。考え方がグッとシンプルでわかりやすくなった。

 選書も『ルドルフとイッパイアッテナ』、『100万回生きたねこ』などの名作からイチローの伝記まで、普遍性が高まっているので使いやすい。「読書感想文の例」の質も『スイスイ!ラクラク!!~』より上がっている。

 実は現在の小学校(特に公立小学校)では、読書感想文の書き方の指導はほとんどなされていない。なかでも子どもたちが“良い読書感想文”を読む機会は皆無である。大人でも文章を書くときに手本を参考にしたりするのだから、子どもだって手本があったほうがいい。読書好きの子なら、この本を読ませれば感想文のコツをすぐにつかむことができるだろう。なお、「読書感想文の例」の丸写しは厳禁なので注意。

●『必ず書ける あなうめ読書感想文』(Gakken)

監修 青木伸生(筑波大学附属小学校教諭)

 2007年に初版刊行、これまでに11刷を重ねたロングセラー。昨今、小学生向けに「あなうめ」系の参考書が多いが、本書がその嚆矢とも言える。対象年齢は明記されていないが、平易な例文が多く小学1年生からでも使うことができそう。

 とにかくポイントは「あなうめ」。たとえば「うさぎとかめ」なら、「(うさぎ)は、なんて(ばかなことをしてしまった)んだろう。これが、読み終えたときに、さいしょに感じたことです」という具合。最初のカッコには登場人物を書き、二番目のカッコには登場人物について思ったことを書く。この調子でポイントの穴埋めを続け、最後に清書すればできあがり。

 国語の問題を解くような調子で進んでいくので、教える側も教えやすい。ただし、似たような仕上がりの読書感想文が量産されることになり、「これでいいの?」とも少し思う。読書や国語が苦手な子、あるいは低学年向けと考えるべきだろう。

●『ドラえもんの国語おもしろ攻略 読書感想文が書ける』(小学館)

監修 宮川俊彦(国語作文教育研究所所長)

 「ドラえもんの学習シリーズ」の中の1冊。初版は2013年で、現在までに9刷。対象年齢は明記されていないが、

・・・ログインして読む
(残り:約1885文字/本文:約3957文字)