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小室圭さんと結婚する眞子さまと父秋篠宮さま、自由を求めた者同士の切なさ

矢部万紀子 コラムニスト

 秋篠宮皇嗣妃紀子さまが55歳になった9月11日、文書が公表された。宮内記者会からの質問に答えるもので、3問目が眞子さまの結婚に関するものだった。今後の見通し、母親としての考え、親子で話している内容について問われ、こう答えた。

 「長女の結婚については、親として娘の思いや考えを受け止められるよう、対話を重ねております」

 1年前もほぼ同じことを聞かれ、こう答えている。

 「長女の結婚については、対話を重ねながら、親として娘の気持ちを受け止め、一緒に考えていくことが大切だと考えています」

9月11日に55歳の誕生日を迎える秋篠宮妃紀子さま=2021年8月23日午前、宮邸、宮内庁提供「親として娘の思いや考えを受け止められるよう、対話を重ねております」と発言された秋篠宮妃紀子さま=宮邸、宮内庁提供
 同じようだが、微妙に違う。今回は、「娘の思いや考え」を受け止めるための対話。前回は「一緒に考えていく」ための対話。つまり、眞子さまの気持ちが固まったということで、「儀式なし、一時金辞退」と報道された形での結婚が、ほぼ決まっていると読み取れもする。

 大変おめでたい。そう思うのは何度も書いてきたことだが、私の眞子さまの結婚に対する気持ちが佳子さまと同じだからだ。佳子さまは2019年、大学卒業にあたって「姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています」と文書で公表している。

 なぜ一個人としての希望がかなってほしいのかについては、社会学者の鈴木涼美さんの言葉で説明させていただく。国際政治学者の三浦瑠麗さんと対談する中で、鈴木さんはこう言った。「女の人には“幸福になる権利”もあれば“不幸になる権利”もある」(「文藝春秋」2021年2月号)。

 そう、眞子さまの人生は眞子さまのもの。自分のした決断でどういうことが起きても、引き受けるのは自分。だから、決めた通りに進むのが一番。そう思っている。だが、そんな私にも一つだけ気がかりがある。それは、秋篠宮さまは今、どう思っているだろうかということだ。

秋篠宮さま、紀子さまの苦悩

55歳の誕生日を前に記者会見する秋篠宮さま=2020年11月20日午前10時7分、東京・元赤坂の赤坂東邸、代表撮影 20201120昨年、眞子さまの結婚を「認める」と発言された秋篠宮さま=2020年11月20日、東京・元赤坂の赤坂東邸、代表撮影

 20年11月、55歳の誕生日に合わせた記者会見で秋篠宮さまは、「結婚することを認めるということです」と述べた。憲法の「婚姻の自由」を引き合いにしたものだが、一方で「結婚と婚約は違いますから」とも述べた。

 これは秋篠宮さまからの「駆け落ちのすすめだ」と思い、そのことは論座で書いた。

 具体的な形を思い描いてのものではなかったが、「結婚と婚約」を分けた秋篠宮さまの言葉通りに「儀式なし」になるようだ。ただし、あの発言は皇族としてのもので、父親としては苦しく切ないに違いない。

 一般論ではなく、ある根拠に基づいてそう思っている。21年4月、小室圭さんが母と元婚約者との「金銭トラブル」について説明する文書を公表した。それを受け、毎日新聞編集委員・江森敬治さんがあることを語った。それは「文藝春秋」21年6月号に掲載された座談会でのもので、あたかも秋篠宮さまの叫びのようだと思ったのだ。

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