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想定外ではなかった東日本大震災/災害報道に必要な歴史の検証 11日にニコニコ生放送

隈本邦彦 via 朝日新聞「Journalism」5月号

隈本邦彦

 朝日新聞社のジャーナリズム&メディア研究誌「Journalism」(ジャーナリズム)2011年5月号が5月10日に発行されました。5月号の特集は、「原発事故と科学報道」。主要なラインアップは以下の通りです。

原発事故後の科学ジャーナリズム 「脱啓蒙」への進化をめざして (上)「原子力」と「科学コミュニケーター」 〔朝日新聞編集委員、WEBRONZA筆者・尾関章〕

「想定外」ではなかった東日本大震災 災害報道に必要な歴史の検証 〔江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授・名古屋大学減災連携研究センター客員教授・隈本邦彦〕

「社会の中における科学」を語る これからの科学報道を考える 〔東京大学特任教授、WEBRONZA筆者・米本昌平〕

受け手は何が分かっていないか 考え続けるNHKの科学報道 〔NHK解説委員・岩本 裕〕

ネットの力ですくい上げた ホメオパシーへの疑問と不安 〔朝日新聞「アピタル」編集長・平子義紀、朝日新聞社アスパラクラブ運営部員兼「アピタル」編集部員・藤田明人〕

 

 WEBRONZAではこのうち、「想定外」ではなかった東日本大震災 災害報道に必要な歴史の検証 〔江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授・名古屋大学減災連携研究センター客員教授・隈本邦彦〕をWEBRONZAスペシャルとしてご紹介します。

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 また、関連の討論番組が明日11日21時から、ニコニコ生放送で「朝日新聞 Journalism『原発事故と科学報道』」として生中継されます。出演は、隈本邦彦、鬼頭恒成(ジャーナリズム編集)、徳山喜雄(ジャーナリズム編集)、司会進行:杉本誠司(ニワンゴ社長)です。

番組URLは〈http://live.nicovideo.jp/watch/lv49397392〉です。ぜひご覧下さい。

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■「想定外」ではなかった東日本大震災 災害報道に必要な歴史の検証 隈本邦彦

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【くまもと・くにひこ】江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授・名古屋大学減災連携研究センター客員教授。1957 年福岡県生まれ。上智大学理工学部卒。80年、NHK入局。報道局特報部、社会部、科学文化部などを経て2008 年から現職。主な制作番組はNHKスペシャル「院内感染」、同「調査報告東海村臨界事故~緊迫の22 時間を追う」など。

 

 科学報道や防災報道の世界に長く身を置いた私からみて、今回の東日本大震災の報道で強い違和感を覚えるのが、マスメディア各社が巨大地震の発生とそれに伴う大津波を、「想定外の出来事」として報じていることだ。例えば、地震翌日の読売新聞朝刊は「東日本巨大地震 地震学者『常識超えた』」という見出しで「想定を超える巨大地震の発生に、専門家たちも衝撃を受けている。『これほど破壊領域が広がるというのは、専門家の常識を超えている。地震学者の敗北だ』」と想定外を強調するトーンになっている。同じ日の毎日新聞朝刊も「(宮城県沖から南の茨城県沖まで)複数領域が連動して発生する地震は想定外だった」と国の地震調査委員会の阿部勝征委員長(東大名誉教授)の談話を大きく伝えた。

 確かにマグニチュード9・0の地震が日本近海で起きたのは観測史上初めてであったし、東北地方太平洋沖の複数の震源域が同時に破壊して地震を起こすということは、ほとんどの地震学者は予想していなかった。しかし大震災の後、多くの政治家、行政担当者、原子力の専門家までもが「これほどの災害は『想定外』だった」と発言していることに対して、(その真偽を吟味せず)無批判に伝えるだけでは、科学ジャーナリズムの名に値しないといっても過言ではないだろう。

 実は、今回各地を襲った大津波による被害も、福島第一原子力発電所で進行しつつある惨状も、過去の災害の歴史や最新の科学データを謙虚に受け止めていれば、当然、想定されてしかるべきものであったのだ。「想定外」ではなく、単なる「未想定」に過ぎなかった根拠がいくつもある。


筆者

隈本邦彦

隈本邦彦(くまもと・くにひこ) 

江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授・名古屋大学減災連携研究センター客員教授。1957 年福岡県生まれ。上智大学理工学部卒。80年、NHK入局。報道局特報部、社会部、科学文化部などを経て2008 年から現職。主な制作番組はNHKスペシャル「院内感染」、同「調査報告東海村臨界事故~緊迫の22 時間を追う」など。