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ジャーナリズムとビジネスの両立は難しい

ネット事業は別会社での運営が望ましい

森川 亮 C CHANNEL社長

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 世界中で5億を超える人に無料対話アプリを提供するLINE(東京)の社長を3月に退き、4月に動画ファッションマガジン「C CHANNEL(シーチャンネル)」を立ち上げました。主なターゲットは10~20代の女性です。

 「C CHANNEL」はひとことでいえば女性ファッション誌の動画版です。プロのモデルやタレント、OL、学生など「クリッパー」として登録している約100人の女性が、それぞれiPhoneで自分の気に入った店や場所、商品などを撮影しながら紹介します。内容は食べ物であったり、服のコーディネートだったり、髪の毛のアレンジの仕方だったり、様々です。

 クリッパーはタレント事務所の紹介や友人のつて、ネットの応募で集めました。基本的にはクリッパー個人が好きな店に行って撮影した動画をアップする。動画の下に商品の価格を表示するものもありますが、「C CHANNEL」は商品や店の紹介によって広告料を得ているわけではありません。動画は広告ではないのです。ブログと一緒で、クリッパー本人がいいと思ったものを紹介しています。

 店内の撮影も、店側の許可を得ているものもあればいないものもあります。ブログに写真を載せるのに、店の許可は取りませんよね。それと同じです。彼女らは撮影や報道のプロではありません。動画の編集は現在、プロが入ってやっていますが、今後はアプリでクリッパーができるようにしようと思っています。

 ただ、中身に問題があるものだとまずいので、そこだけ社内でチェックします。

 クリッパーからは毎日映像があがってくるので、それを見て「C CHANNEL」に出す、という作業は毎日あります。みなさん平日より休みの日のほうが時間の余裕がありますから、土日にあがってくる動画が多いです。ですから、スタッフはサービス業みたいなもので、休みの日のほうが忙しい。

 現在は会社として、まったくお金をいただいていない状態です。夏から広告を販売します。広告といっても動画の中に広告を入れるのではなくて、企業のオウンド(自社)メディアとして動画枠を貸し、運営費でお金をいただくモデルですね。商品を売ったお金で利益を得るのではなく、お店に場所を貸す不動産業のような形でやります。動画のプラットフォームを企業にお貸しして、企業は自分たちのオウンドメディアをつくって、それに対する対価をいただくという形です。クリッパーの一人として企業に入っていただきます。

 4月の末に第三者割当増資を実施し、5億円を確保しました。夏には広告販売を開始しますから、来年には黒字化できると思います。

「日本を元気に」と願いメディア業界に戻った

「C CHANNEL」の森川亮社長拡大「C CHANNEL」の森川亮社長
 少し前からLINEを離れてメディア事業をやろうと考えてはいたのですが、具体的にこの形でこの事業をやろう、と決まったのは今年に入ってからです。

 LINEの社長を辞めたのは、まず、僕自身がこれまで10年周期ぐらいで仕事を変わってきていたことです。LINEに関していえばもう12年やり、やりきった感があった。そういう意味では次の世代にバトンタッチしないといけないなと思っていました。

 そうなった時に何をやるかなんですが、自分の年齢を考えればこれからそんなに長くはできない。若い起業家の機会を奪うようなこともしたくない。どうせやるんだったら、新しい、日本を元気にするような事業をやりたいと思っていました。最初は教育とか医療も考えたんですけれど、ビジネス的にはまだまだ時間がかかりそうでした。

 僕自身がかつてメディア企業にいましたし、メディア業界はちょうど変革のタイミングでもあるので、もう一度メディア業界にチャレンジしたいなと思ったんです。

 今年の1月ぐらいから計画を立てて資金調達をしながらウェブサイトをつくりはじめて、動画の制作スタッフを集めて、そこに出ていただく人を集めて、テスト的に撮りながら起業を進めてきました。

 スタッフについては、起業の話をしてからすぐにそれまでの仕事を離れられるわけではないので、そのぶん準備がぎりぎりになりました。ほぼみなさん、4月1日に入社してそこから一気にスタートしました。ずっと休みなく走りつづけて、ようやく5月下旬に休める人が出てきた、という感じです。

 LINEのビジネスをやって世界に出ていくと、いろいろな人がいる中で、日本人は能力が高いのにまだまだやりきっていないなと思うところもありました。もっとうまいやり方があるんじゃないかなとか、日本人のいいところを、もっと世界に理解してほしいなと思うところがあったのですが、どうしてもLINEの場合はグローバル企業だということもあり、社内に外国人も多くて、日本のためだけに仕事をすることができなかったんです。なので、もし起業するとしたら日本のためになることをやりたいという思いがありました。

 日本人にはやさしいところもあるし、協調性もある。何かいいものを生みだそうという思いが強いですよね。ただ、思いだけだとなかなか理解されないのです。日本の人は海外の人に比べるとコミュニケーション能力はそんなに高くないので、どうしても誤解を招いてしまう。「何かいい物をつくればいい」とか、「いい人であればいい」「きっと分かってくれるだろう」みたいなことが通じない。海外ですともっとアピールしなければいけなくて、アピールという意味でいうとメディアが一番重要だと思うんです。

 現在は日本の文化を海外に伝えるのにクールジャパンという形でやっていますが、どちらかというとアニメとかゲームが主流で、 ・・・続きを読む
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筆者

森川 亮

森川 亮(もりかわ・あきら) C CHANNEL社長

1967年、川崎市生まれ。筑波大学卒業後、日本テレビ放送網に入社。勤務のかたわら、青山学院大学大学院でMBAを取得。2000年にソニーに入社。03年、LINEの前身であるハンゲームジャパンに入社。07年に同社社長に就任。15年3月にLINE社長を退任。同年4月、インターネット上で動画メディアを運営するC CHANNELを設立。5月に著書『シンプルに考える』(ダイヤモンド社)を出版。