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勝ちと負けを同等に受け止める力が弱い

倉沢鉄也

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

 筆者は12年前の岡田ジャパンの頃、岡田監督の長年のライバルである加藤久さん(現・京都サンガ監督)とオフィスで机を並べていたことがある。彼の立ち話を聞いているうち、少なくとも日本代表のサッカーは、一般人が考え及びもつかないほど、選手は完全なチームプレーに徹していることを知った。個別のシュートシーンなどでは選手個人の力量も目につくが、選手個人のアイデアや自由裁量はほとんど何も認められていないというのが、サッカー日本代表とりわけ岡田ジャパンに対する的確な見方である。

 したがって、メディアを通しての評価の対象である、チームとしての勝敗の責任は、確かにすべて岡田監督にある。代表監督の評価が結果のみで決まることは至極当然であり、そのことを熟知している岡田監督の口が、勝っても負けても重たいこと、話しても何も好転しないことを、メディアもファンも、勝っているときこそ正しく理解したほうがよい。最終的に求める結果はワールドカップの戦績だとわかっているならば、その過程について非難することは、岡田ジャパンを後押しする力としてほとんど意味を持たないこと、それまでの事柄を一喜一憂して短気にならないことこそが、サッカー担当記者も含めたサッカーファンの最も親身な応援の姿ではないかと思われる。

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