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私生活主義の流れとずれていった革命思想

三浦展

三浦展 三浦展(消費社会研究家、マーケティングアナリスト)

1958年生まれで、これまで政治活動をしたこともない私としては、永田洋子にも連合赤軍にも特別の感慨があるわけではない。しかし5歳上の兄が、大学受験直前にもかかわらず、あさま山荘事件の様子をテレビでずっと見ていたことは今もはっきりと記憶している。一生忘れないだろう。視聴率90%という数字は嘘ではないというのが実感だ。

 その後明らかになった彼らのリンチ殺人が学生運動に対する失望を決定的にしたと言われるが、それも私にはあまり感慨はない。感慨はないが、思想のために人を殺すことがあるのかと驚いたことは間違いない。はっきり記憶はないが、学生運動は恐い、左翼は恐い、という感覚が芽生えたのではないだろうか。

 その後起こった三菱重工爆破事件は、学生運動に対してかすかに残っていた最後の共感を完全に消し去る事件だったと思う。当時はテロとは言われなかったと思うが、今なら間違いなくテロと言われるだろう。それまでは多少学生運動に肩入れしていた新聞が、いきなり批判的な記事を書くようになったので、私は少し矛盾を感じた。

 たしかに1970年代に入って、時代の感覚が変わりつつあった。

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