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ソフトバンク・ホークスと自治体との連携に期待!

大坪正則(スポーツ経営学)

大坪正則 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

 8月12日の朝日新聞夕刊(九州・山口版)が福岡市などの自治体とソフトバンク・ホークスとの提携の動きを報じた。掲載前に、担当記者から筆者に取材申し込みがあり、そのやりとりの中で、自治体とホークスが様々な事業を発展・拡大しようと試みていることがわかった。

 「日本の自治体とプロスポーツの関係構築」は筆者の研究課題の一つなので、8月22日~24日の九州旅行のスケジュールを一部変更して、朝日新聞の担当者と面談した上で、福岡と唐津の市役所を訪ね、ホークスとの提携の現状と将来計画について訊ねた。

 唐津市は2006年2月にホークスと交流宣言を締結。ホークスと自治体の提携1号案件となった。そのきっかけは、唐津市出身の藤井将雄選手(2000年、現役中に早世)の存在だった。1995年に藤井選手の後援会が主催する「藤井将雄少年野球教室」がスタート。以降、藤井選手の死後も存続する後援会の主催で毎年1月最後の日曜日の開催が継続している。

 唐津市のホークスとの交流は決して派手さはないが、野球教室の外に、「観戦応援バスツアー」(2007年~)、「藤井将雄記念野球大会」(2005年~)、「ベースボールキッズin九州」(2008年~)が毎年開催されており、来年3月には王球団会長の講演も予定されている。

包括連携協定締結を記念して対談した王貞治ソフトバンク球団会長(左)と高島宗一郎・福岡市長=7月7日、ヤフードーム
 福岡市とホークスの協定締結は今年の7月。協働事業項目が出そろい、摺り合わせをしている段階だ。

 市役所とホークスは、「ダイエー・ホークス」の福岡招致の頃から各種の折衝をしてきたが、ここ数年広範囲になってきたホークスからの要望に対処するため、市役所の窓口一本化を兼ね、今回の協定締結に至ったという。

 唐津市に対するホークスの期待は、唐津からの観戦者数を増やすことに尽きるが、福岡市に対しては、(1)交通手段を含む球場周辺の社会基盤整備、(2)観客増加の援助、という2つの目的に集約される。

 問題は自治体側だ。

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