大坪正則(スポーツ経営学)
2011年11月21日
だが、日本シリーズの最中に公表することが適切だったかどうか、また、今回の内紛の発端がコミュニケーション不足だっただけに、社長の公表内容を球団内部が了承済みだったのか、心配にならざるを得ない。
一方で、巨人首脳の一連の言動を分析すると、巨人と日本プロ野球機構(NPB)及びその加盟球団との間、さらに言うと米国のメジャーリーグ(MLB)との間にプロリーグ全体の経営手法について本質的な考えの違いがあるような気がする。この機会に、リーグ経営の本質について考えることにする。
個々の球団がファンに売る商品は「試合」である。この商品は特殊で、自動車やテレビのようにメーカー1社が生産できる代物ではない。必ずメーカー2社(2チーム)が共同して作らなければならない。各球団はリーグに属するチームをフランチャイズの球場(ホームグラウンド)に迎え、年間に定められた数の「試合」を行うと同時に、同数の試合を相手先のホームグラウンドで行う義務を有している。
この試合からあがるチケット代収入が各球団経営の柱になる。球場での物品販売も、チケットを購入して球場に足を運んでくれるファンが購買者である。したがって、球場を観客で満杯にすること、しかも全ての試合を満席にすることが球団経営にとって理想の姿である。
それでは、いかなるチームをビジターとして迎え入れても全ての試合を観客で埋め尽くすにはどうすればいいのだろうか。
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