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サッカー男子五輪代表の憂鬱

潮智史

潮智史 朝日新聞編集委員

「谷間の世代」といわれ続けてきた男子サッカーの五輪代表(23歳以下=U23)がロンドン行きの切符に手にした。タフな最終予選を1位で抜けたチームはたくましくなったように見える。選手たちは「メダルを取りにいく」と口々に覚悟を語った。

 「谷間の世代」という言い方は、この世代が3年前に挑んだU20ワールドカップ(W杯)エジプト大会アジア予選で韓国に敗れ、予選敗退したためについたものだ。このとき、日本のU20W杯出場は7大会連続で途切れたのだった。

 銅メダルを手にしたメキシコ五輪から28年ぶりに出場した1996年アトランタ五輪以来、男子サッカーは5大会連続出場となるが、五輪代表チームを取り巻く環境は時代とともに変化してきた。

 黄金世代と呼ばれた2000年シドニー五輪では中田英寿、小野伸二、稲本潤一、高原直泰らが中心。中学時代にJリーグ発足の熱狂を目の当たりにした彼らも中田を除けば、国内組のJリーガーだった。年齢制限のないA代表選手でさえ、主力の多くが海外クラブに所属するようになったのは2010年W杯南アフリカ大会の前後からである。04年アテネ五輪、08年北京五輪とU23代表チームの編成も国内組を中心にしつつ、少しずつ選手が海外移籍する流れになってきていた。Jリーグを経ずに、高校卒業と同時に海外クラブに渡る宮市亮のようなケースも出てきた。

 今回のロンドン五輪予選を通じて、関塚隆監督が最も頭を痛めたのは、

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