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本土との断絶深める沖縄

大矢雅弘

大矢雅弘 ライター

 米軍の新型輸送機オスプレイ配備に反対する県民大会で、翁長雄志那覇市長は大会共同代表として次のように述べた。

 「知事や各首長、各議会、県選出国会議員すべての反対を押し切って強行配備をしようとする日米両政府のやり方は、戦後の銃剣とブルドーザーで土地を強制接収したのと何ら変わらない構図で今日まで継続している。沖縄は戦前、戦中、戦後、十分すぎるほど国に尽くしてきた。もう勘弁してと心から国民に訴えたい」

 とりわけ、「もう勘弁してと心から国民に訴えたい」という一節は、大多数の沖縄県民の思いを代弁したメッセージとして強く脳裏に焼き付いている。

 オスプレイの配備撤回を求める声は、県民大会の参加者(主催者発表で約10万1千人)にとどまらず、県内の41市町村の全議会が反対決議をし、県内一円にゆき渡っている。与野党を超えた「オール沖縄」で一丸となった民意である。

 だが、本土の政党は沖縄の民意に背を向けている。オスプレイの沖縄配備に対し異を唱えたのは、「配備の強行に疑問を感じている」と批判した「国民の生活が第一」の小沢一郎代表など、ごくわずかにすぎない。民主党も自民党も、さらには日本維新の会といった政党は、オスプレイ配備賛成派であり、沖縄の民意を否定する立場に立っている。

 それにしても、あの歴史的な政権交代は何だったのか。2009年の衆院選で沖縄県では全4選挙区で自民公認候補が敗れ、13年ぶりに選挙区議席を失った。当選した4人はいずれも米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設に反対を掲げた。

 2010年11月の沖縄県知事選では、それまで県内移設を容認してきた現職の仲井真弘多知事が公約を「県外移設」要求に切り替え、普天間問題が知事選の争点から消えた。

 いまや普天間の県内移設があり得ないことは、県民の総意に近い。それなのに普天間の県外移設を国政に託そうにも、民主・自民の2大政党のどちらにも期待できない現実がある。3年前の政権交代後、橋下徹氏は大阪府知事の立場で「国から提案があれば」との前提で「関西で沖縄の基地負担の受け入れ議論を」と問題提起した。だが、「日本維新の会」を率いてきた橋下氏はその後は沈黙を守り、今年9月の公開討論会では、「今のところ、辺野古以外の案は頭の中にない」と述べた。

 オスプレイが配備されたばかりの沖縄では、

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