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関東連合と「六本木フラワー事件」3つの謎

久田将義 TABLO編集長

 ここのところ都内繁華街、特に六本木、西麻布、渋谷などで起きる事件や芸能スキャンダルにおいて、必ずと言っていいほど名前が出る集団がある。関東連合である。

 本稿をお読みになる前に、読者の皆様に気をつけて頂きたい点が一つある。報道のされ方だ。上記のように「何か事件があると関東連合」「スキャンダルが起きると、とりあえず関東連合」という安易なタイトルのつけ方や記事構成により、関東連合の実態が見えにくくなってしまっている点を僕は危惧している。

 事実、知り合いの週刊誌編集者も「表紙に関東連合ってつけると売れるんですよね」と言っていた(彼に悪気はない)。

 つまり、マスメディアが作りだす「関東連合幻想」には、惑わされないで頂きたいのだ。もちろん関東連合の人脈、暴力性を過少評価している訳でもない。現に、渋谷、六本木、西麻布、新宿の闇社会では一定の勢力を誇っているのも確かである。

 関東連合とは元々は1970年代、暴走族最盛期に出来た暴走族の連合体の一つである。今はもう解散している。従って、現在、関東連合と言われている人間は正確には「関東連合OB」である。「現代の愚連隊」とも言われているが、半分正解で半分間違っている。暴走族には変わらないのだが、渋谷などの都内繁華街を特攻服を着てバイクから降りて歩いたりして名前を売っていった。そのスタイルは暴走族でもあり愚連隊でもある。

 すなわち1970年代の頃の関東連合とは様相が異なるのだ。年代で言うと40~20代後半までが、現在報道されている関東連合である。

 20年前から関東連合の名前は都内のアンダーグラウンドでは有名だったが、全国に知られたのは市川海老蔵事件だろう。「歌舞伎の若手スターがなぜ西麻布で関東連合という暴走族と飲んでいたのか?」という疑問をお茶の間の皆さんは抱いたに違いない。それから謎の集団的扱いを受け、現在のような幻想的報道に至っている。

 さて、本題である。総選挙ですっかり影が薄くなったが、直近の殺人事件が未だに解決されていない。

 東京・六本木のロアビル内に入っていたクラブ「フラワー」で藤本亮介さん(31)が約10人の目出し帽の男たちに金属バットなどで殴殺された事件である。当時、「フラワー」には数百人の客が入っており、その中での殺人事件である。当然目撃者もいる。犯人たちが逃走する様子まで防犯カメラに映っている事から、事件の解決は早いと考えられていた。

 また事件直後から、集団で、しかもいきなりバットで殴るやり口は関東連合ではないかと囁かれていた。しかし、本稿執筆現在(2012年12月18日)犯人逮捕にはいまだ至っていない。

 この事件のポイントは三つある。

 まずは警視庁一課が余りこの事件に乗り気ではないのではないか、という見方。本来、関東連合系の事件は

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