メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

WBCの決勝は、日本対アメリカ? 両監督の采配が勝負を分ける 

大坪正則 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表が一番乗りで準決勝進出を決めた。3回目となる本大会は、予想では日本・米国・キューバ・韓国の4強に、カリブ海勢のベネズエラとドミニカ共和国、欧州勢のオランダが優勝争いに割って入るとみていた。しかし、1次ラウンド(R)で番狂わせがあった。優勝候補の一角、韓国が敗退し、ベネズエラも消えた。

 シーズン開始前の春先は、通常であれば、選手たちは来たるべきシーズンに備えて準備に余念がない時期だ。代表チームに選ばれた選手はいつもより1カ月早く本番に入る調整を余儀なくされる。準備がうまく進んだ選手がいる一方で、満足するだけの調整ができていない選手が現れるのはある程度やむを得ない。

 だから、1次Rでは、試合が予想外の展開をしたり、全く期待に添わない選手の出現があったり、と予期せぬ出来事が起こる可能性が高い。日本もブラジル戦では終盤まで大苦戦だった。1次Rの韓国の敗退は選手がコンディション調整に失敗した端的な例となった(WBCに優勝しても兵役免除の特典がなかったから、との噂もある)。2次Rでも、日本は台湾戦で負けも覚悟しただろう。

 日本代表は3月18日(日本時間)から米国で始まる決勝トーナメントで戦うが、これからは1試合も落とせない。常識的な予想になるが、決勝は日本と米国になるだろうし、勝負の別れ目は、山本浩二とジョー・トーリ両監督の統率力と采配の冴え次第ではなかろうか。

 読者もプロ野球(NPB)や春の選抜高校野球を通じて十分に理解できていると思うが、シーズンの当初は「投高打低」と言われる。打者が持ち前の力を発揮するまで時間がかかるために好不調の波が激しいのに対して、投手は比較的安定しているからだ。初戦から4試合も本塁打が出なかった日本代表が、2次R2戦目のオランダ戦で突然6本の本塁打を放ったことからもわかるように、この時期は打線に波があるものだ。だから、投手を中心にした試合運びにならざるを得ない。

 WBCではさらに、日本では使われていない滑りやすいボールと、投手の球数制限といった特殊な要素が加わる。従って、監督は、レギュラーシーズンの試合よりも難しい采配が求められる。過去の実績重視ではなくて、より厳しく、選手の調子を見極めてから最良の起用を決断しなければならない。WBCのようなトーナメント形式の短期決戦では情にもろい監督は勝ち進めない。非情に徹して最も調子の良い選手やラッキーボーイ的選手を大胆に起用できるかどうかが、勝ち残る鍵となる。

 日本シリーズを振り返ってみると、これは歴然としている。 ・・・続きを読む
(残り:約1028文字/本文:約2109文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
デモクラシーやJournalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

大坪正則

大坪正則(おおつぼ・まさのり) 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

1947年生まれ。1970年、伊藤忠商事に入社。1981~85年まで、アメリカのニューヨークとデンバーに駐在。情報通信総合企画室などを経て 1986年、NBAプロジェクトマネジャーに。現在、帝京大学経済学部経営学科教授。専門はスポーツ経営学。著書に『パ・リーグがプロ野球を変える』『スポーツと国力』(以上、朝日新書)、『プロ野球は崩壊する!』(朝日新聞社)、『メジャー野球の経営学』(集英社新書)など。2014年3月4日、死去。

大坪正則の新着記事

もっと見る