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伝説のライブ復刻番組に思う、音楽を聴かせるビジネスの潮流

倉沢鉄也

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

 去る5月4日~5日、民放ラジオAMFM短波あわせて100局が、同じ題名の特別番組(AM・短波版とFM版の2種)を録音放送した。約30年前の伝説のライブコンサートの音源が最近発見され、これを20分弱に編集したものに、DJとゲストが当時を振り返る形でトークをかぶせて、55分のラジオ番組になっている。

 ライブの名前は「国際青年年記念 ALL TOGETHER NOW by LION 」。1985年に、今も大御所として活躍するフォーク~ニューミュージック~ポップスの歌手たちが国立競技場に集い、その後見られないようなぜいたくな組み合わせで次々登場し、当時のファンにとっては夢のような楽曲のコラボレーションを6万人の観客に聴かせたものだった。ライブ及び番組の詳細はWeb検索等で確認していただければと思う。当時高校生だった筆者は、ラジオ番組を通じてこのコンサートの存在は知っていたが、ライブ進行の詳細を今回初めて知り、その進行スペックの文字を読むだけで胸躍らせながら、このラジオ番組「ALL TOGETHER NOW 2013 by LION」をAM版とFM版の両方を聴いた。

 番組のよしあしについてはWeb上に様々に書き込まれており、もっと楽曲を聴きたい、トークばかりで期待外れだった、という声が多く見られる。個人的感想としては似た印象を持っており、またトークとしても、時代を共有していない世代(40歳以下、60歳以上)にこのコラボのすごさを十分理解してもらえかったと思われる点で、不足感が残るものだった。ただしWEBRONZAに本稿を書いている立場としては、もともと4時間からのライブ音源を権利処理のできる(=シンプルにお金を払って解決する)範囲でだけ編集して流し、特別枠として55分の番組にまとめるしかなかった事情を念頭に置いて聴いた以上、致し方ないものだったと思っている。聴き足りなくなる前提で聴くしかなかったという番組であった。

 筆者のゴールデンウィークの余興としては、番組評論やこのライブの礼賛をしようというのでなく、

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