メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

崩れた大阪「不敗神話」 維新は冬の時代へ

前田史郎 朝日新聞論説委員

 大阪人はケチといわれる。銭勘定に敏感で、損か得かをしたたかに見きわめる才にたけている。

 そこで堺市長選挙。現職の竹山修身氏(63)と、大阪維新の会公認の新人、西林克敏氏(43)のどっちが得か。
 竹山氏側が選挙中にまいたビラにこんな話が出てくる。
 大阪府の借金6.3兆円+大阪市の借金4.9兆円
 堺市は全国政令市トップ3の健全財政
 「大阪都に入れば堺市の黒字が借金の穴埋めに使われます」「堺市の税収1300億円のうち、460億円が都に吸収され、堺市以外の地域に、堺市民の税金が使われることになります!」
 わしらの血税がなんで大阪市や府のつくった借金の返済に使われんねん。そんなアホな――
 無党派層がなだれをうって「反維新」に向かった理由は、こんな感情ではないだろうか。
          ■
 もちろん維新の橋下徹・大阪市長は全面否定した。しかし堺市民の危機感を最後まで払拭できなかった。
 告示から6日目の9月20日昼過ぎ、市北部の新金岡団地。維新の西林氏は、幹事長の松井一郎・大阪府知事といっしょに選挙カーの上に立った。
 「堺はなくしません」「相手はいい加減なうそばっかついてます」
 マイクで訴えても、周囲にまったく人はいない。道路にも、近くの公園にも。遠まきに1人の住民が隠れるように立って様子をうかがっていた。がらんとした団地の谷間に、演説の声だけが反響する。
 20分ほどで街頭演説が終わると、地上におりた2人は団地を見あげ、あいている窓の人影に向けて手を振った。車に戻った松井氏の表情は

・・・ログインして読む
(残り:約2362文字/本文:約3009文字)