メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

アップルの機会損失、国産端末はさらに窮地

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

 iPhoneがないことが辛い、iPhoneさえあれば、という声はドコモの営業サイドから近年聞こえてきた不満の声だった。しかしiPhone発売に踏み切ったところでキャリア3社が横並びになるだけで、ドコモがiPhoneによって一気にシェアの挽回策に入れるわけではないことくらい、営業サイドであっても当然想定内であろう。料金施策についても、すでにドコモだけが高くて他社に流れていく明確な理由は見て取れない。

 iPhone効果が見て取れなかった10月までの販売実績は、違うところに短期的原因がある。話は簡単で、新発売の高級モデルiPhone 5s端末の在庫切れにある。売りたくても売るものがない、買いたくても買うものがない、これだけだ。

 3社販売にあたり、アップルは現状のシェアに近い数字ではなく直近までの販売実績数で在庫を割り振っており、auとソフトバンクよりも「入荷待ち件数÷予約も含めた今回販売数の割合」(正確な指標ではないが、入荷待ち件数だけではシェアの違う3社を測れないのでこのように設定)が著しく多く、ドコモへの入荷が一番不足している、という状態に過ぎない。

 これはアップルが市場のキャスティングボードを握っているのではなく、

・・・ログインして読む
(残り:約2111文字/本文:約2637文字)