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 東京都三鷹市で10月、18歳の女子高校生がストーカーに殺されました。ストーカー規制法ができて13年、法改正もし、警察の対応も積極的になったはずなのに事件が絶えません。どうすれば卑劣な犯罪を食い止められるのでしょうか。

警察に相談した日に殺される

 三鷹市の事件は、女子高校生が両親とともに警視庁三鷹警察署に相談したその日に、自宅にひそんでいた元交際相手の男に殺されました。被害者側がこの日、三鷹署に対し(1)男への口頭による警告(2)従わないときは文書での警告を望んだため、同署は文書警告に備え、男のストーカー行為を裏付ける証拠を「翌日持ってきてください」と告げ、帰しました。

 規制法に基づく措置ではありますが、結果を問われるのが住民の生命・安全を守ることが責務の警察です。対応に問題があったと言わざるを得ません。警視庁の検証で問題点をあぶり出してほしい。

絶えないストーカー殺人事件

 警察の対応のまずさが殺人事件を招いた事例は少なくありません。1999年10月に埼玉県桶川市で、女子大生が殺された事件では、被害者側からの相談を警察署がこれを軽視しただけでなく、告訴を取り下げるよう求めたり、虚偽の調書を作ったりして責務を放棄するどころか犯罪にかかわっていました。 2011年12月に長崎県西海市で2人が殺された事件では、ストーカー被害を受けていた女性が相談していた千葉県警、女性の実家のある長崎県警、加害者の実家所在地の三重県警の連携の悪さが災いしました。殺された2人は女性の母と祖母でした。
 神奈川県逗子市では2012年11月、女性が元交際相手の男に殺されました。自殺した男は前年、女性に「刺し殺す」とのメールを送り付け、神奈川県警に脅迫容疑で逮捕されています。この時、県警は男に女性の住所を伝えていました。男はその後、探偵に頼んで住所を割り出した疑いが愛知県警の捜査で浮上しました。探偵は逗子市納税課から聞き出した可能性があり、経緯を捜査しています。

異例の警察庁長官指示

 桶川事件を受けて2000年、ストーカー規制法が成立しました。警察庁によると、それ以降の00年~12年に起きたストーカー殺人・殺人未遂事件は105件です。被害者の人数はまとめていません。既遂と未遂に分けて統計を取るようになった05年以降では既遂事件が12件もあります。
 警察庁は事件が起きるたび、全国の警察に「被害者の安全確保を第一に」「相談や被害届を粗略に扱うな」などと指示してきました。それでも続く事態に警察トップの米田壮警察庁長官が10月25日、全国47の警察本部長を集めた会議で、異例の指示をしました。紙の新聞と違い、ネットには字数制限がありません。その利点を生かして指示全文を載せます。
 (1) 「恋愛感情のもつれに起因する凶悪事件は、なお発生をみており、 ・・・続きを読む
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筆者

緒方健二

緒方健二(おがた・けんじ) 朝日新聞西部報道センター記者

朝日新聞社会部員(組織暴力専門記者)。1958年大分県生まれ、同志社大卒。毎日新聞社を経て88年入社、92年東京本社社会部。警視庁警備・公安、捜査1課、国税などを担当、99~2004年警視庁キャップ。東京社会部デスクを経て、04年から警察・事件担当の編集委員。地下鉄サリンなど一連のオウム真理教事件のほか数多の殺人、贈収賄、暴力団犯罪などを取材。17年4月から西部報道センター。

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