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福島県の県民健康管理調査(KKK)の2倍の結果が出た飯舘村村民を対象にした初期被曝量評価

大久保真紀 朝日新聞編集委員(社会担当)

 11月17日に福島市で開かれた飯舘村放射能エコロジー研究会のシンポジウム「原発災害と生物・人・地域社会への影響と克復の途を探る」に参加してきました。飯舘村はみなさんもご存じだとは思いますが、福島第一原発からは20キロ圏外にもかかわらず、高濃度の放射能に汚染された村です。このシンポジウムで、京大原子炉実験所の今中哲二さんを代表とする、村民を対象とした初期被曝評価プロジェクトの結果が報告されました。

 今中さんによると、このプロジェクトでは、7月から10月にかけて498戸の聞き取りをし、村民全体の約3割にあたる1812人分の、放射能汚染が起きてから避難するまでの間の行動を入手したそうです。それをもとに2011年7月31日までの村民の被曝量を計算したところ、平均は7ミリシーベルト、最大は23・5ミリシーベルトだった、とのことです。

 県による県民健康管理調査結果(7月11日まで)では、村民3102人の初期外部被曝の平均は約3・6ミリシーベルトだそうで、今中さんらの見積もりはその2倍になりました。この違いはどこから生まれるのでしょうか。
 今中さんたちは放射線量を、地面に落ちたセシウムを基準に見積もりをしていますが、県民調査の方はモニタリングポストの値を使用しているほか、さらにどのように算出されたのか詳しく聞かないとわからないとのことでした。

 今中さんは、自分たちの調査から出た村民の初期被曝量が平均7ミリシーベルトという数字と、これまでの研究から出されている放射線量とがん死のリスク係数とを総合的に勘案すると、飯舘村民全体の6132人のうち、初期の外部被曝が要因となってがん死が出るリスクは2・3~17件と予測される、と発表しました。

 この数を多いとみるか、それとも少ないとみるかはそれぞれの判断だと思いますが、今中さんは、冷静に受け止めてほしいとしています。ただ、10歳以下の子どもは30歳や40歳の大人より、3~5倍のリスクがあるとみていいとの見方も示しました。

 飯舘村への放射能の沈着は2011年3月15日午後6時に一斉に始まったと考えられるそうです。この日の午前中は、風向きが南に向かっていて、事故を起こした福島第一原発から放出された放射能は東京方面に流れていたそうですが、午後になって風向きが変わり、さらに飯舘村では雪が降ったことで放射能が地面に落ち、そこから放射線が出るという状況になったようです。

 原発から近い20キロ圏内の住民は3月11、12日あたりの早い段階でほとんどが避難しましたが、 ・・・続きを読む
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筆者

大久保真紀

大久保真紀(おおくぼ・まき) 朝日新聞編集委員(社会担当)

1963年生まれ。盛岡、静岡支局、東京本社社会部などを経て現職。著書に『買われる子どもたち』、『こどもの権利を買わないで――プンとミーチャのものがたり』、『明日がある――虐待を受けた子どもたち』、『ああ わが祖国よ――国を訴えた中国残留日本人孤児たち』、『中国残留日本人』など。

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