メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

川内原発の再稼働、九電支配の現場

市田隆 朝日新聞編集委員(調査報道担当)

 東京電力幹部が以前、電力会社の業界団体「電気事業連合会」(電事連)に出向していた際、ともに働いた九州電力社員の印象を語った。

 「九電は自信に満ちている」

 各電力からエリート社員が派遣される電事連内部で、様々な問題への対応を協議する時、強気の発言が目立つのが九電社員だったという。

 その理由について、別の東電幹部はこう言った。「電力会社の中でも九電は独立王国のようだ。業界で東京、関西、中部の3電力に次ぐ規模だが、九州では長年、トップ企業として君臨している。社員にはその自負がある」

 その九電の川内原発が早ければ今秋にも、東電福島第一原発の事故後の再稼働第1号となることが有力視されている。これに対し、鹿児島県などの住民が、再稼働しないよう求める仮処分を鹿児島地裁に申請するという動きも出ている。

 電力各社が再稼働を目指す中で、もっとも早く実現する見通しとなっている九電の力とはどのようなものか。4月と今月、川内原発がある鹿児島県薩摩川内市を訪れ、取材した。

 薩摩川内市は人口約10万人。九州新幹線が通る市中心部の川内駅から、東シナ海に面した川内原発までは約13キロ。車で30分足らずで着いた。

 川内原発では再稼働に向け、5月末時点で九電社員313人、協力会社作業員2620人が入って働いているという。九電の玄海原発(佐賀県)と合わせて3400億円の安全対策工事が進む。敷地内の高台では、東京の大手ゼネコン「大成建設」などの共同企業体が、事故時の作業拠点となる免震重要棟を建設するため土地造成工事を進めていた。

 大成建設は、川内原発1、2号機の建設時、建築、土木工事とも請け負った企業で、その後も受注業者の中心となっている。地元の建設会社はその下請けに入った。

 川内原発関係者は「地元の建設業界には、ある程度平等に仕事がまわるよう配分してきた」と話す。

 原発の運転開始後も、

・・・ログインして読む
(残り:約874文字/本文:約1671文字)